韓国の日本専門家『日本にとって韓国との関係は、文政府が思っているほど重要ではない』

文在寅政府が急に『I ❤ JAPAN』な外交を始めてから、約2週間が経ちました。そして、先日の「カンチャンイル氏って、日本ではあまり評判良くないですよ」記事もそうですが、少しずつ、現実的な見方をする記事も増えてきました。増えたといっても、まだまだマイナーですけど。今日は韓国日報、韓国のシンクタンク「世宗研究所」の日本研究センター長、ジン・チャンス氏の寄稿文を紹介します。

韓国側は日本と関係改善アピールして南北関係、米朝関係なども一気に進めるつもりであり、バイデン政権も日韓問題を仲裁するだろうという期待感を示しているけど、韓国が思っているほどことは簡単ではない、という内容です。寄稿文は、なにより、もう日本にとって韓国の優先順位は高くない点を指摘しています。以下、部分引用してみます。

 

<<・・(※日本も韓国との関係改善に興味を示しているし、日米の新しい政府に関係改善のメッセージを送ること自体がそう間違っているわけでもない、ということを書いてから、しかしー)韓日関係改善の必要性が、強制徴用問題の解決につながるかは疑問である。

両側が会っても、そう切迫さも見られず、まだ相手が解決作を提供することを望む姿勢も変わっていない。その例として菅総理は「韓国側から徴用工問題の進展した立場を提示してほしい」とする以前の立場から、少しの進展も見せなかった。

 

日本の外交課題において、韓日関係の改善は、優先順位が非常に低いといっても過言ではない。バイデンの大統領当選が確実視され、菅総理の優先外交課題は、米国と一緒に「インド太平洋戦略」を強化するものである。菅総理の最大の目標は、米国との関係を安定化させ、安倍のように、対米関係を発展させる安心感を日本国民にアピールすることだ。その次は、中国との関係をどのようにするのか関心が集中している。日本は、インド太平洋構想、環太平洋経済連携協定(TPP)に韓国が参加することを希望してはいるものの、韓国の戦略的価値を高く評価してはいないのが現実である。さらに、バイデン政府の登場で、インド太平洋戦略とTPPでの日本の役割拡大への期待感は大きくなったように思える。

 

また、韓日協力の優先課題である北朝鮮の核問題でも、最近、日本は韓国に依存する必要性を感じなくなった。バイデン次期大統領が北朝鮮の核問題で「ボトムアップ(Bottom-up)」アプローチを取ると予想され、南北関係の急進展は難しくなったからである。トランプ大統領の時には、文在寅政府が北朝鮮の核問題のまとめ役をしながら、南北問題の急進展を見せることもできた。その過程で、日本は日本人拉致問題を解決できないまま、北朝鮮の非核化の過程で疎外されたという焦りも示した。しかし、バイデン政府の登場で、日本人拉致問題は日本が余裕を持って対処できる環境が造成された。さらに、いまの日本は韓国の仲裁がなくても、日本人拉致問題で直接北朝鮮と対話をすることができると考えている。東京オリンピックで、北朝鮮を説得して、南北、日米協力を推進するという韓国政府側の主張に、日本が消極的な理由でもある。

 

そして強制徴用問題では、「韓国が解決しなければならない」とする日本の認識が、韓日関係改善の妨害となる。さらに、「韓国と妥協すると、結局はさらに譲歩をしなければならなくなる」という根深い不信は、韓日関係を暗くする。特に、外交経験があまりない菅総理が2015年の韓日慰安婦合意に直接関与して失敗したという認識も、韓国への不信感を強くしている。したがって菅総理は、安倍総理のように理念に埋没されるほうではないが、韓日関係の改善には慎重になっている。

バイデン政府の時期に日本が眺める韓日関係の算法は、文在寅政府とは違う。残念ながら「安倍前総理は信念のために、菅総理は戦略的であるために、どのみち韓日関係改善は難しい」という言葉が、正しいようだ。しばらくは、菅総理が韓日関係の改善に積極的に出てくる可能性は非常に低い。今後、日本の菅政権は強制徴用問題について、韓国が解決しなければならないという従来の主張を取りながら、韓日関係の最悪の場合に備える姿勢を取る可能性が高い・・>>

 

 

部分的に「もしもし?」といいたくなる部分もあります。文在寅政府が核問題でまとめ役だったとか(ある意味、一時的に急進展ではありましたけど)、日本がパッシングに焦っていたとか・・それは韓国側がそう認識しているだけではないでしょうか(ほかはともかく、現実においての結果として)。

ただ、「日本にとって、もう韓国との関係改善の優先順位はそう高くない」、「最悪の場合に備えているだろう」という指摘は、韓国側の関連記事の中では結構現実味のある内容だと言えるでしょう。なにせ、読み方によっては、『今の状態でラブレター送っても無駄ですよ』という内容にもなりますので。

 

 

拙著<「反日」異常事態>が発売中です!ありがとうございます!

拙著のご紹介

以下、拙著の題の部分はアマゾンリンク(アソシエイト)になります。リンクされたページで電子書籍版もお選びいただけます。

・現在の最新刊は<「反日」異常事態(2020年9月2日発売)>です。いわゆるK防疫として表出された、韓国の反日思想の本性である『卑日(日本を見下す)』とその虚しさについて主に考察しました。本ブログの「反日 異常事態」紹介エントリーもぜひお読みください!

・<高文脈文化 日本の行間>は、私が日本で暮らしながら感じた『日本語』に関する本です。

・<なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか>は、韓国社会の「借りたお金を返さない」心理と日韓関係の現状の類似点を考察した本となります。

他のシンシアリーの拙著については、書籍紹介ページをご覧ください。ありがとうございます。

・シンシアリーはツイッターをやっています。他のSNSはいまのところやっていません。ほとんどが更新報告ですが、たまに旅行先の写真をツイートする時もあります。よかったらチェックしてみてください

・本ブログのコメント投稿、VPN・PROXYからはうまくいかない場合があります。リンクはhttpの「h」を消してください。