日本を「岸田」と「安倍」で二分する韓国メディア

韓国側のメディアにも、「大統領や総理が変わってなんとかなる問題ではない」という客観的な分析を載せるメディアも、もちろんあるにはあります。でも、ほとんどの韓国メディアは、日本、日本の政治を「岸田(ハト派)と安倍(タカ派)」で二分しています。

政治家も人間ですから、人それぞれ考えが違うし、やり方もちがうでしょう。でも、政治家だけでなくなにかの集団に属している人なら誰もがそうですが、『一員として、守るべき線がある』ものです。多少変わることはあるでしょうけど、総理が変わったからって根本的な外交路線が変わることはありません。百歩譲って、『いつか、政権交代を期待する』というならまだ分かりますが。現状ではできそうにありませんが。

 

韓国社会が、なにもかも二分法で認識してしまう(社会各分野が二分法でできているので、構成員もそういう世界観を持つしかない)というのは、旧ブログ(アメブロ)の頃からずっと書いてきましたが、こんなことでもものごとをAとBで二分し、『Aは魔王だ。それすなわち、AでないBは勇者だ』という認識しかできないわけです。Bが魔王軍の幹部だとしても、魔王でないから勇者なのです。二分法とは実に怖いものですね。

 

『安倍は(韓国で見ての、ですが)歴○修正○義者である』から、『安倍でない岸田は、(韓国から見ての、ですが)ちゃんと○史を直視する人だ』というとんでもない論理主張になるわけです。「韓国と対立しているのは『一部の』政治家だけ」という信念があるから、でしょうか。

それとも、「政権が変わる」を、「王様(一人でなんでもできる存在)が変わった」と思ってしまう、そんな昔ながらの考えが残っているからでしょうか。どちらにせよ、視野が狭すぎるというか、近代化できてないというか、そんなところです。さて、本件、東亜日報(これでも右寄りとされます)に、まさにテンプレとも言える典型的な記事があったので、紹介します。<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・安倍の力は、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が4月、韓日政策協議団を日本に送った時も確認された。協議団は岸田だけでなく前職の安倍にも会った。協議団は安倍と面談前、安倍の最側近である萩生田光一経済産業賞に会った。協議団は「懸案の解決法を、韓国だけに出せというのは間違っている」と話した。萩生田は「韓国が自らまねいたことだから、韓国が解決せよ」と反論した。これが安倍の情緒だ。

岸田は韓日関係を改善したがっているが、安倍と自民党強硬派の顔色をうかがう立場だ。自民党重鎮の大部分が安倍時代に当選した。岸田はまだ党の掌握が難しい。首相として自分の色を出すのは難しい。ひとまず、安倍の継承者を自処しなければならない。それで日本政界は岸田をこう呼ぶという。飛べないハト派。飛べない穏健派という意味だ。強硬派安倍勢力に縛られて自分の声が出せない岸田の境遇を示す。

 

「韓国が問題解決をもってくるべきだ。それにもかかわらず、日本も韓日関係改善のためにすることがある」。「日本も~ある」の部分を公式化するには、岸田の政治的立地はまだ弱い。岸田が直ちに韓日関係の核心懸案で譲歩する可能性が低いという意味だ。今月末、NATO首脳会議で日韓首脳会談が開かれても同じだ。ユン大統領も岸田も、電撃的な解決策が出せる状況ではない。

来月10日、参議院選挙後3年間、日本には選挙がない。参議院選挙で自民党が過半数を占める場合、岸田は安倍の影響から相対的に自由になれる。韓国も2024年総選挙からは、2年間、選挙がない。韓日関係の専門家たちは、この時を韓日関係の方向性が変わる、重要な時期だと見る。

 

すぐに韓日関係が改善されるという、現実味のない期待を高めるのは無責任だ。各懸案で韓日が共に解決策を探す前に、ユン大統領が先にすべきことがある。被○者たちを訪れ、解決案に参加するよう説得することだ。そうすれば被○者たちから支持を得て、日本との交渉に挑むことができる。 2015年の日韓合意のような失敗を繰り返さないことができる。(※しかし、)尹政権がこのようなことをしているとか​​、意志があるという話が聞こえてこない>>

いや、その日韓合意の主役の一人が、岸田総理ですが・・なにを言っているのでしょうか。他に、飛べないハトって言葉、あったかな?と思ってちょっと調べてみたら、朝日新聞と毎日新聞の記事がいくつかヒットしました。あるにはあるかもしれませんが、そこまで有名な表現でもないような。

 

この記事でもっとも重要な(?)部分は、二ヶ所あると言えます。一つは、「・・岸田の政治的立地はまだ弱い。岸田が直ちに韓日関係の核心懸案で譲歩する可能性が低いという意味だ」の部分。すなわち、岸田総理が「自分の色」を出すというのは、単に対話に応じる(首脳会談に応じる、など)という意味ではありません。核心懸案で譲歩するという意味です。譲歩したくて仕方がないけど、まだそれができない。そんな主張です。「岸田総理はやりかたがぬるすぎる」と思っている方でも、この部分にはかなりの違和感を抱かれるのではないでしょうか。

もう一つは、さりげなく2024年の話が出ている部分です。2024年になると、多分、「来年には日本で衆議院選挙があるから今はまだ早すぎる」と書けばいいでしょうね、これだと。それから衆議院選挙が終わると「来年には韓国で大統領選挙があるから~」と書けばいいでしょうし。まさに、ネタの永久機関です。 最後に、告知です。今日、帰化関連で、行政書士さんと会う約束があります。昼食を取ってからでかけて、ちょっとだけ時間かかると思われます。次の更新は、いつもより多少遅くなると思われます。夕食後にでも、覗いてみてください。

 

 

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