「完全かつ最終的に解決」に対する、韓国紙の妙な解釈

聯合ニュースが、『完全かつ最終的に解決された』と条約に書いてあっても、それで日本側のやることが全て終わったわけではない、という記事を載せました。案の定、引用などで明らかなミスリードが目立ちますので、その部分を紹介したいと思います。まずは聯合ニュースの該当記事から、該当部分だけ短く引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

<<・・誰がお金を払うかを決めるだけで解決されない部分があることに留意する必要がある。認めてシャ◯イする、などの問題がある・・・・協定には「請求権に関する問題が(略)完全かつ最終的に解決されたものになることを確認する」という文章がある。これが、日本政府がバイ◯ョウ責任が免除されると主張する根拠だ。だが、このような規定が、正しく時代を記録する責任まで免除したと見るのは難しい。日本が主張するようにバ◯ショウ免除されるかに関する法律・外交的なことは、いったんおいておくとしよう・・>>

 

内容については、もう触れる必要すら感じなくなりましたが・・それより、2ヶ所、目立つ部分があります。一つは、「法律外交的な部分は、いったん、おいておこう」としておいて、結局その部分については何も書いてないこと。見方にもよりますが、その側面は不利だから、考えてはいけないということでしょうか。というか、条約協定について論じながら、この側面をおいといて何を語るというのでしょうか。

次、これは本当に多くのメディアが、多分人為的に間違えていますが、超有名フレーズ「完全かつ最終的に解決された」の引用の仕方です。引用部分に(略)とありますが、これは私がいつもやっている略の仕方(『・・』)ではなく、原文ママです。ここ、明らかに妙です。拙著でも本ブログでも同じ趣旨を何度も書きましたが、韓国側のメディアは、「『何が』解決されたのか」についてはほとんど論じません。

 

日本と韓国が1965年に『基本条約』によって外交関係を樹立したとき、日韓の間の請求権は完全に解決済みとなりました。一部、当時の協定の際に議論しなかった事案があるとか、協定で日本が韓国に払ったお金がバイ◯ョウなのかホ◯ョウなのかについては両国間に今でも異見がある」とかの理由で、日本のやることは済んでないと、そんな無茶な主張をする人たちもいます。

しかし、それは条約をちゃんと読まなかったか、それとも人為的なミスリードでしかありません。2条の1を読んでみると、それは『お金がどんな性格のもので、どんな事案に対するものか』に関するものではなく、『両国の間の』やり取りそのものに関するものだと分かります。

 

<両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する>。

「なにが」解決されたのか。「両国の間の」権利に関する問題が解決されたとなっています。だから、お金の性格とか、どんな事案が入っているとかいないとか、そういう問題ではありません。一般的に国家の経済主体は政府、企業、民間を言いますが、その国家の間の(相手側に請求できる)権利の問題は、もう終わったとしているわけです。だから、何か不完全な部分があるとすると、それはそれぞれの国の国内で処理すべき問題なのです。

 

戦後の日韓関係は基本条約にもとづいて発展してきたものであり、日本はもちろん、歴代韓国政権も、あの盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領すらも、それぞれの国の国内問題であると、もし韓国で追加で何かをやるならそれは韓国政府の仕事だと、認めました。それが、2018年、最高裁判決でひっくりかえったわけです。文在寅政権は、三権分立を言い訳にして「これは裁判所が判断した問題なので、政府はどうしようもない」としていますが、日本側は「『韓国』という国家の問題」とし、この問題を是正するの韓国だ、と一貫して主張しています。

不利なことは後にしよう(結果的には言わない)とか、引用をわざと間違えてごまかすとか、そんなやり方で解決できるものは、なにもありません。

 

 

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