6月、スペインを訪問した文在寅大統領が、スペイン上院図書館で「朝鮮王国全図」を観覧し、「独島(※竹島のこと)が韓国の領土であることを示して非常に貴重な史料である」と話したことがあります。
「朝鮮王国全図」は、18世紀のフランスの地理学者であり地図製作者であるジャン・ バプティストブルギニョン・ダンビル(※表記に自信ありません)が発刊した「新中国地図帖」に含まれている地図で、于山島(韓国が竹島と同一の島だと主張しているもの)を朝鮮の領土と描いています。ちなみに、この地図は満州も朝鮮の領土だとしています。
・・・中国の地図集となる「新中国地図帖」に朝鮮の地理が出てくる時点で、すでに当時の朝鮮に関する認識がどうなっていたのか、分かる気もしますが、なぜかそこを指摘する声はありませんでした。
で、本題ですが・・文大統領がスペインで見たその朝鮮王国全図には、于山島が鬱陵島より朝鮮半島側に描かれています。これについては過去エントリーでも紹介したことがあります。于山島は、韓国側が竹島(独島)と同一の島だと主張しているものですが、なぜか鬱陵島より朝鮮半島側に描かれている場合が多く、そう信憑性の高いものではありません。それもそのはず、昔の朝鮮半島の地図は、自分で調べて描くものより、前のものを参考にして書き写すものが多かったです。特に外国人が作ったものの場合、『自分で地理を調べて描く』には無理がありました。
その中心には、朝鮮時代、国策により制作された『東国輿地勝覧』という地理関連の本があります。当然、地図も付属していますが、それを「八道総図」と言います。八道総図には、『于山島』が鬱陵島より朝鮮半島側(日本から見て鬱陵島より西側)に描かれています。もし于山島が竹島(独島)なら、ありえません。于山島そのものが詳しく何を指すのかは分かりませんが、少なくとも領有権主張に使うほどのものではありません。この件は日本外務省のHPにも載っています。
個人的に、朝鮮王国全図にも于山島が朝鮮半島側に描かれていると確認できてからは「ああ、この話は終わりだな」と思って、それからこの件はエントリーしませんでしたが・・なんと、韓国政府は、この地図を『日本への対応』として展示していることが分かりました。以下、ヘラルド経済から引用します。<<~>>が引用部分となります。
<<最近、コロナ検査抑制を介して確診者数を縮小操作した疑惑を国際社会から受けている日本の岸田政府が、突然、独島(※竹島)に対する挑発まで継続し、自国の総選挙に備えている。そんな中、私たちは、大人らしく、独島の生態を内・外国人と共有する企画展示を行う。文化財庁傘下の国立文化財研究所は、独島の日(10月25日)を迎え、独島の過去、現在、未来をテーマに、関係機関と共同企画展「独島自然保護区」を来る25日から12月31日まで大田天然記念物センター企画展示室で開催する。第1部「独島の過去」では、独島が韓国の領土だと表記した地図の中、最近、スペインで公開されて話題になった「朝鮮王国全図」をはじめとする9点の古地図と、東海が表記された古地図7点の計16点を一堂に披露する。展示する古地図は、北東アジア歴史財団と独島博物館が提供する・・>>
「大人らしく(オルンスロプケ)」という言葉が眩しすぎで、オチが書けそうにありません。とりあえず、大人なら、まずは国家間の約束を守ってほしいものです。あと、『国際』社会からの疑惑といっても、韓国以外にありましたっけ・・
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