「2008年、韓国が米国に『米国債を売ってもいいけど?』と言ったおかげで、通貨スワップができた」・・ソースは当時の大統領、李明博氏

まだまだ、スワップ関連記事が目立ちます。基本的には米韓首脳会談でなんとかしてーな流れになります。大統領室はこれといって何も言っていませんが、国会議員とマスコミが騒いでいる、そんなところです。バイデン大統領『だけ』で決められる案件でもないでしょうし、さすがに大統領室や外交部は下手に言い出せないでしょう。

文大統領の訪米を思い出します。事前には、数百万人分は十分確保できるとか、1000万人分のワクチンが確保済みで発表だけを残しているとか、そんな記事もありましたが、韓国側が期待したような結果にはなりませんでした。でも、それを指摘する記事は一部だけで、ほとんどは「米国に大規模投資!凄い!」「歴代最高の成果!」と騒ぐものでした。

当時、個人的に、『もっとも事前に注目されていたのはワクチン関連のはずなのに、それに関する話はほとんどない』と、苦笑いしかできませんでした。言うまでもなく、それから米韓関係は何も変わりませんでした。今回の首脳会談の後も、終わった後にはスワップってなにそれ?米韓同盟!最高の成果!な流れになるでしょうか。

 

そんな中、スワップ関連記事の中で、珍しく、『米国には米国の事情がある』という記事もありました。通貨スワップの相手である米国の立場を、なぜ誰も言わないのか、というのです。ソースは中央日報ですが、「米国との通貨スワップ再開主張は、相手を変数とせず(米国の都合のことは考えず)、私たちの都合だけで、一方的に、再開して当然のような、そんなものになっている」、と。この文章だけだと、「確かにそれはそうだ」と思えますが・・実はこの記事、恐ろしいオチがあります。

『アメリカの都合を考えよう』という趣旨を展開しつつ、2008年、韓国側が米国に対し『通貨スワップを締結してくれなくても、韓国が米国の国際を売り捌くとなんとかなるでしょうね』と言い、その影響で米国がスワップに応じてくれた、というのです。ソースは、当時大統領だった李明博氏の自叙伝です。他にももう一件「米国が韓国にスワップしようと言ってきた」という話が載っていますが、それもソースが当時関係者の自叙伝です。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・韓米通貨スワップ締結に対する、多様な主張が続いている。21日に予定された韓米首脳会談の議題として、常時開設(※常設通貨スワップ)を議論しなければならないという声まで出ている。ウォン価値が世界金融危機当時の水準まで落ちた状況に、通貨スワップ締結は金融市場の不安をコントロールできる良い方法である。

心配なのは、韓米通貨スワップ再開あるいは復活主張が、通貨スワフの「相手」を変数とせず、私たちのニーズだけを前面に出し、一方通行のような、当然のことのような、そんな主張になっている点だ。韓国はドルという「傘」の下に入ると安全だ。一方、米国が傘をさしてくれるかは別の問題だ。実際に米国と結んだ二度の通貨スワップは、韓国と同じく米国もそれを必要としていた。キーは、アメリカが握っているのだ。

コロナ拡散が本格化していた2020年の韓米通貨スワップ締結当時の状況は、キム・ヨンボム前企画財政部次官が書いた『激変とバランス』に明確に書かれている。「2020年3月19日。外国為替市場が開場したが、1分間、ドルを売るという注文が1件も無かった。企画財政部と韓国銀行の口頭介入にも、為替レートは1296ウォンまで急騰した。外国為替市場のパニックを終結させたのは、韓米通貨スワップだった。我々が締結のために訪米したりする前に、夜、米国から締結しようと連絡が来た。新興国などが1兆ドルの米国国債を売った件が、影響を及ぼしたものと見られる」。

 

李明博前大統領の自叙伝『大統領の時間』によると、世界金融危機の時である2008年、韓米通貨スワップの締結は、カンマンス当時企画財政部基金部長官が「韓国が保有した米国国債を売ると、通貨スワップなしでも危機管理は可能だ」と圧迫してこそ可能だった。ドル不足による外部リスクを防ぐための米国の措置が、通貨スワップだったわけだ・・

・・そのため、韓米通貨スワップ公論化は、逆効果を呼ぶこともある。相応の成果が得られず、むしろ経済に問題があるという誤解を招く可能性がある。韓日通貨スワップと韓中通貨スワップもそうだったが、通貨スワップは経済・金融と政治・外交がかみ合った高度なパズルである・・>>

 

いやいや、パズルもなにも、ソースが信用できませんけど、これ。ありもしないエピソードで『無くてもあるチョック』がしたかったのでは・・それに、記事の趣旨は、どこをどう読んでも『米国には米国の事情があり、その変数を考慮しないと、通貨スワップは難しい』というものですが・・紹介されている二つのエピソード、事実かどうかの前に、これのどこが『相手』という変数を考えたものなのか、謎です。そんなに余裕があるなら普通に売ればいいでしょうが。普通に書いていたら、『韓国は凄いと書かないとならない』という衝動でもあったのでしょうか。途中までは他のスワップ関連記事よりずっとよかったのに、『どうしてこうなった』感が半端ありません。

 

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