韓国にとって「屈辱」とは

ソース記事は、左派のハンギョレ新聞が右派の朝鮮日報を批判する内容です。『朝鮮日報には100年の親日DNAがある』とするものですが、本ブログで取り上げたちことは、記事全般ではなく、以下の部分です。

<・・過去2018年、最高裁の強制徴用賠償判決に対する報復として、日本政府が輸出規制に乗り出した。「朝鮮日報」などは、貿易報復を始めた安倍政府よりも私たちの政府を強く非難した。「力が足りないなら、屈辱を甘受する勇気が必要だ」とし、日本にひざまずいた方がいいという記事と社説・コラムも続々と出した・・(ソース記事:ハンギョレ新聞、外部リンクにご注意を)>

 

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韓国社会において、「侮蔑」の重要さを前にも書いたことがあります。そういえば『高文脈文化 日本の行間』にも書きました。相手に侮蔑を与えること(詳しくは、『相手に侮蔑感を与えて、相手が何もできないことを確認する』こと)は、韓国社会で上下関係の確率に無くてはならない要素です。韓国語に侮蔑表現が多い理由の1つです。

この前、済州島知事が『親日清算と言いつつ国民分裂させるな』と話して袋叩きにされた件、済州島の教育監(教育行政の責任者)が、『知事の言葉に、侮蔑を感じた』と話しました。なんでそれが侮蔑なのか。その理由は、『悔しいことを言われたのに、出来ることが無い』からです。

だから韓国人は、『私は攻撃されてないか、私を攻撃しようとするやつはいないか』をものすごく気にします。攻撃されておとなしくしているのは『下』であり、それは例え冗談でも『侮蔑』なのです。

 

 

この「侮蔑に対して何もできないこと」が、韓国の「屈辱」です。屈辱の原因を「自分」から探そうとはしません。侮蔑は他人(主に『上』の立場の人)が私(被害者コスプレもあって『下』アピールの人)に与えるものであり、自分で自分に侮蔑を与える人はいない。だから屈辱の原因も常に「自分以外」にあります。

本ブログで随分前から書いてきましたが、韓国人はハン(恨)を民族情緒だと言います。「私がうまく行かないのは、誰かが不当な方法で私の正当な権利を奪ったからだ」とする相対的剥奪感たる考えが、韓国人の「いつまでも消えない恨み」、恨(ハン)の基本です。言い換えれば、その自分の正当な権利とやら(ほとんどの場合はそんなもの存在しません)をちゃんと取り返したら、ハンは消えるはずです。奪われても何もできないからハンが続くわけです。

だから韓国では鬱火病(울화병)といって、溜まった憤怒が病気になることもあります。些細なことでカーっと(火ーっと?)噴出することが多い韓国ですが、それを抑え込もうとして、鬱になり、さらには病気になります。韓国の中医師たちは、この病気をかなり重く見ています。

侮蔑に対してなにも出来ない屈辱というのは、そのハンのもう1つの現れかもしれません。自分と違う意見にすぐ攻撃的になるのは、違う意見を『侮蔑』だと見ているからでしょう。それを受け入れるのは、屈辱なのです。相手の不当な方法に何もできず自分の正当な権利を奪われてしまうと考えるのと、パターンがとても似ています。多分、屈辱は恨(ハン)の「別の呼び方」なだけでしょう。

 

 

しかし、韓国人が感じる侮蔑は、その多くが、実は侮蔑ではなく、『恥』です。自分に何か問題があって何か良からぬことが起きてしまった場合、反省というか、自分に対して恥を感じる必要があります。しかし、韓国社会を生きる人たちは、多くが、それを認めようとしません。認めたら負けだと思っています。だから、その『恥』をこう思ってしまいます。「これは私が私に与えた『恥』ではない。他の誰かが私に与えた『侮蔑』だ」。

それを自分のせいだと認めるのは、屈辱です。ハンになって、病気になります。だから「あなた『が』正しい」と言われると大喜びするわけです。「あなた『も』正しい」としてしまえばいいだけでしょうに・・

 

裁判結果に対してもこの考えが優先しますから・・韓国が法治と相性が悪いのは、ある意味、当然の流れです。今回の件だってそうでしょう。日本が主張しているのは『約束(条約)を守れ』です。本当なら、約束を守らなかった韓国が、自分から恥を見出すべき事案です。一部の保守系の主張も、そういう側面を認めようと、迂回的に言っていたものでしょう。しかし、それを『日本から与えられた侮蔑』とするのです。だから、国際法違反状態是正は、負けであり、屈辱です。

最後に、この「屈辱」という字ですが、自分に対して使うのをここまで嫌がる韓国ですが・・『他人』に対してはものすごく頻繁に使います。「~の屈辱」という形で。新聞記事の題などでもよく見つけることができます。「いいざまだ」とほぼ同じ意味だったりします。

 

 

 

拙著のご紹介

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