韓国、金利引き上げの裏・・『もうこれしかない』と不動産を買った20代、30代の現状

韓国では、相変わらず「円安」に関する記事が複数のメディアから出ています。基本的には、無条件で『良くない』とするもので、もう安全資産ではない、という内容です。日本では円安が主に物価関連で報じられますが、それとは方向性が違います。

韓国の場合、もちろん物価問題もありますが、基本的には『外国資金の離脱』が問題です。米国との金利差をほうっておくと、それがそのまま『ウォン』の危機につながるわけです。これについては過去エントリーでも紹介したことがあります。でも、こんな側面を指摘する記事は、そうありません。結局、ウォンが通貨価値をある程度維持するには金利を引き上げるしかないということですが・・その副作用が、韓国の若い世代に影響しています。いわゆる「ヨンクル」問題です。

 

韓国の若い人たちが不動産投資にはまった、いや「陥った」のは、もう目新しい話題でもありません。韓国の若い世代は、不動産によって人の社会的地位が決まってしまう現実を批判し、これは公正ではない、これだと、後からスタートした世代が、なにをやっても『出世』などできないと嘆きました。

しかし、彼らの一部は、その批判の対象と同じ道を歩みました。まるで、財閥を批判しながらも財閥会社に入りたがる人たちのように。さすがに高いものは買えませんが、いい加減な知識で『これは値上がりする』と思った物件を、買いました。その過程で、「ヨンクル(霊魂まで担保にしてお金を借りるという意味)」という言葉が流行ったりしました。朝鮮日報SBSがこの現象を問題視する記事を載せたので、紹介したいと思います。特にSBSは、30代に限ってではありますが、具体的なデータも載せています。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・所得主導成長政策は雇用を減らし、勤労所得を減少させ、自営業者を苦しめた。貧しい階層をさらに貧しくした。不動産政策の失敗で住宅価格が上がり過ぎで、20代、30代は「無条件でお金を借りる」形で、投資に出た。その20、30代が借りた資金は高金利のものだった・・・・様々な形でお金を借りて、遅れて住宅購入に乗り出した20~30代と低所得層の負債が、膨れ上がった。金利上昇期、住宅担保ローン金利がすでに年7%まで上がり、20・30代会社員は、利子だけで月200万ウォン以上を支払う事例が続出している。所得のかなりの部分を利子で出す状況となったのだ・・(朝鮮日報)>>

 

<<・・『ヨンクル』と言われる30代が、他の世代に比べて、『稼ぐ』ことに比べて負債も多いことが分かりました。どの程度なのか、「所得対比の家計負債がどのくらいか」を示すLTIで調べましたが、昨年末基準で全体平均が240%程度でしたが、30代は280%で、最高水準でした。負債規模が、30代は年所得の2.8倍、全体は年所得の2.4倍ということです。

負債が増える速度も30代速く、1年前と比べてLTIの増加幅が、30代は全体の2倍に近かったです。30代の場合、年収の42%を、返済に使いました。年収のほぼ半分を、利子を払うに使っているわけです。これは総負債元金の返済率であるDSRで見てみましたが、先のLTIとは違って伝貰(※保証金を預けて家を借りる制度)の保証金のために借りた負債などは集計されない数値なので、されたので、実際には42%よりも多くを使っていることになります。問題は、今後金利が上がれば、返済に使うお金が今より増えてしまうという点です・・(SBS)>>

 

この問題が報じられるのも、別に目新しいことではありません。でも、確実に『記事で問題とされる年齢層』が、下がってきています。10年前には50代以上が問題だとされました。退職が早く、老後のために何かやらないといけないから、その過程で家計負債が増えるという話がメインでした。数年前からは、40代が主役(?)でした。でも、それが最近は30代、記事によっては20代も問題視されるようになりました。こんな状態で『円安』でここまで騒ぐのか、いかにもKメディアってところでしょうか。

 

 

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