「誰が大統領なのか」は重要ではない。「どういう大統領なのか」を示す必要がある

何度か同じ趣旨を書きましたが、韓国では尹錫悦氏の当選により、日韓関係はすぐでにも改善される(改善という言葉の定義はともかく)という見方が主流になっています。その論拠されるのは、岸田総理が尹氏の当選を祝うメッセージを送ったこと、尹氏が当選後に岸田総理と電話会談したこと、尹氏が日韓関係をなんとかしないといけないと前から話していた点、などです。

ただ、個人的な意見ではありますが、そういう韓国メディアの主張には、『日本は尹氏の当選を心待ちしていた』という考えがもっとも強く影響しています。いわば、『韓国が日韓関係の改善を望んでいたというより、日本が日韓関係の改善を望んでいた。そんなとき、尹氏が大統領に当選した。だから、改善に向かって当然だ』という、ちょっと微妙な考え方です。中には、『尹氏が当選したのに、なんで日本側は佐渡金山の世界遺産登録を続けるのか』と不思議に思うニュアンスの記事もありました。

しかし、尹錫悦氏は、日韓関係改善より米韓関係の改善、詳しくは米韓同盟の強化をもっともっと強調しました。尹当選人の方向性なら、確かに米韓同盟は今よりはよくなるでしょうし、米国としてもそれは歓迎すべきことです。単に共同訓練がちゃんと出来るだけでも、対外的にアピールできますから。でも、それは強化というより、いままで機能しなかった同盟関係の『正常化』への歩みにすぎません。一つ前のエントリーでも紹介しましたが、それ『以上』の件は、米国側はまだ何の反応も示していません。

同じく、日本側からも、これといった具体的な反応はありません。『一応期待はするが、さて、どうかな』な反応だけです。他でもない、日本の皆さんがそう思っています。本ブログで15日にお伝えしたNHKの調査結果では、「韓国の新大統領選出で韓日関係はどうなると思いますか」とする質問に、59%が「変わらない」と答えました。「良くなる」25%、「悪くなる」4%。そして、韓国では聯合ニュースが報じていますが、共同通信の新しい調査では、さらに多くの72.2%が、『変わらない』と答えました。ソース記事から短く引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

 

<<日本国民10人のうち7人は、韓国次期大統領に韓日関係改善を強調してきたユン・ソクヨル候補が当選したにもかかわらず、両国関係が変わらないと展望したことが調査された。日本の共同通信は19~20日、電話世論調査をした結果、今後の韓日関係展望に関する質問に、回答者の72.2%が「変わらない」と答えたと20日報道した。 「良くなる」という回答は18.9%、「悪くなる」は3.8%だった・・>>

日本も米国も、考えていることは同じではないでしょうか。「前の政権」か「今の政権か」ではありません。「韓国が」です。その韓国は、いま日韓関係、米韓関係、日米韓関係、そしてなにより、『自由で開かれたインド太平洋』から、あまりにも外れた場所にあります。確かに前の政権の責任は大きいと思いますし、尹政府としては、後片付けだけでも相当大変だろう、とも思っています。しかし、重要なのは「誰なのか」ではなく「どうなのか」です。

尹政府が相応の実績を残し、日米韓、自由で開かれたインド太平洋に自由民主主義国家としてちゃんと参加することが出来れば、そのときこそ、歴史問題以外では、協力できる道が開かれるでしょう。口だけでなく、本当にツートラックができるかもしれません。さて、尹政府にそれができるのでしょうか。残念ながら、個人的に、顧問が「前の政権の問題」を強調したり、メディアが「尹氏が当選したにもかかわらず」を強調したりしている間は、難しいだろうと見ています。

 

 

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