大統領室「NATOの新しい戦略内容、全然知らない。そのための参席ではない」

ある記事が、一部で話題になっています。詳しくは記事というより記事の『題』ですが・・「大統領室『NATOが私たちをなぜ呼んだのか分からないが、いったん参席する』という、6月22日のニューシースの記事です。この題は1日で消えました。

いまは「尹『NATO参席が中露との対立だと思うのは、論理の飛躍がすぎる』」になっています。キャプチャー画像で確認済みですが、韓国側の自由掲示板などにあるため、リンクは致しません。一部では『大統領室側から圧迫があった』とも言われていますが、さすがにこの部分はソースが確認できませんでした。

 

ニューシースは別に右でも左でもありませんが、なんでこんな題にしたのか。でも、記事に載っている大統領室の発言を読んでみると、たしかに「とりあえず参席する」というふうにも見えます。パートナーだから招待されただけで、NATO首脳会談で決まるであろう新しい戦略内容については、何も知らない、というのです。

『何も知らない。だから、中露牽制路線への転換のための参席ではない』を強調するためかもしれませんが、これを聞いた人たちがどう思うのでしょうか。呆れた記者、または編集の方が、『とりあえず参席してみる、と言いたいのか。じゃそういうことにしてやんよ』と思ったのかもしれません。見出しなどはまだそのまま残っているので、引用してみます。<<~>>が引用部分となります。

 

<<記事内容のまとめ 「新しい戦略概念の内容、現在では全く知らない」「NATO集団防衛と無関係…パートナー国として招待されただけ」「備えるだけなのに中露牽制とは、論理の飛躍がすぎる」。大統領室は尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の29~30日(現地時刻)スペインマドリードで開かれるNATO首脳会議出席が、韓国政府の外交が「中露牽制基調に転換するのではないか」という見方に対し、「論理的飛躍」と線を引いた。

大統領室関係者は22日、龍山大統領室庁舎で「韓国はNATO加盟国でもないし、NATO首脳会議で採択される可能性がある「新しい戦略概念」がどんな内容なのか、現在では全く知らない」と述べた。続いて「韓国政府はあくまでも加盟国がこれまで堅持、想定してきた防衛とは関係ない」とし「パートナー国家として招待され、包括的安全保障(経済、気候変動、新興技術)など)という側面からアプローチし、NATO加盟国とのネットワークを拡大・深化するためのものだ」と説明した・・>>

 

前も何度か引用したことがありますが、有名コメディアンMr.ビーン主役のジョニー・イングリッシュ(Johnny English)というスパイ映画があります。詳しくはないですが、その1作目だと思いますが・・DVDの表紙に、こう書いてあります。「He knows no fear, He knows no danger, He knows nothing」(彼は恐怖を知らない、彼は危険を知らない、つか何も知らない)。

Mr.ユーンも同じ作戦、といったところでしょうか。『なにも知らないから、怒らないで』と。じゃ、新しい戦略内容ってなんだ?と言いますと、一言で、中国を『安保』の対象としてもっと明確にする、というものです(以下の東亜日報より)。ある意味、このために日本、韓国、オーストラリア、ニュージランドが招待されたのでしょうに、何を言っているのでしょうか。大統領室。

<<韓国、日本など米国のアジア核心同盟国が初めて参加するNATO首脳会議では、中国を安保の対象と規定する新しい戦略概念が採択される。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は22日の記者会見で「私たちは中国が私たちの安全保障に及ぼす影響を扱うだろう」とし「中国の防衛力近代化への投資と、ヨーロッパの重要インフラをコントロールしようとする試みに対応することが重要だ」と話した・・>>

 

いや、戦略知らないならNATOには何で行くのでしょうか。6月23日に一度引用したことがある記事で恐縮ですが、本記事と同じブリーフィングを、聯合ニュースがこう報じています。 <<・・(※大統領室の)キム室長はこの日ブリーフィングで、韓国首脳の出席の意味を、自由民主主義に基づく価値連帯強化、包括的安保盤構築、新興安全保障に対する効果的対応模索の3つに分けて説明した。まず「価値連帯強化」と関連し、「NATOを構成する30の同盟国は自由民主主義・法治・人権など普遍的価値と規範を共有する韓国の伝統友好国」とし「今回の首脳会議に出席し、北核・北朝鮮問題と関連して韓国政府の立場を詳細に説明し、出席国の広範な支持を確保できるだろう」と話した・・>>

やはり、北朝鮮問題を強調することで、他の件、例えば中国とかロシアとか、そんな案件については『例外』を認めてもらおうとする・・その路線をまだ続けているのでしょう。どうやら、北朝鮮関連の安保協力で日本からも譲歩してもらえると、いまでも本気で思っているようですし。ある意味、『部分的な鎖国政策』にも見えます。

 

 

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