韓国経済団体会長、日本経団連に「通貨スワップ再開」を要請・・共同声明には入らず

日韓経済団体、日本の経団連と韓国の「全経連」が会議を行いました。もともとは毎年やるものですが、新型コロナなどいろいろあって、3年以上も会議はなかったそうです。日本の経団連メンバーは尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と面会したりもしましたが、どうも韓国側の報道では、この会議での発言がひとり歩きしている気もします。

例えば、韓国メディア国際新聞がまとめたところ、韓国メディアの記事では、『首脳会談を促した』、『輸出管理◯格化の解除』、『通貨スワップの再開』、『ビザ免除など民間交流の活性化』、『韓国のCPTPP加入の必要性』、『IPEFのための日韓協力』などについて話した、となっています。このことで、多くのメディアが『民間から日韓関係改善が加速する』『首脳会談に大きな進展』などと報じています。

 

日本では想像もできないほど大きなニュースになっていて、一部のメディアは速報まで流していますが・・・、 ニューシースの報道によると、管理厳格化の解除と通貨スワップを要請したのは、韓国側の全経連会長である、とのことでして。また、この件は、共同声明には入っていません。というか、上に書いた各案件のうち、共同声明に入っているのは「ノービザ復活」だけです。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・ホ・チャンス全経連会長は「韓日首脳会談が早急に開かれ、相互、輸出◯制の廃止、韓日通貨スワップの再開、韓国のCPTPP加入(※の支持、必要性)など、両国の経済懸案が一気にに解決されることを期待する」と話した。韓日通貨スワップは2015年を最後に中断された後、まだ再開されていない実情だ。ホ会長は「今日の日韓財界会議が、現在の問題を克服し、未来志向的な両国関係を開く突破口になることを期待する」と明らかにした・・>>

 

首脳会談については、経団連会長さんが『日韓財界は首脳、閣僚の対話が再開されることを望んでいる』と話した、という報道があります。ですが、これも共同声明(全文、イーデイリー)には入っていません。また、それ以外の案件も、「人的交流のためのノービザ復活」はちゃんと入っていますが、それ以外は共同声明にはありません。

人的交流とは、範囲が広くてどこからどこまでを言うのかよくわかりませんが、韓国の半導体製造装置は日本から購入したものが多く、そのメンテナンスのためには日本から人が来てくれないと困る、と言われています。そういう側面も含めてのノービザではないのか、そんな気もします。以下、8項でできている共同声明を簡単にまとめてみます。

 

「1」は参席したメンバーの記録、などです。「2」も、いままで財界が両国関係に貢献してきた、とする内容です。「3」は、未来志向で行こう、民間が頑張ろう、という内容です。「4」は、両方、それぞれの政府の経済政策について説明した、という内容です。「6」は、民主主義、市場経済という価値観の共有について。マニュアル的な内容です。「7」は、両国の経済関連協力のために頑張る、という内容。「8」は、次は東京でやります、との内容。

わざわざ引用する必要が感じられるのは「5」だけで、先も書きましたが、韓国メディアに大きく載っている案件の中で、共同声明に入っているのはこれだけです。「・・また、新型コロナの拡大に伴い、両国間の人的往来に制限がある中、ビザ免除プログラムの復活などを通じた民間交流の緊急な正常化の重要性を再確認した」。

 

また、『財界が首脳会談を要請しましたが』とする記者の質問に、松野官房長官は『何も決まっていない』としながら、またもや『日本の一貫した立場に基づいて~』と話しました。ここからは聯合ニュースです。 <<・・日本政府は5日、日本財界団体経団連が、尹大統領を表敬訪問し、早急な韓日首脳会談の開催を要請したことに対して、「韓日首脳会談に関して決定されたことがない」「両国関係を健全な関係に戻すため、日本の一貫した立場を基づいて尹大統領及び韓国側と緊密に疎通していく」と話した・・

十倉雅和経団連会長など代表団は、3年ぶりに再開された全国経済人連合会との「韓日財界会議」に出席して韓国を訪問し、尹大統領と面談した。松野長官はまた、韓国外交部が旧朝◯半島出身労働者問題の解決法のための民官協議会をスタートさせたことについて、「韓国外交部が昨日発表した内容について知っているが、韓国国内の動きについてコメントしない」、「日本の一貫した立場を基づいて韓国と緊密にコミュニケーションしていく」と話した・・>>

 

どうも、財界の動きはたしかに気になりますが、韓国側のメディアが集中報道した『関係改善』関連の記事とは、かなりニュアンスが違う気がします。松野官房長官の発言も、共同声明も。最後に、聯合ニュースの記事も「経団連が尹大統領と面談して、首脳会談を要請した」としていますが、これ、記事によって内容が違います。京郷新聞などは、会議で首脳会談の必要性を言い出したのは韓国のホ会長であり、「日本の十倉会長は『日本経済界も、両国首脳や閣僚が対話を再開することを望んでいる』と話した」としています。尹大統領との面談で首脳会談を要請した、との内容はありませんが・・松野長官に質問した内容では『尹大統領と面談して、そう要請した』というふうになっているのが、気になります。

 

 

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