偶然見つけたものですが、最近のテーマの一つである『地位』とも関係している気がして、紹介したいと思います。
詳しく名前までは明記されていませんが、日本の歴史書を韓国語に翻訳、韓国で出版する過程で、その歴史書を書いた日本人著者(故人)の奥さんが、韓国側の出版社にこう話したそうです。「韓国で出版される場合、『天皇』になりますか、それとも『日王』になりますか」、「天皇と訳されるなら韓国では騒ぎになるだろうし、それは夫の名誉を傷つけることになるでしょう」(※内容的に、「日王と訳するのはダメ、天皇と訳してもダメ」、すなわち韓国での出版を避けたいという意味になります)。
この話を聞いたソウル大東洋史教授パク・フン氏が、「これは嫌◯だ」とし、「◯韓もここまできてしまったのか」とコラムを載せました。以下、京郷新聞から引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※日本歴史書の韓国語版出版に)日本の出版社が、どこも著作権交渉に難色を表したり、最初から回答をしないという。ある有名出版社は、すでに故人になった著者の夫人が、韓国出版に否定的だと言う。どういうことかと事情を聞いたら、こんな話を聞いてくれた。その著者の奥さんが、ハングルに翻訳される場合、「天皇」を天皇と翻訳するのか、日王と翻訳するのか尋ねたという。そして、天皇に翻訳する場合、韓国で大きな問題が生じ、夫の名誉に問題をきたすか心配されるという。
韓国のメディアでは日王という言葉を使うが、これまで学界の日本史翻訳で天皇を日王に翻訳したことはほとんどなかった。この人は、韓国が北朝鮮のような国だと思っているようだ。私には、日本の嫌◯雰囲気を象徴する事件のように感じられた。この言葉にならない遺族の誤解を説得して仕事を進めなければならない出版社は、この奥さんの言葉を伝え、これ以上の交渉を回避しようとし、他の出版社も交渉メールに返信すらちゃんとしなかった。
政治・外交的な問題とは何の関係もない学術書を、隣国の信頼できる研究者たちが翻訳するというのに、「翻訳してあげるというのに!」が率直な心情だが、それに冷胆な日本の有名出版社を、私は今も納得できない。どうか韓日関係とかそんなものじゃなく、実はビジネス的に気に入らないから適当なことを言っただけだろう、そう信じたい。本当、こういうのやめてほしいものだ>>
「ああ、こんなことにまで『日本が悪い』を叫ぶのか」と、改めて驚き(悪い意味で)が隠せませんでした。韓国の日本観が、どれだけ『無謬な善』と『無謬な悪』で二分されているのか、ハッキリする文章でもあります。その奥さんが心配するのは当然でしょう。いままで『日王』という単語で韓国側の記事が溢れかえってきましたから。
それに、もし本当に出版する気があるなら、韓国側からその奥さんに『歴史書だから、そのまま天皇に訳されます』と言えばいいでしょう。ソース記事の内容からして、それをちゃんと言わなかった、いや言えなかったようですが、さて、その理由は何でしょうか。決まっているでしょう。『韓国側で問題が起き、夫の名誉が傷つく』可能性を否定できなかったからです。
このパクフン教授は、天皇をそのまま「天皇」と呼ぶべきだとしていますが、その根拠は、次のようです。同じく京郷新聞、別のコラムです。<<・・日本国民の意識は「天皇」の下で抑圧されており、日本の民主主義もその名の下に制限されている。 私たちは誇り高い共和国の市民である。 皇帝だろうが王様だろうが、私たちはもうそちらの世界とは縁を切った共和国を樹立した。「皇」を使うのか、どんな元号を使うのかは、朝鮮民にとっては重要だったのかもしれないが、韓国共和国の市民には重要ではない。天皇だろうが玉皇上帝だろうが、軽くそう呼んであげればいい。それが民主共和国市民の誇りだ・・>>
この人、日本の歴史書の翻訳にも結構関わっているそうです。翻訳して『あげる』もそうですが、本当に、上から目線ばかり。ふっと、北のほうを思い出しました。自分たちのシステムと違うのはすべて帝国主義で、民族正統性を傷つけるもので、自分たちだけ首領を主体とする『誇り高き』人民民主主義である、と主張する。そう、北のことです。『奥さん』って、本当に賢明な方だな、と思いました。
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