北朝鮮の言う「日帝強占期」と「米帝強占期」

一つ前のエントリーで、『日帝強占期』を北朝鮮発の表現だと書きましたが、そういえばこの手の話をしばらく取り上げなかったので、エントリーしてみます。

韓国の民主主義活動家たちを通じて、そして『民族史学』または『民衆史学』というそれっぽい名で、北朝鮮側の思想が韓国に入り込んだのは、目新しいことでもありません。そして、彼らは軍事政権が崩壊してから、市民団体・学術団体という形で急激に政治勢力となりました。

2015年に各種教科書を分析してその『北朝鮮の歴史書そっくり』な部分を指摘した当時耽羅(タンラ)大学・丁慶姬(ジョンギョンヒ)教授によると、当時10年近く使用された6種の韓国近・現代史教科書は、「韓国については『李承晩独裁』、『朴正熙独裁』、『40年間独裁』など13回も独裁という表現を使っているのに、北朝鮮の金日成、金正日については、一度も独裁という表現を書いていません。 また、朝鮮戦争を意図的に歪曲して北朝鮮の『南侵』責任を薄め、大韓民国の成功については否定的に表現、北朝鮮に非常に友好的な記述をしています」、な状態です(以下、丁教授の意見は2015年の朝鮮PUBからの引用です)。こういうのが『とてもとても分かりやすい』事例でありましょう。

丁教授によると、1980年代中後半に進歩(左派)学者たちは本格的に歴史団体を設立、組織的な学術運動を展開しました。その際に彼らが掲げたものが「民衆史学」であり、丁教授はそれを高説明します。「民衆史学とは、歴史発展の主体を『民衆』とする歴史観であり、一言で、民衆が主体となり、『主』となる社会を建設するための変革を模索することが目標です」。

韓国の市民団体は、民衆(または『市民』)とか、自発的とか、そんな言葉を好んで使いますが、結局は「その民衆を代弁する私たちこそが~」とかなんとかしながら、利益は自分たちで独占します。似たようなパターンが北朝鮮の主体思想で、人間は自分の世界の主体であるべきだとしながらも、その人間は集団を成さないといけないので、その集団の主体である金日成こそが各個人にとって『主』となる、主体思想とはそんなものです。

そんな人たちの民衆史学とやらが、自由民主主義陣営の世界観に馴染めるはずがないでしょう。彼らにとって民衆とは『正統性』という単語を別のものにしただけで、彼らにとってあるべき国家は韓国ではなく北朝鮮です。本ブログでも何度か書いた内容ですが、丁教授も似たような話をしています。

「彼らは、大韓民国を帝国主義アメリカの植民地と認識しており、私たちの近・現代史を支配階級と被支配民衆の対立構図として捉えています。実例として、『日帝時代(※前から韓国では併合時代をこう呼んでいました)』を、北朝鮮式用語である『日帝強占期』に変えたのも、彼ら民衆史学者です。これは、北朝鮮が終戦前と後の韓国の歴史をそれぞれ『日帝強占期』と『米帝強占期』に区分しているのと、一致します。『日帝強占期』は、『米帝強占期』と対をなす北朝鮮式用語ですが、民衆史学者たちがこの用語を選択したということは、北朝鮮の歴史解釈に同調していることを、自ら示しているわけです」。

昨日お紹介した、「米国(桂タフト協定)のせいで、韓国(朝鮮)は日本に併合された」とする主張。韓国ではたまに目にする主張なのでブロガーとしてはそう珍しい話でもありませんが、与党の有力大統領候補が米国上院議員の前で話したことは、かなりインパクトがありました。まだ未読の方は、昨日のエントリーをお読みください。で、その件で「ペンアンドマイク」が調べたところ、その「米国のせいで(桂タフト協定で)韓国が日本に併合された」という主張が、北朝鮮の歴史書「朝鮮通史」にそのまま載っていることが確認されました。朝鮮通史は、北朝鮮の国定歴史教科書のような存在だと言われています。以下、ペンアンドマイクから引用してみます。<<>>が引用部分となります。

 

<<・・朝鮮通史北朝鮮社会科学院、1958年版の、1987年版抜粋本から、記者は13日午前該当文件を入手、'桂タフト協約'に関する北朝鮮の主張を確認した。「北朝鮮の科学院歴史研究所が1958年9月に発行した「朝鮮通事(下)」で計15枚に分けて記述する」としている。「日本の朝鮮強占政策を防助した米帝と国内の売国逆賊たちの罪悪」、「米国帝国主義は他の列強より中国領土略奪競争に一歩遅れて参加したが、将来の本格侵略のための遠大な計画と実質的な利権追求においては決して怠らなかった」、「1905年6月、米国の主線によりポーツマス講和会議が開かれた戦後時期に、すでに米国の計画によって朝鮮の運命は決定された。その計画のため、日本との間には必要な取引が成立したのだ ・・アメリカは陸軍長官タフトを日本に派遣し、日本首相桂太郞との間に秘密会談を進めた」・・「米英帝国主義者たちは、朝鮮に対する日本の保護政治から合併までも承認した・・これは、こんなことに経験の多い、狡猾な米帝が朝鮮に這った初日から騒いだ、欺瞞的宣伝の効果でもある」・・>>

 

日帝強占期は、米帝強占期とセットになっている言葉である。丁教授の話は、2021年になった今、有力大統領候補によってもう一度証明されたと見てもいいでしょう。ひょっとすると、日本含め自由民主主義陣営が『それでも自由民主主義陣営の仲間』と認識していた大韓民国という存在は、すでにどこにも無いのかもしれません。

 

 

産経新聞「編集者のおすすめ」に拙著『文在寅政権最後の暴走』が紹介されました

拙著著のご紹介&お知らせなど♨  以下、本の題の部分はアマゾン・アソシエイトになりますのでご注意ください。

新刊<文在寅政権最後の暴走>が発売中です。文政権で日韓関係がどう変わったのか、文政権の考える『まともな国』とはどんなもので、それは南北、対日、対米、対中関係をどう考えていたのか。そして、どう失敗したのか。次期大統領選挙や日韓関係はどうなっていくのか。そんな内容となります。

准新刊<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >が発売中です。日本語たる不思議、その圧倒的な行間。「ありがとう」たる行間の存在。それらについて考察した本になります。既刊として、日本滞在4年目の日常と、ラムザイヤー教授の論文騒ぎから見えてきた日韓の差を考察した<「自由な国」日本から見えた「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論>、併合時代や1965年(基本条約締結)の韓国語記事などから当時と現状を考察した<恥韓の根源>も発売中です。他の拙著については別ページにまとめました

サブブログに議論エントリー(1~3)と雑談エントリーを用意しました。長くなりそうな話にはサブを利用してください。シンシアリーはツイッターを利用しています。99%更新告知ですが、たまに旅行先の写真とか載せますので、よかったら覗いてみてください。

本ブログのプライバシーポリシーはこちらになります

© 2021 シンシアリーのブログ Powered by AFFINGER5