文在寅氏が、「男・朴槿恵(おとこ版 朴槿恵)」と呼ばれているとのことです。文在寅氏も朴槿恵氏もそれは違うと必死に否定しそうなフレーズですが、何があったのかという、『不通(他人と疎通しない)』において、です。
朴槿恵氏の頃、主な問題点として指摘されていたのが『不通』でした。とにかく自分の側近以外とは疎通せず、記者会見とかもほとんどせず、やるとしても外国メディア優先。そんな彼女の態度を韓国では『不通』と呼び、特に当時の野党側(今の与党側)が強く批判していました。文在寅政府もその点を強く意識していて、疎通とか、透明性とか、そんなことを随分と強調してきました。ですが、文在寅大統領もまた、公約を破り、「不通」しているとのことです。今年1月(新年記者会見だと思われます)以来、一度も記者会見をしていないそうでして。
朝鮮日報は、このような点は『透明性』とも繋がるとし、『全国民が憎んでいる安倍総理よりもずっと劣っている』と書いています(とはいえ、韓国で少しでも日本を褒めるには、「日本は悪い」から初めないといけないので、この記事も相変わらず「日本政治は密室政治。でも~」で始まります)。どこをどう比較しているのか、朝鮮日報の記事から部分引用してみます。
<・・日本の政治の核である官邸は、韓国大統領府とは異なり、記者が総理の近くで観察するシステムが定着している。総理と記者たちは、米ホワイトハウスのように同じ建物を使用するが、より開放的である。総理は5階、記者は1階で働く。各報道機関の記者は、3階ロビーに自由に入ることができる。ここで、外を行き来する総理に質問したり、訪問者を監視する。日本の新聞が、誰が総理に会うのかを毎日把握できるのも、そのおかげだ。
私たちも2017年5月にムン・ジェイン大統領就任後からこうなるはずだった。文大統領が「大統領執務室を光化門政府庁舎に移転する」という公約を破棄さえしなかったら。東京に勤務していた元外交官は、こう両国を比較する。「日本官邸に出入りする記者が、1日でも総理を見ていないなら、記者がさぼったか、総理が外遊中かのどちらかだ。韓国大統領府担当記者は、特別な日でなければ、大統領に会うことなんか無い」。
安倍は今年に入って辞任発表を含め、計13回の公式記者会見を行った。約20日に1回の割合である。文大統領は1月以来、一度も会見しなかった。 8日、野党院内代表が「前大統領を不通だとしておきながら、今まで記者会見は何回やりましたか」という叱責は、文大統領が招いた自業自得だ。安倍が今年初めから5月までの定期国会に出席して回答した時間は、160時間におよぶ。通常国会が開かれるとき、安倍が野党議員と1対1でディスカッションする姿は、うんざりほどTVに出てくる。野党議員が彼に「鯛は頭から腐る」と侮辱を与える場面も、そのまま生中継された。
朴槿恵をはじめとする韓国大統領の悲劇は、すべて、大統領府の閉鎖性と不透明性から始まった。「キャンドル大統領」は違うと断言していたはずだが、非公開、疎通断絶、秘密主義の黒い幕はもっと厚くなった。大統領府の運営において、全国民が憎む安倍よりも劣ってしまうのは、なぜか。文大統領も前任者のように、外部と完全に遮断された大統領府の安楽さに陥ってしまったではないだろうか。任期末に向かいながら「男パク・クネ」と呼ばれるようになった彼が、前任者と同じ末路を歩まないことを願うばかりだ>
基本的に、ここでいう不通とは、『自分たちだけで決める』を意味します。だからこそ、韓国大統領が不通をやめるはずがないでしょう。文在寅氏だけでなく、朴槿恵氏の不通を責めていた韓国の政治家たちは、不通を悪いものだと思っていたわけではありません。自分もそうできればいいなと思っていただけです。
疎通・不通に限った話でもありませんし、すでに何度も書きましたが、韓国社会は『上下が入れ替わるだけ』です。だから、根本的な改革はできません。政権が変わっても基本は変わりません。下の人たちが、「上は下ともっと疎通すべきだ」と主張します。上は「上が下と疎通するわけないだろう」とします。ある日、選挙で野党が勝って、上下が入れ替わりました。『世の中が変わったことを思い知らせてやる』と、復讐が始まります。上になった元・下の人たちは、憧れていた『上が下と疎通するわけないだろう』に酔います。元・上の人たちはまた、「下ともっと疎通しろ」と抗議します。結局は、この繰り返しです。不通という自分だけの世界に溺れる心地良さを、彼らが諦めるはずがありません。
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