「悪化」が「平常」になるとき・・日本国民世論調査、「(尹錫悦政権の誕生で)日韓関係は変わらない」59%

前にも書いた記憶がありますが、そもそも最近の日韓関係において「関係悪化」って何がどう悪くなったのだろう、と疑問です。民間の交流が止まっているのは新型コロナによるものでしょうし、単に両国関係で懸案が多いとかそういことなら、ずっと前からあったでしょう。この悪化というのがどういうものかをちゃんと考えないから、「関係改善」の改善についても具体的な話が出せないのではないでしょうか。

 

じゃ、何が問題か。韓国側が言うことは前から変わっていません。いわゆる歴史問題において、ああだ、こうだ、と。でも、文在寅政府になって、それを『法律』レベルで認めるようになりました。これは、『確定(最高裁判決)』は文在寅政府のときに起きましたが、実はその前から蓄積されてきた結果です。個人的に、盧武鉉政府のときにこの動きが本格化したと思っています。当時、盧武鉉政府は、旧朝鮮半島出身労働者問題では国内で補償するのが仕方ないとしつつも(この点だけは今よりマシかもしれません)、基本条約では解決できていない事案があると主張し、勝手に『そういう結論』を決め、日本にも『解決されていないと決まった』というスタンスを要求するようになりました。

李明博大統領の初期に少しだけこの動きが弱くなりましたが、次々とわけわからない裁判結果が出て、焦った朴槿恵大統領が裁判の延期にこだわったものの、結局は旧朝鮮半島出身労働者問題などが基本条約では解決されていないとする判断が、最高裁で確定しました。「感情の法律化」、しかもそれが外交関連事案となると、それは民間とか国内とか、そんな話ではなくなります。文大統領より前の政権で日韓関係が良かったとは、個人的にはとても思えませんが、とにかく「その前に比べてさらに関係が悪くなった」というなら、この点が一番大きいでしょう。

それに、その法律判断が、国家間の約束を無力化、または破綻させてしまう内容となると、日本がそれについて問題を提起するのは普通のことでしょう。一つ一つの事案においてではなく、日本政府がずっと言ってきたことは一つだけ。『国家間の約束を守れ』、すなわち条約を守っていない、国際法的に違反状態にあるとのことです。問題を起こしたのは韓国という『国家』だから、三権分立とか言ってないで、どう解決するのか説明してほしい。それが「先に解決策を示せ」という迂回的なフレーズで現れています。

ちょうど一つ前のエントリーで、世界日報の「岸田首相はユン当選人との通話でも『健全な韓日関係』の復元を強調した。『健全な韓日関係』とは、結局、日本側の主張が貫徹された関係を意味する」とする主張を紹介しましたが、すでにこの時点で終わっています。「感情の法律化」、いや「法律の感情化」による今回の事態において、「国際法を守れという主張は、日本が望むものに過ぎない」と話しているわけです。そして、こういうスタンスは、誰が大統領になってもそう簡単には変えられないものだと、もう日本の国民は気づいています。

日本国民の約6割は、尹錫悦氏の当選による政権交代でも、日韓関係は変わらないと思っている事がわかりました。元ソースはNHKですが、韓国では聯合ニュースなどが報じています。本エントリーでは、聯合ニュースのほうを引用してみます。個人的に、NHKのほうがずっと見やすくまとめられていると思います。<<~>>が引用部分となります。

 

<<日本国民10人のうち6人は、政権交代による次期大統領で韓日関係の改善を強調してきた国民の力、尹錫悦(ユン・ソギョル)候補が当選したにもかかわらず、両国関係は変わらないと展望していることが分かった。日本公営放送NHKが調査をした結果、「韓国の新大統領選出で韓日関係が良くなると思うか」という質問に、59%が「変わらない」と答えた。「良くなる」という回答は25%、「悪くなる」は4%だった。いくつかの歴史問題で韓日葛藤の溝が深まった状況で、両国関係の改善が容易ではないと見る見解が優勢なものと解釈される・・>>

ちなみに、2017年文在寅大統領が当選直後、同じ調査で「変わらない」56%、「良くなる」7%、「悪くなる」24%でした。「変わらない」以外の数値の変動は、大統領選挙前に『この候補のほうがマシ』とするふうの報道が結構あったからではないでしょうか。『知らない』からではありません。もう『知っている』人が増えたわけです。変わらない、変えられない可能性がずっと大きい、と。単に交流を増やし、安保関連で両国間の会談を増やすとか、そんな流れなら別にいいでしょう。新型コロナが収まれば、自然と観光客も増えるはずです。でも、そういうのは、現状の「関係悪化」とか「関係改善」とか、そんなものを話す要因にはなりません。いまは悪化と呼んでいる状態が、すでに「平常」になりつつあること。これが重要ではないでしょうか。人それぞれ、いくらでも異論があっていい内容だとは思いますが、個人的に、この『変わらない59%』は、少なくとも現状では望ましい流れだと思っています。だって、どう見てもそうしか思えませんから。すこしでも、『知っている』ならば。

 

 

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