韓国の外交安保分野の「元老」とされる4人が、現在の日韓関係とその解法を論ずる記事がありました。中には元老と言えるのか?な人も入っているし、全般的に見て「そんなことなら誰でも言えるのでは」なものではあります。しかし、部分的にそれっぽいことを指摘する部分もあるし、なにより、記事の書き方に好感が持てます(本エントリーはさらにその要約ですが、ソース記事は、4人の意見をうまくまとめ、長くなく、読みやすい文章で出来ています)。
でも、せっかく言ってくれた人たちには失礼だと承知しながらも、私なりの批判も書いてみます。なにせ、国際法を論ずるべき時点に来て、「道徳的優越性を日本に取られた」などと言ったところで、解法になれるはずもなく。『ソウル経済』です。
・シン・ガクス元駐日大使「ムン・ジェイン政府は慰安婦の合意を事実上無力化させ、強制徴用関連最高裁判決にも外交的解決策を出さず、消極的な態度を見せてきた・・・最終的には関係回復するかどうかは、私たちの政府がどのように積極的に被害者・支援団体などと協議して実効的解決策を用意するかにかかっている。これを土台に、日本政府の協力を得て、特別立法を通じて外交的妥結を見ることが重要だ」
この主張は、『韓国側が先に解決法を用意する(両国協議はその後)」という日本側の主張と一致する部分があり、また、最高裁判決の賠償などを、何かの特別な法を作って韓国側が対応すべきだとしている点が特徴です。立法が動くというのは、『三権分立だから政府は知らない』という意見とも相反する部分があり、他の意見よりはまだ分かります。ただ、これらの主張の前提となっている『被害者たちとの協議』がうまくいくはずがありません。被害者中心主義という盾に身を隠してきたツケとでも言いましょうか。
・キム・スク 元国連大使「いままでこの問題(※元徴用工、慰安婦など)は、政府より市民団体が主導してきた。司法判断に先立って、政府が外交的に対応すべきだった。日本が歴史的に加害者という点は異論の余地がない『遠因』である。しかし、『近因』としては、私たちに責任がある。韓日の間の歴史懸案に私たちが対応を間違えたせいで、日本が優位になり、私たちの道徳的優越性が損なわれてしまった」
道徳的優越性より国際法を論ずるべき時点です。
・ユン・ビョンセ 元外交部長官「現政府は、任期が残っている間に、両国政府と国民が信頼を回復できるように真正性ある実質措置を講じなければならない。後任政府と将来の世代に韓日関係破綻という大きな負担を与えてはならない」
久しぶりに登場したユン長官ですが・・何を言っているのかよく分かりません。児童向けアニメみたいな内容です。
・クォン・ヨンセ「国民の力」議員「韓国政府が未来志向的なメッセージを出さなければならない。慰安婦合意を潰したこと、強制徴用判決、『今回の総選挙は韓日戦』など、すべては国内の選挙に影響を与えるための戦略にすぎなかった。(韓国政府は)『韓日間の問題を国内政治に利用しない』という発言をしなければならない。それこそ未来志向のメッセージになるだろう」
面白いですね。韓国では、「日本が『国内政治に利用するために』嫌韓スタンスを取っている」というのが定説です。それを、「韓国政府が『もう国内政治に利用しない(≒いままでは国内政治に利用してきたけどもうしない)』と発言する必要がある、と。良し悪しより、具体的に言っているのが特徴です。
しかし、そんなことを言っても、果たしてそれを信じる人がいるのでしょうか。この『韓国は信用できない』『何度も韓国に騙されてきた』という感覚こそが、現在の日韓関係の根幹にあるわけでして。韓国側の主張から『韓国政府は、国際法違反状態を認めるしかない』。この一言を見つけるのは、まだまだ無理のようです。曇り過ぎですみません。あと、更新が遅くなったことも申し訳ございませんでした。
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