韓国、また「徳政令」・・尹大統領「金融リスクの拡散が早すぎる」

尹政権が、はやくも負債軽減措置、日本側のネットでよく「徳政令」とされる手を使いました。大統領自ら、金融関連の問題が、先に非金融部門(いわゆる実物経済)で広がっているとし、「リスクの拡散が早すぎる」と話しました。中央日報のように肯定的なニュアンスで記事を出すところもあれば、『ちゃんと返済してきた人たちはなんだったのか』というメディアもあります(韓国経済、など)。

しかし、最近また騒ぎになっている通貨スワップ関連で、韓国銀行などは『まだ通貨スワップが必要な段階ではない』と主張しています。ちょっと本ブログなりの(曇った)書き方をするなら、『スワップ締結出来ないのではなく、しないでいるだけだ』と主張してきたわけです。

 

もちろん対外的なものか、対内的なものかの差はありますが、大統領自ら『金融部門からのリスク』と話したことは、韓国銀行からするとかなり気まずいものではないでしょうか。なにせ、韓国銀行など関連部門の人たちとちゃんと話し合ってからの発言なのか、そこも気になるところでして。中央日報の記事によると、ドアステッピング(出勤の時などに記者たちと会って簡易的に話す場)でのことだそうですし。

朴振(パクジン)外交部長官もまた、ブリンケン長官との会談のあとに、急にジ-ソミア正常化と言い出して、後で外交部、国防部が火消しに走ったときも、まったく同じ指摘がありました。発言の前に、他の関連部署と話したことがあるのか、と。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<政府が、「125兆ウォン+α」規模の金融部門民生安定プログラムを設けた。コロナ19(※新型コロナ)事態で被害を受け、余力のない25万人余りの自営業者と小商工人に対して、貸出元金の最大90%を軽減するというのが骨子だ。しかし、税金で借金を減らすことが道徳的にどうなのかという問題があり、誠実に返済してきた人々への逆◯別措置ではないのか、という批判も出ている。金融委員会は自営業者・小商工人の債務調整のための「新出発基金」(30兆ウォン)の助成、低金利代換プログラムの新設などを盛り込んだ金融部門の民生安定課題を確定、推進すると発表した。

政府は、ある種のバッドバンクとなる新出発基金を造成して、不実化した自営業者・小商工人のローンを銀行が買い入れ、元金の減免、長期・分割償還への転換などを施行することにした。元金の減免幅は60~90%だ。来る9月末、自営業者・小商工人融資満期の延長、償還猶予(残高130兆ウォン)が終了するが、その前に銀行が自律的に追加延長する「主取引金融会社責任管理制」も導入する。

 

尹錫悦(ユンソンニョル)大統領はこの日、第2次緊急経済民生会議を主宰した席で、「避けられない金利引き上げの負担が、脆弱階層と社会的弱者に伝わってはならない」とし「政府が庶民金融負担緩和に積極的に乗り出す」と言った・・・・だが、「新出発基金」を通じて貸出元金を最大90%まで減免し、9月終了と宣言していた満期延長・元金返済猶予措置についても、事実上、銀行自律で再度延長するようにするなど、モ◯ルハザードを巻き起こす側面が少なくないという批判も出ている・・>>

最後の部分、記事は「銀行側への責任転嫁ではないのか」と指摘しています。「貸し出した銀行が、対象借主の90~95%に対して自律的に再び満期延長及び償還猶予できるようにした」というけど、 これは、事実上、終了とはいえず、「責任を民間銀行だけに転家したのではないかという批判が出ている」、と。この内容を発表した金融委員会の金委員長は、「例外的に難しい状況であり、余裕のある銀行が社会的責任を持って顧客管理をしてくれ、という話した」と説明した、とのことです。

 

なんか、考え方が文政権や李在明(イジェミョン)氏とあまり変わらないのでは・・な気もします。余裕があるかどうかとは別の問題だと思いますが。それに、尹大統領は『金融で起きた問題』という趣旨を話しており、それなら、銀行も銀行で大変なのでは。この部分、中央日報からユン大統領の発言をもう少し引用しますと、「尹大統領はこの日、ヨンサン大統領室出勤中、ドアステッピングで、『金融リスクは非金融実物分野において拡散速度が非常に速い』とし『完全に不実化して政府が後になって吸収するよりは、先制的に適期に措置を出すのが国家全体の厚生と資産を守るのに必要だと思っている』と話した、とのことです。

ソース記事もそうですが、関連記事のコメント欄の世論は、あまり思わしくないようです。ダウムだけでなくネイバーのほうでも、特に『給料をもらう』立場の人たちが、オコっているようです。さて、どういう結果になるのでしょうか。これで支持率が少しは上がるのでしょうか。しかし、イエレン長官、何かいろいろ頼まれそうですね。

 

 

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