バイデン大統領の訪韓について、複数のメディアが、「日韓関係について(韓国に有利な形で)介入してくれるだろう」とする趣旨の記事を載せています。ただ、通貨スワップとか、韓国が何かの枠組みに参加する件(IPEF、クアッドなど)などに比べると、意外と(?)そこまで話題にはなっていません。
韓国を先に訪問するということが、「韓国をもっと重要と思っているからだ」とされていることもあって(どう見てもメインはクアッド首脳会談だと思われますが、そういうことになっています)、日米韓協力のために何か仲介をしてくれるに決まっている、そんな内容です。16日にエントリーしたばかりの、『IPEFやクアッドに参加してやる代わりに、米国に日本を圧迫させよう』という意見なども、同じ趣旨のものです。
ですが、そんな中、「いや、それは違う」とする記事もあります。今回、バイデン大統領が日韓関係について、『日米韓協力は重要です』のようないつものセリフならともかく、それ以上言及することはないだろう、との内容です。ニュース1は専門家たちの意見を紹介しながら、二つの理由をあげています。一つは、『それはメインの案件ではない』。もう一つは、『日韓首脳が関係改善すると言ったので、米国としては、もう言えない(日韓両国に負担をかけることになる)』、というのです。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<ジョーバイデン米大統領が、日韓訪問をきっかけに、両国関係改善と関連した立場を表明するのかどうか、注目されている。バイデン政権は昨年1月発足直後から北朝鮮・中国などインド・太平洋域内安保脅威に対応するための「韓米日3国間協力」の重要性を強調してきたためだ・・
・・バイデン大統領は今回、自国主導の域内経済協力体「インド・太平洋経済フレームワーク」(IPEF)発足を公式化すると予想される。日韓共にIPEFに参加することで、両国間の協力の空間を徐々に広げていくだろうという予想も出ている・・・・(※しかし)これと関連し、専門家たちは、バイデン大統領が今回の日韓訪問で、韓日関係改善を直接注文するのではなく、経済安全保障などの領域で日米韓協力の重要性を強調するだろうと見ている。
チョジング慶南大極東問題研究所日本センター長は、「韓日両国の問題は絡み合っているため、こうしろ、ああしろと言うことが出来ない。そんなことをしたら、韓日両方に負担を与える状況になるだろうし、米国もそれを知っている」と話した。
バイデン大統領は、過去のバラク・オバマ政権の副大統領として、2015年日韓合意の過程で仲裁の役割を引き受けたと知られている。しかし、日韓合意はそれから、日韓関係悪化のもう一つの火種を提供した。したがって、バイデン政権では、日韓間の問題に再び介入する状況は、できるだけ避けるだろうという見通しが優勢だ。パクウォンゴン梨花女子大学教授も、「韓日両国首脳ともに関係改善する意志を確認しただけに、バイデン大統領がまた言及する可能性は少ないと見る」と話した・・>>
そもそも、バイデン大統領が日韓関係に直接言及する理由があるのでしょうか。現在の日韓関係により、米国が何か困った状況にあるのかというと、大してそうとも思えません。北朝鮮関連でも、尹大統領も文政権とは違う立場を(具体的なことはまだ分かりませんが)示していますし、バイデン大統領が文在寅大統領と会い、対北特使としての訪北を提案するのではないか、という話も出ています。こんな中、わざわざ日韓関係に介入するような発言をする理由もないでしょう。
いま韓国側にとって重要なことは、バイデン大統領が日韓関係に関して何を言うかではなく、韓中関係について何を言うのかでしょう。ちょうど一つ前のエントリーでも書きましたので重複する内容は避けますが、いま米国が気にしているのは、「なぜ韓国は日本と仲良くしないのか」ではありません。「なぜ韓国は中国から離れないのか」です。そもそも、日韓合意を破綻させておいて、『悪化の火種になった』としか認識しないようでは、どんな仲介案が来ても無駄でしょうけど。
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