在韓米軍、有事の際の韓国軍の役割を大幅に制限か

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「アウト・オブ・蚊帳」シリーズです。去年9月、本ブログでは「上の司令部、下の司令部」という題のエントリーで、「朝鮮半島有事の際、米国は韓米連合司令部ではなく、国連軍司令部を優先しようとしているのではないか」と書いたことがあります。あえて端的に言うと、韓米連合司令部(在韓米軍+韓国軍)ではなく国連軍司令部がメインになった場合、朝鮮半島有事の際での韓国軍の権限は、『国連軍1カ国分』に制限されることになります。

(韓国軍への)戦作権移譲においてもっともユニークなのは、移譲後の韓米連合司令部の司令官を韓国軍から任命する、という事実です。米軍が他国軍の指揮下に入るのは極めて異例であり、韓国では『ついに韓国軍が主権を取り返す』と、かなり高く評価されています。そういう流れもあって、任期中に戦時作戦統制権をもらおうとする文在寅大統領。しかし、それを逆利用して、米軍は、早めに譲渡してしまおうとしています(少なくとも、私には現状がそう見えます)。

これは、米軍が一方的に朝鮮半島から撤収するまたは諦めるという意味ではありません。作戦統制権とは『責任』のことですから、米軍は朝鮮半島での自分たちの責任を軽くしようとしているわけです。韓国軍が深く関わる韓米連合司令部ではなく国連軍司令部をメインに使おうとしているのも、韓米連合司令部(韓国軍が司令官)をこれ以上信用しないからでありましょう。国連軍司令部の司令官は、米国軍の人です。

 

 

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こういう問題に対し、『ただの劣等感だ』と指摘する人がいます。最近、米軍や戦時作戦統制権関連で積極的に主張を表明している、国民大学校の政治学教授パク・フィラク氏です。以下、『デイリアン』の氏の寄稿文から、戦時作戦統制権譲渡後のことを引用してみます。

<・・(※戦時作戦統制権譲渡の後に)韓国軍の人が韓米連合司令官になった場合、米軍は韓国防衛のための主な責任が無くなり、サポート役割だけになり、北朝鮮軍が攻撃してきた場合、現在のように積極的に対応したり膺懲報復したり、大規模に増援軍を派遣する可能性が低くなる。韓米連合司令部さえソウルを離れると(※移転推進中です)、北朝鮮軍は米軍を攻撃しないままソウルを奇襲的に占領することができ、これにより、戦争を挑発する強力な動機を持つようになる・・

・・実質的な事項として、韓国軍から選ばれた韓米連合司令官が、現在の韓米連合司令官のように、米増援軍の展開と配置を制御したり、それに関連した計画を策定できる可能性は低い。米軍が、韓国軍から選ばれた韓米連合司令官に、最高機密である増援軍リストを継続的に提示したり、連合司令官の要請を受けて増員の時期と規模を調整する可能性は、低いからだ・・・それでも今より(※韓国軍の)役割がさらに強化されると言えるのだろうか。劣等感以外、現政府の努力を説明出来る言葉が無い・・

 

・・すでに米軍は、韓半島で戦争が発生した場合、韓米連合軍司令部ではなく、国連軍司令部を戦争遂行司令部の中核にすると考え、準備していると思われる。平沢基地でも最も中心部に国連軍司令部を配置し、カナダ将軍を副司令官に任命するなどで機能を拡大し、国連軍司令部と韓米連合司令部参謀の兼職を減らしている。国連軍司令部が再登場する場合、韓国は1個国連軍加盟国としての権限しか行使できない。50%の権限を行使できる韓米連合司令部体制に比べて、権限はさらに減る。韓国軍から選ばれた韓米連合司令官は、現在の地上構成軍司令官にも満たない権限しか行使できないことだってある。それでも、韓国軍の人が韓米連合司令官をすることが誇らしく、そうすれば劣等感が解消されると思うのだろうか?(ソース記事:デイリアン、外部リンクにご注意を)>

 

韓国の左派陣営が『終戦宣言』に拘る理由は、一般的には、在韓米軍の撤収(韓米連合司令部の解体)のための名分作りだと言われています。しかし、それ以上に、『国連軍司令部の解体』のためでもあります。実際、去年、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官は、『南北関係でもっとも邪魔なのは国連軍司令部だ』と主張したりしました。米軍が国連軍司令部に拘るからこそ、ではないでしょうか。

本当に在韓米軍が大幅な減縮または撤収までやるかは分かりませんが、少なくとも、朝鮮半島においての韓国軍との『関係』に対する考えが大幅に変わったこと。これだけは、間違い無いようです。

 

 

 

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