「日本より先に韓国に来る」という点を最大限に強調しながら、各紙はバイデン大統領の訪韓で盛り上がっています。難しいこと考えなくても、日本でのクアッド首脳会談が無かったらバイデン氏は動かなかったはずですけど、そういうのは考えてない、または考えてはならないのでしょう。
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の就任式に参席する各国の首脳(級)は、例年より少ないのではないか、という報道も出ています。「いまそれどころではない」という国も多いし、新型コロナもまだまだ脅威だからです。実際、一時は参席が予想されていたオバマ元大統領も、訪韓しないことになった、とも。こんな中、クアッド首脳会談が無かったら、高齢のバイデン氏が動いたでしょうか。
韓国のメディアの中にも、バイデン大統領の訪韓を「喜ぶのはいいが、そこまでする理由があるだろう」と、もっと緊張した方がいい、という趣旨の記事を載せるところがあります。本エントリーのソース記事、ソウル経済もその一つで、『バイデン氏がもっとも知りたがっているのは、対中政策において、韓国を信頼してもいいのかどうかだ』と書いています。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<「ワシントンは、右寄りの政権だった朴槿恵元大統領が中国の式典に出席した瞬間を忘れていません。尹錫悦大統領当選者が選挙期間、やや強硬な対中政策を標榜したものの、ワシントンがその言葉をそのまま信じることはないでしょう」。韓国で開かれる尹政権初の韓米首脳会談を控え、ワシントン政治界のある人物が話した内容だ。バイデン米大統領がソウルまで行って最も確認したがっているのは、尹当選者の、中国に対するする「本音」である、という趣旨の話だ。
実際、米国は朴槿恵政権から文在寅政権までの9年間、中国関連では韓国を信頼できるパートナーだと認識していない。習近平中国国家主席と並んでパレードを見ていた朴元大統領の姿や、中国共産党100周年を祝うと言った文在寅大統領の発言などを、米国外交当局者たちが忘れたはずがないのだ。「韓国は、カンボジアやミャンマー・キューバの短所ならうまく話せるのに、中国に対してはそうでもない」というマーク・ランバート米国国務省 日韓担当副次官補の発言が、ワシントンが持っている問題意識を正確に代弁していると言えよう・・>>
駐韓中国大使は、4月7日、『中韓関係において、THAADは言ってはならない言葉になった』と話し、尹政権に『それは言うなよ?』とサインを送ったことがあります。いろいろありますが、やはり尹当選人(大統領)がバイデン氏に何かを示すなら、THAAD関連になるでしょう。尹当選人は、最近、公約を次々と破棄しています。大統領執務室を光化門に移すという公約、自営業者などへの新型コロナ補償金公約(一部)など、です。そして、本ブログで過去エントリー(4月2日)で取り上げたことがありますが、最終的な公約リストからは、『THAAD追加配置』も無くなりました。この件は、支持層を意識してか、表向きにはほとんど話が出ていません。
以下、私見ですが、さすがに追加配置は難しいとしても、尹氏としては、『既存の』THAAD基地をなんとかする必要があります。これを放置したままだと、米国の心は動かないでしょう。マニュアル的な会話、話題にはなるけどしばらくすると何の実績もなく終わっている案件、基本的または対外的な同盟アピール、そんなものならなんとかなると思いますが。
いま「環境評価がまだですよ」という理由で正常運用されず、デモ隊により物資すら供給できず、基地内の軍人たちの生活そのものが問題視されている(米国防部長官が米韓2+2会談で直接言及したこともあります)、ソンジュ地域のTHAAD基地・THAAD運用の正常化すること。個人的に、これは尹大統領が米国側に示す最小限のことだと思っています。そして、それが出来るのかどうか。それが『結果』に繋がるでしょう。この件も過去エントリー(4月5日)で取り上げたことがありますが、これは実は『3不1限』といって、中国側の要求によって正常化しなかった、という話もあります。尹大統領は、これを正常化できるのか。繰り返しになりますが、『個人的に』、この件を韓米首脳会談でもっとも注目しています。
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