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韓国の対日請求権に関し、『民間補償は韓国政府が行う』という話は何度も議論されましたし、本ブログでも何度も取り上げました。朴正煕政府は(及び後の盧武鉉政府も)、韓国の民間(法人・個人)には韓国政府に補償責任があると思っていましたし、実際にそうしました。
しかし、政府がお金、基本条約の請求権関連に基づいて韓国政府が日本からもらったお金、いわゆる『請求権資金』を利用したからには、相応の法律があったはずです。韓国政府は、どんな法律で請求権資金を使い、その法律は今はどうなっているのでしょうか。本エントリーでは、その法律を述べてみます。
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日本との請求権協定により、『念願のお金を手に入れた!』とワクワクしていた韓国政府。しかし、自国民への補償という問題が残っていました。協定の段階から日本に対しては「民間は韓国政府がなんとかするから早くお金くれ」だった韓国政府。しかし、1966年1月の時点でも「国民に補償すべきかどうか」で政府の意見が統一できていませんでした
そこで、「やはり政府が民間請求権(法人・個人など民間の対日請求権の分)を補償する」という結論になり、1966年2月にそのための法律が作られます。『請求権資金の運用及び管理に関する法律(청구권 자금의 운용 및 관리에 관한 법률)』という法律です。2月にこんな法律ができただけでも、相応の進展だったと言えましょう。ちなみに、選挙戦略だったとも言われています。韓国の『法律第1741号』となります。
以下、韓国法令情報センターの該当ページ(※外部リンクです)による情報となりますが、この法律で特に注目すべきは、2条の1項~4項と、5条1項です。2条1項~4項は本法でいう請求権資金が何なのかを説明していますが、1項にて「協定(※財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)の「1条1の(a)」による資金が「無償資金」とします。2項にて「1条1の(b)」により導入された資金が「借款資金」とします。3項にて、「ウォン貨資金」は無償資金と借款資金の運用で発生した資金とします。そして、4項にて、『本法で言う請求権資金とは、無償資金、借款資金、ウォン貨資金である』となっています。
で、次が5条1項ですが、「大韓民国国民が持っている1945年8月15日までの日本国に対する民間請求権は、この法律で定める請求権資金の中から補償しなければならない」となっています。すなわち、請求権協定で日本からもらった資金、およびその資金の運用で発生した資金以外で補償してはならない、となっています。請求権資金を「日本が韓国政府に渡す」ことが日韓の請求権協定の内容だったから、当然、1966年2月時点でその「請求権資金内で韓国民に補償する」主体は韓国政府となります。
それからこの法律がどうなったのかというと、70年代に細かい内容(どんな場合にいくらまで補償するのか、など)が作られていきます。そうやって「対日民間請求権補償に関する法律」となり、全斗煥政権のとき、1982年に廃止となりました。廃止の際に付則が作られましたが、付則2にこうなっています。この付則は韓国の法律第3615号となります。
<付則②(補償金の支払いに関する経過措置)この法律施行当時返済が終了していない請求権補償金または請求権補償証券の元利金については、供託法が定めるところにより、これを供託する(同じく法令情報センターの該当ページ)>。
ちなみに、盧武鉉政府のときにも政府が民間に補償しましたが、これも元はと言えばこの付則に基づいて『請求権補償の実態を調べ、補償が受けられなかった人たちに補償する』としたものであり、別に前の法を全否定する形のものではありませんでした。見方によっては、供託金を国民に返した、とも言えます。
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