また「枠組み」に入れず・・韓国外交部、PBP(青い太平洋のパートナー)に関して立場表明せず

パートナーズ・イン・ザ・ブルー・パシフィック、略してPBP。青い太平洋のパートナーたち。太平洋諸島支援を主な目的に作られた、米国主導の枠組みです。日、米、英、オーストラリア、そしてNATO首脳会談にも招待されたニュージランドで構成されました。「ブルー」という言葉が、太平洋が青いというのか、それとも別の意味を持つのか、面白いネーミングだと思います。

クアッド加入を公約として掲げていた尹錫悦(ユンソンニョル)氏。尹氏が大統領選挙で勝利した直後には「韓国がOKすればすぐにでも加入できる」といったニュアンスの報道が結構出ていましたが、それからクアッド加入関連で日米から「加入国拡大は無い」「(加入せず、ワクチン開発などの)ワーキンググループでの協力も、手続きが用意できていない」などの発言が続き、それから、米韓首脳会談のときも、加入の話もありませんでした。

 

前にも本ブログで取り上げたことがありますが、韓国の保守支持層からは、クアッドがアチソンラインのような存在になるのではないか、そんな話も出ています。クアッドだけでそこまで考えるのはやりすぎだとも思いますが、実はそれ以外にも、尹政権は米国、詳しくは自由民主主義陣営の『枠組み』にちゃんと入ることができないでいます。

今回のPBPについても、一部では韓国が加入を考えているという話は出ていますが、韓国外交部はこれといった立場を表明せずにいます。ニューデイリーは、「米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、日本の5カ国が、太平洋島嶼国家支援を強化するという名目の下、「青い太平洋協力体(PBP・Partners in the Blue Pacific)」を創設した。この協力体は、資金支援を名目で、太平洋島嶼国家に接近する中国を牽制するためのものだと、海外のメディアは報じている」としながら、韓国外交部のスタンスについて報じました。<<~>>で引用してみます。

 

<<・・フィナンシャルタイムズ(FT)は「韓国、カナダ、ドイツを含む他の国もPBPに関心を表明した」とし「同じ考えを持つパートナーとの協力は太平洋から中国を牽制する際に成功する可能性を高める」という米戦略国際問題研究所(CSIS)のチャールズエーデル氏の言葉を伝えた。

しかし、韓国外交部関係者はPBPと関連して「参加について特別な立場がない」と明らかにしたと世界日報が26日に伝えた。新聞によると、外交部当局者は「以前にも(PBPのような非公式機構に)参加するかどうかで立場を発表したことがなかった」と付け加えた・・>>

 

最近、3ヶ月前のある記事をたまに思い出します。「前には、米国はインド太平洋戦略の核心として日本と韓国をあげた。しかし、いまは日本とオーストラリアをあげる」という内容です。イーデイリー(3月21日)からの記事です。 <<・・いまの韓国は、台湾の有事の際にどのような立場をとるのかさえも、明らかにしていない。米国が韓国を見つめる視点を変えることが、特に急務である。韓国は米国・日本・インド・オーストラリアの安保協議体クアッド(Quad)にも、米国・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの機密情報同盟体ファイブアイズ(Five Eyes)にも属していない。今回のウクライナ事態に関しても、日本のように米国を積極的に公開支持したわけでもない・・

・・米国からすると、韓国の態度は曖昧すぎる。キム・ヒョンウク国立外交院教授は、「朴槿恵政権以来、韓国に対する米国の見方が変わった。過去には、米国は、インド太平洋戦略の核心国家として韓国と日本を名指ししていた。しかし、今は、オーストラリアと日本を言及している。これが、米国が見ている韓国の現住所である」と説明した。キム教授は続いて、「私たちの地政学的な位置、米国の中国牽制などを勘案すれば、韓米同盟を強化する方向に戦略を修正しなければならない。すでに昨年5月、韓米首脳会談でそうすることにしたのに、それから進捗が無い」と強調した・・>>

 

米韓同盟は、明らかに「自由で開かれたインド太平洋戦略」のために強化されるべきでした。しかし、文政権は言うまでもなく、尹政権になってからも、『強化』の方向性は明らかに対北朝鮮のためのものであり、インド太平洋、すなわち中国牽制のためのものではありません。日本との関係も、米国との関係も、核心は同じではないでしょうか。政権交代はどうでもいいから、『国家』としての信頼をどうするのか。それを示すことができるのか、できないのか。

クアッドもPBPも、そして『ブルー』も、その信頼で示すしかないのです。枠組みに入れないでいることは、それをまだ示せないでいるという意味でしょう。さて、尹政権としては、まず『強化』の方向性を修正する必要がありそうですが・・それができるのでしょうか。今回のNATO首脳会談で何を話すのでしょうか。 ※次の更新は明日(28日火曜日)11時頃になります。

 

 

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