朝鮮日報が、「結局は、『韓国が解決策を用意する』という日本の主張に問題がある」と主張しました。「日本側が『国家間の合意を守れ』と言うのは分からなくもない」とし、前政権のやり方に問題があると認めながらも、「それでも日本が悪いから、『韓国が解決策を用意する』は間違っている」というのです。
さらにわけわからないのが、その論拠です。なんと、「日本の市民運動家の見解」と、韓国側がよく引用する「孤掌難鳴(片方の手のひらだけでは拍手できない、一人ではできることがないという意味)」です。右寄りとされる朝鮮日報、しかも日本特派員が、国家間の合意より『市民運動家の見解+四字熟語』を論拠にしているわけです。オチはちょっと後にして、以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※岸田総理がバイデン大統領に対し、日韓合意に関する問題は、韓国が国家間の合意を守らなかったせいだと話したとする日本側の報道を取り上げながら)日本は本音と建前が異なる国だ。岸田首相は1カ月前に「日韓関係改善をこれ以上先送りできない」とメディアの前で語っていたが、これを日本側の話法に合わせて解釈すると、「関係改善は何としても必要(建前)だが、今の韓日関係の責任は韓国にあるので、韓国は、問題の解決策を用意して来い(本音)」、の意味になる。
岸田総理としてはそう考えるのも分かる。岸田総理は2015年当時、朴槿恵政権と日韓合意を結ぶ際に実務担当者(外相)だった。次の文在寅政権が、国家間の合意を一方的に無視し、政治に悪用したとする日本側の主張には一理がある。1965年の韓日協定で解決したにもかかわらず、韓国の裁判所が突然日本企業に賠償を命じる判決を出したという、日本側ならではの論理もある。条約当事国の韓国政府に動いてほしいという要請は、普通とも言える。
しかし、1週間前に東京で会った市民活動家アリミツ(※原文がハングルだけだったのでカタカナ表記にしました)氏は、違うと言った。「結局は日本が加◯者で、韓国は被◯者ではないか」、「謝◯して、それを許す過程で発生した問題の原因を韓国政府が提供しただけなのに、韓国が加◯者になるわけではない」と言った。裁判・条約・求償権・合意などの言葉を外してみると、結局、日本が韓国に対して「先に解決策を提示せよ」と求めている状況の方が問題だという意味だ・・
・・1ヶ月前に訪日した(※政策協議団の)ジョンジンソク国会副議長は岸田首相に会い、「孤掌難鳴」という言葉を使った。「片手の手のひらだけでは拍手できない」という意味だ。バイデン大統領に、韓国前政権の問題を告げ口する情熱を注ぐらいなら、まず韓国と直接会うのはどうだろうか。それをしないのであれば、7月に予定されている参議院選挙で、韓国を政治に悪用するのではないかとと疑われるかもしれない>>
まず、韓国は「市民団体が反対しているから、国家間合意もやり直し」と思っているし、「前政権がやったことなのに」と思っているし、「国家間合意より四字熟語でしょう」と思っているかもしれません。でも、日本は「市民団体が反対しても、国家間合意があるかぎり、それはその国の国内問題」と思っているし、「前も今もなく、国家そのもの」と思っているし、「国家間合意を守ることが関係の基本」と思っています。
「片方の手のひらだけでは~」と言うけれど、明らかに問題を起こしたのは韓国のほうです。『前政権』ではありません。文政権は確かにいろいろ問題でしたが、それが違法的な政権でしたか?違うでしょう。れっきとした『韓国』でした。
問題を起こしたほうが問題を解決するというのは、あくまで問題が起こる前の状態に『修復』『復元』するという意味であります。それで何かの『プラスアルファ』が生じるわけではありません。もしそこで降プラスアルファがあるなら、結局、『問題を起こしたほうが、得をした」ことにしかありません。人の関係でも国の関係でも、そんなことがあってはなりません。まるで『泣く子が餅をもう一つもらえる』のようなその状態が社会レベル、外交レベルで表れるようでは、それは法治の崩壊に他なりませんから。
そもそも、この記事だけでなく韓国側のメディアほぼ全てに共通することですが、解決策を『用意すべき』と書くメディアはほぼありません。『用意して持って来い』と書きます。これは、解決策を用意すること自体を、上下関係で見るから、こんなふうの文章になってしまうのだと、私は思っています。
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