韓米首脳会談・共同声明について・・サプライズは無く、無難な内容

予想通り、無難な形で米韓首脳会談が終わり、共同声明が発表されました。繰り返しになりますが、米韓首脳会談が『表面的に』失敗したことは一度もありません。これらがどんな結果、言い換えれば実績に繋がるのか、これから嫌でもわかるようになるでしょう。

以下、2021年5月22日、バイデン大統領と文在寅大統領の共同声明と『どこがどう変わったのか』を比べながら、気になる部分についての私見を綴っていきます。2021年の共同声明全文はニュース1のページに、2022年(今日)の全文は聯合ニュースにあります。どちらも韓国語であります。少しでも見やすくするために、「見出し」と「2021年」を赤い字にしました。

 

包括的戦略同盟について まず、米韓同盟が「時代に流れに合う、新しいステージに入る」という側面を強調しました。共同声明では『グローバル包括的戦略同盟』として表現されています。確かに経済安保に関する内容はありましたが、『軍事面においての同盟だけでなく、もっと広い範囲で』というテーマなら、前からありましたし、共同声明に入るのも初めてはありません。2021年にも似たような内容、「私たちは、新しい時代に、私たちの関係に活力を吹き込み、時代に合わせていくという決意を共にしている。バイデン大統領は、両国間のパートナーシップの新たな章を開くために~」との内容がありました。

2021年、2022年ともに、様々な分野(宇宙、気候変動対策など)で米韓両国が協力するという内容が書いてありますが、種類は多いけど具体的な話が足りない気がします。また、繰り返しになりますが2021年にも似たような内容があったので、ちょっとピンとこないというか、そんなところです。

 

安保経済について 2021年には無かった内容として、今回の目玉でもある、「経済安保」関連です。経済安保対話担当部署を新設するとか、半導体やバッテリーなど新産業分野の実質協力を強化する、などの内容で、IPEF参加もほぼ確定したというニュアンスとなっています。サプライズはありませんでしたが、普通に「無難な内容だった」と言ってもいいではないでしょうか。

対北政策について 他はパッとしない内容ですが、米韓の軍事訓練の範囲と規模を強化するという内容がありました。これは、米国としては嬉しいことでしょうけど、『~強化するための協議を開始すると合意した』という、ちょっと曖昧な内容なのが残念です。また、噂されていた『日米韓』の軍事演習については、言及がありませんでした。他に、米韓同盟は強力だ、とかそんな内容は、今まで通りでした。

 

日米韓協力について 一部では、バイデン氏が日米韓協力を強調するだろう、という予想がありましたが、実際はかなり簡略で、一般的な内容だけでした。「両首脳は、共同の経済的挑戦に対する効果的対応において、韓米日三国協力の重要性を強調した」などです。北朝鮮と経済安保関連で、2箇所出てきます。ちなみに、2021年には「私たちは、北朝鮮問題に取り組んでいき、私たちの共同安全保障と繁栄を守り、共同の価値を支持し、規範に基づく秩序を強化するための韓米日三国協力の根本的な重要性を強調した」でした。日米首脳会談のときも、多分、これぐらいの表現は入るのではないでしょうか。また、2021年には北朝鮮関連で、2022年には経済的挑戦(経済安保)関連でも日米韓協力についての記述があったことも、気になります。

 

自由で開かれたインド太平洋について は、「繁栄し、平和で、自由で開かれたインド太平洋の維持の重要性を認識し~」となっており、2021年にあった「包容的」という表現が消えました。これ、個人的にはかなりヒットです。2021年には、「韓国と米国は、規範に基づく国際秩序を阻害、不安定、または脅かすあらゆる行為に反対し、包容的で(※)で自由で開放的なインド太平洋地域を維持することを約束した」となっていました。包容的とは、特定国家(中国)を牽制するためのものではない、という意味で、日米だけだと使わない表現です。

しかし、あろうことか、その後に、「両首脳は、開放性、透明性、包容性(※寛容性、相手を排除しない)の原則に基づいて、インド太平洋経済フレームワーク(IPEF)を通じて緊密に協力することを約束した」となっています。ひょっとすると、これが韓国政府が続けて要求したという『中国との関係への配慮』の結果かもしれません。

台湾について 2021年のときとほぼ同じ内容がありました。「両首脳は、インド太平洋地域の安全保障と繁栄の重要な要素であり、台湾海峡での平和と安定維持の重要性を強調した」です・・と、大まかに、ではありますが、個人的に気になる部分をまとめてみました。どこか大事な部分を見逃している可能性もありますが、これからもう少し調べてみて、何かあったらまた次のエントリーで追記したいと思います。それでは、今日はこれで失礼します。今日もありがとうございました。

 

 

おかげさまで新刊『日本人たらしめているものはなにか』を追記しました。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、その自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・れでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。