文在寅という名前は出てこないのに、どう読んでも「文在寅大統領は日本の安倍総理を見習うべきだ」としか思えない記事がありました。韓国は「私たちが一番日本を知っている」と信じて疑わないけど、韓国があれほど嫌っていた安倍総理が日本で最長寿総理になった。それは、韓国の考えが間違っているという意味であり、安倍総理の政治外交は韓国が思っているような単純なものではなかった、という趣旨です。以下、朝鮮日報の記事、いつもよりちょっとだけ引用長めです。
<韓国は、韓国こそが日本を最もよく知っていると思っている。長年、うんざりほど多くのことを経験したからだ。しかし、日本を知り尽くしているというこの自信は、日本の「安倍現象」の前で力なく崩れ去る・・
・・(※韓国がもっとも嫌う安倍総理が日本では高く評価されているという内容の後に)韓国は安倍を国粋主義の反動政治家だと見る。事実ではあるが、それは、安倍の半分にすぎない。安倍政治の基本は、経済的成果をまず出して、政治的目標も達成する「回る政治」だ。
彼は政権初期、イベント的政治をやめ、経済回生に全力を注いだ。当時、日本は円高が輸出を締め上げ、株式市場は低く、失業率は急騰し、日本人の表情から自信が無くなっていた。「3本の矢」と表現する経済政策が効果を発揮し、支持率が上昇すると、彼はその高い支持を、憲法が禁止した集団的自衛権行使を合憲と解釈するための推進力として活用した。改憲せずに改憲効果を手に入れたのだ。
安倍外交は対米関係が本題で、他の外交は二の次の、要点主義だ。米国とは適当に距離をおいて、中国とは親密に過ごすことを中核とした民主党政権の儚い「北東アジア共同体構想」とは真逆のものだった。民主党政権の、「米国と距離を置く外交」は安保紛争を起こし、輸出の首を締める円高圧力を呼び起こし、領土問題で中国と武力衝突一歩前まで行き、ロシア北方領土返還交渉は玄関の敷居すら超えられないでいた。李明博大統領が独島(※竹島のこと)を訪れたのも、この頃だった。日本の政治家だけでなく日本国民、これを対米外交という土台が揺れた副作用の一つだと記憶している。
安倍の対米偏重外交は、これらの事態に対する安倍式解決法だった。外交の逆說と言うべきか、このような偏重外交が、中国との関係をむしろ安定させた。日本が中国に対する儚い夢から覚めたことで、中国が、日本を米国側から引き離せるという期待をしなくなり、互いの利益を優先する実用外交に転換したのだ。安倍時代が幕を下ろすと、財界は「対米外交の成功が経済のためになった」とし、その反対側の労働界は「一定の成果があった」と評価した。安倍政治は、外から見ているほど簡単な政治ではなかったということだ。
安倍は、閣議で言葉を慎んだという。相反する立場の活発な議論を誘導した後、終盤に成功する可能性が高い政策に乗った。安倍時代は「成功した機会主義の時代」と言える。もしその機会主義が、『民生を安定させず政治スローガンで扇動することしか知らないこと』、『外交の土台を不安定にしながら強い安保を期待すること』が愚かなことであると、私たちを目覚めさせてくれるものであるなら、その機会主義を考え直してみるのもいいではないだろうか>。
「文在寅は安倍を見習え」をものすごく迂回的に書いた、そんな気もします。でも、「韓国は、韓国が日本を一番よく知っていると思っている」は、なかなか鋭い指摘だと思います。『韓国は、日本が、韓国が知っている通りの国でなければならないと思っている』のほうが的確でしょうけど。
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