韓国語は、日本語に比べて「相手を見下す」に特化された表現がいくつかあります。その中の一つに、『ノム(놈)』という言葉があります。単に「やつ(奴)」と訳される場合は、日本で言う「やつ」とほぼ同じ使い方ができます。それもそのはずで、もともとはそこまで悪い表現でもありませんでした。
昔は、漢字「者」にあたる朝鮮半島固有語だったという説(相手を見下すためのものではなかった)もあります。実際、いまでも、幼い男の子に「はははこいつめ」と言う意味で「はははこのノムが」と言う表現が残っているので、個人的に、この説の説得力は高いと思っています。
しかし、そういう特定のシチュエーション以外で「ノム」を使うと、普通に喧嘩になります。なぜなら、少なくとも今の韓国語において「ノム」は、明らかに相手を見下す意味が込められているからです。ご存知でしょうけど、朝鮮時代、身分の低い人たちには、名前がありませんでした。そんな人たちを呼ぶとき、「ノム」を使ったからです。「そこのノム、ちょっとこっちに来い」と。人だけでなく動物にも「ノム」を使いました。例えば、名前を知らない犬や豚が大勢いて、その中で一匹を選ぶとき、「あのノムにしよう」と言います。今になって、「ノム」が良い意味になっているはずはないでしょう。少なくとも、普通の会話で使っていい言葉ではありません。
ですが、韓国、忠清道の知事が、青年たちを相手にした演説で「親日売国奴は『ノム』と呼んでもかまわない」と話して、話題になっています。ローカルメディア「グッドモーニング忠清」の記事から、部分引用してみます。
<<ヤン・スンジョ忠南知事が、青年たちに、故キム・ジュンヨプ(1920〜2011)高麗大教授が書いた「 壯丁」を薦め、親日売国奴に「ノム」という表現を使って目を引いている。ヤン知事は28日、~~(※地名省略)で行われた、青年を対象にした「国家均衡発展トークコンサート」で、「キム・ジュンヨプ先生の『壯丁』を勧める。とても感銘深く読んだ」と話し始めた。
両知事によると、この本は、日本植民地時代、当時学徒兵に連れて行かれた朝鮮の青年が脱出した後、中国重慶の臨時政府を訪ね金九先生と一緒に独立運動を繰り広げる内容を盛り込んでいる(※小説です)。
両知事は「日帝時代満州軍官学校を出て、日本の陸軍士官学校を卒業した後、解放後も、韓国で偉そうに豊かに暮らした人が一人、二人ではない」とし「国を失ったとき、国権回復のために戦うどころか、敵の手先だった人が、解放後も指導者的位置を占めて、思うままにするなら、その民族の精気がどうなると思いますか?」と声を高めた。
ヤン知事は、特に「李完用やソン・ビョンジュンのような売国奴は、ノムと呼んでもいい」とし「そんな奴らのような民族の反逆者、裏切り者、売国奴どもしかいないなら、国がどうなろうか。金九先生と尹奉吉医師、金佐鎮将軍、柳寛順烈士、李東寧先生のような方がおられたから、韓国があるのだ」と強調した。
ヤン知事は地主と小作農の比喩を提示した後、「大韓民国の下位20%世帯の月収は106万ウォン程度で、消費は126万7000ウォンだ。約20万ウォン、毎月赤字だ。もちろんその中には、ちゃんと働かない人もいるだろうがそういう問題ではない」とし「一緒に豊かに生きていこう。すべての人が尊厳を持って生きることができる社会にならなければならないというのが私の政治哲学」と強調した・・>>
余談ですが、「セッキ(새끼)」も同じく、最初は「子」を意味する言葉でした。それが、身分の低い人や、動物の子を~セッキと呼ぶようになり、今の韓国語ではノムよりも攻撃的な表現になっています。『お前の親は身分の低い人または動物だ。その子のお前もそうだ』というニュアンスがあるからです。数年後には、『セッキと言ってもいい』と教えるかもしれませんね。
くだらないニュースでしたが、韓国人の反日、『日本を見下す』という心理が垣間見れるニュースではないだろうか・・そんな気もして、更新してみました。
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