韓国メディアの賃金未払い関連記事から見えてくるもの・・金額ベースで日本の約14倍(2017~2021)、最低賃金がもらえない人は全体勤労者の15.3%(日本は2%)

さて、また賃金未払い関連です。本ブログでは、ソル(旧暦の1月1日)かチュソク(秋夕、旧暦8月15日)になると、毎年1回ぐらいはこの件を取り上げてきました。まず、これまで本ブログで追ってきた韓国側の該当データを簡略に振り返ってみて、最新データまで紹介したいと思います。

数年前までは、韓国でも毎年、ソルと秋夕あたりには、このテーマで報道が相次ぎました。殆どの記事には日本との比較が載っており、一般的に『日本の10倍(金額ベース)』とされていました。2019年まで「13年連続で1兆ウォン超え」とのことで、日本の場合はその10分の1ぐらいになる、とも。

 

でも、いつからか、この件はあまり話題にならなくなり、最新データもなかなか目につかなくなりました。例えば2019年9月15日ニューシースの記事を見てみると、「2016年基準で、賃金未払い労働者数32.5万人、1兆4286億ウォン。同年の日本の賃金未払いの労働者は3万5120人、未払い額の規模では127億2138万円で、100円を1110ウォン(記事当時の為替レート)にすると、日本の約10倍になる」となっています。

2019年の記事で2016年のデータを使っているのを見て、「ちょっと不自然だなら」と思ったことを、いまでも覚えています。でも、どうやら『データ集計』そのものが無くなったわけではないようで、韓国日報の2021年9月の記事によると、「2019年に約1兆7200億ウォンで最高値、2020年に約1兆6千億ウォン」とのことです。それから今年2022年のソルにもこれといった記事がありませんでした。ここまでは、今まで本ブログで紹介してきたデータです。

 

さて、このテーマで、最新のデータが記事になりました。2021年までの5年間、金額ベースで、日本の14倍、最悪とされる2019年基準だと、16倍。数年前まで10倍とされていたので、さらに差が広がったようです。朝鮮日報の記事によると、2017年~2021年までの5年間の未払い賃金が7兆ウォン。同期間の日本の未払い賃金に比べると14倍。「文在寅政権が急速に引き上げたことで、最低賃金が支払えない小規模の商・工業者、中小企業が急増、5年間の未払い賃金が7兆ウォンに達した」、と。

また、法定最低賃金がもらえない勤労者の数は、2017年に266万人から、2021年には321万人に増加、賃金勤労者全体の、15.3%となります。ほぼ同じ時期に同じテーマを記事にしている毎日経済の記事によると、日本の最低賃金未満率(法定最低賃金がもらえない人)は2%代である、とのことです。誰かさんが最低賃金がウルトラ上げてしまったのもありますし、確かにその影響は大きいでしょう。でも、その前にも未払いは多かったので、単にそれだけの問題でもないでしょう。

 

『会社側が、払えない』というのはもちろん重要な視点です。これを無視してはいけないでしょう。でも、私がこの件を続けて取り上げている理由は、実は「払う側」の認識にあります。単に、ネタそのものが「事実上のG8」「先進国先進国」というスタンスとギャップがありすぎる・・というのもありますが、金額そのものよりも、人に給料を払わないことを、大した問題だと思わない社会システム。それこそが、本ブログのテーマと関係あると思ったからです。2021年KBSによると、賃金未払いにより(1審で)事業主に実刑が宣告された場合は45件、全体の4%に過ぎません。その45件の3分の1は執行猶予であり、半分以上が罰金刑。その罰金は、未払い賃金の13%でした。

これだと、賃金未払いをすればするほど、金銭的には会社が得をすることになります。実際、同じ理由で13回も有罪となったある会社の社長に、裁判所は「罰金刑を超えたことがない」という理由で減刑した(罰金を少なくした)までした、とのことでして・・KBSと一緒に本件を分析した労務法人の人は、「これじゃ、賃金を支払う必要なんてないではないか」と話しています。こういう部分が、本ブログのテーマと一脈相通ずるところがある・・私はそう思っています。そう、文政権のミスを擁護するつもりは微塵もありませんが、これ『も』また、政権の問題ではないのです。

 

 

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