韓国紙「日本と疎通しようと努力すると、日本は『韓国が譲歩しようとしている』と思ってしまうかも」

見事な自己紹介記事がありました。日本と(いわゆる関係改善などで)疎通するための努力をすると、日本が『あ、韓国が譲歩しようとしている』と勘違いするかもしれないから、そんなことはやめておけ、という趣旨の記事です。なんと、大手全国紙中央日報の、「被害者の抜けたグランドバーゲンが心配される」という題の記事です。何度読んでも実にパーフェクトな自己紹介です。

記事の結論は、韓国政府関係者が、「ボールは韓国にあるという話は受け入れられない」と話し、またもや「日本『も』努力しないといけない」としういつものスタンスを示しており、大丈夫だと思われるというニュアンスです。また、解決策には、いわゆる○ガイシャと、国民の意見を取り入れるプロセスを用意する、とも。国民投票でもするのでしょうか。

 

この「日本との関係改善を急ぎすぎるな」という内容は、いままで多くのメディアで記事になりました。でも、中央日報のような大手が、「ヒ○イシャの意見を受け入れない関係改善は、思わしくない」と直接的に記事を載せたのは初めてです。いざ具体的な話はなに一つ出ていないのに、韓国側のメディアが『関係改善』と盛り上がり過ぎで、それに飲み込まれてしまったのでしょうか。

記事は、日韓の間の懸案、特に過去に関するものは、「韓日間の外交事案であると同時に、裁判所判決の影響を受ける司法的問題でもある」と主張しています。また、両国の国内政治的条件と国民世論を無視してはならない、とも。首脳会談などで信頼回復をしても、これらの理由で懸案について「平行線」が続くだけなら、それは首脳会談、信頼回復をしても無駄ではないのか、というのです。これらについてのツッコミはちょっと後にして、ここからは<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「トップダウン(Top down)」方式の対日アプローチを追求する過程で、ヒガ○シャに対する考慮は見られていない。むしろ実務段階で懸案を議論する手続きをスキップし、首脳間の出会いを通じて問題を一括妥結しようとする「グランドバーゲーニング」を追求する姿だ。実際、ユン大統領も昨年6月の大統領選挙出馬当時、「安保協力と経済・貿易こういう懸案全てを一つのテーブルの上に置いて、グランドバーゲンをする方式で接近しなければならない」と強調したことがある。

もう一つの問題なのは、韓国が積極的な疎通努力をすると、日本が、これを「懸案に対する譲歩の意志」だと解釈する可能性がある。日本はこれまで「韓国政府が先制的に解決策を提示しなければならない」という立場を固守した。これにより、文在寅政府は日本との疎通そのものに消極的で、相互信頼が回復しなかった。

 

政府関係者は、「懸案においてすべて、ボールは韓国にあるとする日本の態度は受け入れられない。意見を合わせるためには両国の努力が必要だ」とし「現在、韓日両国が信頼を回復する段階であるだけで、具体的な懸案協議はなされていないが、解決策を設ける過程では、ヒガイ○ャの要求事項を聞き、国民の意見を反映する手続きを必ず経るであろう」と話した>>

政府関係者がこう言っている時点で、どの口が信頼回復を言うか、といったところですが・・せっかくだからちょっとツッコんでみます。まず、「司法関連の話だから」という点。主体が『国家』になる外交案件なら、政府と司法が別々の意見を出さないように調整するのが一般的なのに、なにを言っているのでしょうか。東亜日報(2018年8月29日)の記事から久しぶりに引用してみますと、「外交には『一つの声の原則(one voice principle)』というものがあります。

 

<<権力分立という概念を元からたどってみると、外交に特別な位置が付与されていることがわかる。権力分立を初めて言及した英国の政治哲学者ロックは、立法、行政、司法ではなく立法、行政、連合(外交)に分けた。司法試験のために暗記した権力分立の概念では理解しにくい内容である。外交には「一つの声の原則(one voice principle)」というのがある。

行政部の中でそれぞれの省庁が同じ声を出すのはもちろん、行政部を超えて国家的に一つの声を出す必要があるという意味だ。1828年、グアテマラがどの国に属しているかの議論で、ランスロットシャドウェル英国最高裁判長が「英国外務省が、グアテマラのスペインの領土だと宣言しており、英国の裁判所がグアテマラはスペインの領土ではないとするわけにはいかない」と、この原則を明らかにした後、外交の主要な原則となっている・・>>

 

これをちゃんとせず、問題を起こし、大きくしたのは韓国政府です。政権が変わったとは言え、結局は韓国側の問題でしょう。それに、その『裁判』そのものが国家間の条約を破ったという話なのに、いまさら何を言っているのでしょうか。次、「信頼回復してから解決」ではなく、「解決策を示すことで信頼回復がスタートする」でしょう。これまた、いまさら何を言っているのでしょうか。なにより、そのヒガイシ○とやらに補償すべき主体が韓国政府である、というのがこの問題の核心の中の核心です。なのに、「両国の努力」っていまさら何を言っているのでしょうか。

 

 

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