韓国、ソンジュ(星州)地域にあるTHAAD基地。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が米韓首脳会談でTHAAD基地運用の正常化を進めるとしましたが、早くも難航しています。予想通り、市民団体が強く反発している、とのことでして。
説明不要な気もしますが、いままでのことを簡略に振り返ってみると、高高度防衛ミサイルTHAADは、中国側に近づいた朴槿恵政権が、慌てて米国側の要求を受け入れたものだと言われています。しかし、それから市民団体が非科学的な根拠でTHAAD部隊への物資搬入などを遮断し、THAAD運用はおろか、基地で暮らしている兵士たちの生活そのものがまともにできない状態となりました。米国側は何度もこの件の是正を韓国側に要求しましたが、これといった進展もなく(いまだ公式には『臨時配置』『臨時運用』となっています)。
特に、内文在寅大統領はTHAADを追加配置しないと約束(いわゆる3NO)しましたが、その際、「既存(ソンジュの)THAAD運用も正常化しない」という裏の合意があったとする記事も流れ、THAADは米中葛藤の中、韓国が「どっち側なのか」を示す象徴のようになりました。尹大統領は、候補だったとき、追加配置を公約として掲げましたが、それから公約から削除、新政権スタート時に発表した「国政課題」リストにも、この件は入っていませんでした。
それから5月の米韓首脳会談で、やっとこの話が出てきましたが、それは事前に噂されていた追加配置ではなく、既存の基地を早い時期に正常運用する、という曖昧なものでした。文在寅大統領は任期末、『候補だったときには追加配置といえたとしても、大統領になれば言えなくなる』と話したことがありますが、やはり公表されていない何かの事情があるのでしょうか。ちなみに、それでも最近は基地への物資搬入が増えてきたとのことで、それはよかったと思っています。兵士たちの生活的にも。
しかし、その既存THAADの正常化、うまく行かないでいるようです。案の定、市民団体が強く反発しているからです。KBSによると、『スタート(協議会の構成)』そのものが出来ないでいます。協議体を構成して、それから現地住民たちと話すものですが、それすら出来ないでいるわけです。さて、どうなるのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・駐韓米軍の高高度もミサイル防御体系、『サード(THAAD)配置の件で、葛藤が再び大きくなっています。政府が、慶尚北道(キョンサンブクド)星州(ソンジュ)にサードを正式配置するとし、環境影響評価作業に入るとm反対の声が再び高まっています。
「環境影響評価とは、住民をなんだと思っているの」。住民と市民団体など40人余りがソンジュの郡庁前に集まりました。国防部が駐韓米軍の高高度ミサイル防御体系サードを正式配置すると明らかにし、「環境影響評価」作業に着手するとしたためです。境影響評価は、70万平方メートルのサード・インフラが住民と環境にどのような影響を与えるかを調査する作業です。すでにサード6基が臨時配置され運用されています。
【イ・ソクジュ/サード撤回成州対策委共同委員長「源泉的に、環境影響評価やサード配置は無効だと思っています。私たちは環境影響評価に参加しません」】。環境影響評価を推進するためには、公務員や専門家など10人規模の協議会が構成されなければならず、ここには住民代表が必ず含まれなければなりません。しかし、市民団体は中断を求める声が高く、環境影響評価作業は4年経っても進んでいません。
結局、国防部は「住民代表を推薦してほしい」という3番目の公文を星州郡に送り、明日(8日)までに最終回答を求めたが、城州郡は難しい立場を表しました。星州郡守「行政機関としては、政府の立場を十分に勘案しなければならないけど、私たちがどちらかに賛成したりはできません。私たちの地域の問題ですから」(※郡守・・行政区域『郡』の長のこと)・・>>
結局、国防部は「環境影響評価が住民との共感を得るための手続きだ」としながら、住民参加を待つことにした、とのことですが・・これ、いつからあった法律なのかはわかりませんが、住民代表といっても市民団体の人でしょう。文在寅政権で、様々な分野に『住民代表』の参加を義務付けるようになった、とは聞いていましたが、その影響かもしれません。
尹大統領がG20首脳会議(11月でしたっけ)でバイデン氏と会うなら、それまでは何かの成果が出したいでしょうが・・いまからやったところで11月まで成果が出せるのか微妙なのに、しかもまだスタートもできていないとなると、厳しいですね。これ以外に報告できる『成果(っぽいなにか)』は他に無い気もしますが。ひょっとすると、尹大統領としては、『ホッとしている』可能性もあります。これを理由に適当に「できませんでした」と米国に報告し、あとは中国に「やりませんでした」と報告したりして。次の更新は、17時頃に致します!
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・準新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版です。 ・韓国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。