韓国メディア「尹政権が日本に配慮したせいで、対北メッセージが機能しなくなった」

あまり話題にならなくて、「そんなことあった?」なレベルの話ではありますが、28日、日米韓の外相ふぁ共同声明を発表しました。対北朝鮮関連の決議案が国連で否決されたことに対する遺憾表明などを盛り込んな内容ですが、ネットメディア「プレシアン」が、「なんで日米韓外相の共同声明に、日本人拉致問題関連内容が入っているのか」「これでは、北朝鮮が答える可能性はほとんどない」「尹錫悦(ユンソンニョル)政権が日本に配慮した結果だ」という主張を載せました。

韓国側には、「日本が拉致被害者問題を提起したせいで、米朝関係、南北関係がうまくいかないでいる」という主張が根強く残っています。トランプ大統領のとき、米朝首脳会談がうまくいかなくなると、韓国側は『安倍総理が、拉致被害者問題を持ち出したからだ』という記事を載せるようになりました。

 

ご存知、韓国は『日本は朝鮮半島統一を望んでいない』と信じ込んています。冷戦構造で手にできる利益を失うことになるので、朝鮮半島統一を望んでいない、などなど、謎の論拠のもとに。その不思議な考えの中、この件も「大魔王安倍による、米朝首脳会談への妨害工作」とされ、そのまま定説となりました。ソース記事の主張は、その派生(現状に合わせてのマイナーチェンジ?)の一つだと見ることもできるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<韓米日3国は外交長官声明を通じて北朝鮮のミサイル試験発射を糾弾し、交渉再開を促した。その中、北朝鮮の軍事的行動とはやや離れているテーマである、北朝鮮による日本人拉致問題も共同声明に含まれており、目を引いた。声明の最後に「また、私たちは北朝鮮拉致問題の迅速な解決の重要性を再確認する」という内容が含まれているのだ。

北朝鮮の日本人拉致は、故金正日国防委員長が自ら認めただけに、両国だけでなく国際的で普遍的価値のある人権レベルでも解決すべき事案であるのは明らかだ。しかし、北朝鮮軍事行動に対する立場を明らかにする韓米日三国の共同声明で、北朝鮮との間の外交懸案が、最後の部分に特別な説明もなしに登場したことは、やや脈絡の分からない展開であることは否定しにくい。

これに、米韓両国が日本に配慮しらのではないか、という観測が出てくる。日本との関係改善を外交の主な課題として提示し、日本の国連安保理常任理事国進出についても明確な立場を出さないでいる尹錫悦政権も、拉致者問題を声明に入れようとした日本の立場に同調した可能性が大きいだろう。岸田文雄首相が就任当時、拉致者問題に言及し、7月に参議院選挙を控えているという点も、こうした声明が出るようになった背景だと推定される。

ただし、北朝鮮が快く思わない問題である拉致者問題を声明で強調したことが、北朝鮮との対話にどれだけ肯定的な影響を与えるかは未知数だ。三国が声明を通じて北朝鮮に交渉への復帰及び新型コロナ防疫の支援に対するの呼応などを促したが、拉致者問題も共に言及した彼らの提案に、北朝鮮が応答する可能性は高くないだろう・・>>

 

「尹政権が日本に配慮したせいで、北朝鮮拉致問題が共同声明に入って、そのせいでこのメッセージは北朝鮮に届かない」としていますが・・実は、前の文在寅政権のとき、今年2月の外相共同声明にも、『韓国の離散家族(※家族が南北に分かれて暮らしていて、会えないでいる家族)と、拉致問題』に関する内容があります。

今年2月13日にも外相会談があり、今回とは違ってちゃんと会談して、それから共同声明が発表されました。同日のニュース1に全文が載っています。「外相たちは、韓国離散家族の再会の重要性と、拉致問題の迅速な解決について議論した(The Secretary and Foreign Ministers discussed the importance of reuniting separated Korean families, and the swift resolution of the abductions issue)」。

 

拉致問題に「日本」とはハッキリ書いてないですが(多分、日本のことだと思われますが)、もし韓国の問題(拉北問題)だとしても、北朝鮮として『快く思わない』は同じでしょう。というか、彼らに『快く』とされる事案って何かあるのでしょうか。言い換えれば、文政権のときも、日米韓外相会談・共同声明では、同じ趣旨の問題提起があったわけです。

プレシアンのソース記事は、一応、外交部・統一に出入りする記者で、南北関係を担当している記者が書いたものだそうですが・・なんでこんな基本的な確認もせずに記事を書いたのか。単に知らなかったのか。それとも、こう書かないといけない『使命感』でもあったのか。脱力感が強くなるばかりです。

 

 

おかげさまで新刊『日本人たらしめているものはなにか』を追記しました。帰化を前にして、いろいろと考えてみて、その自分なりの結論を記録した本です。固定エントリー『新刊・準新刊のご紹介』に簡単な内容を綴りました

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。帰化を前にして考えたことを記録した本です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」と、「『お前は韓国人として生まれた』が、『私は日本人として死ぬ』に上書きされた時に見えてきた、日本人になるということの意味」が、本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版でございます。 ・国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。 ・刊として、文政権の失敗を振り返った <文在寅政権最後の暴走>と、自分なりの『日本語』本<日本語の行間~韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書)>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります。本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。 ・れでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。