一時は「参議院選挙が終われば、エブリバディハッピー」という流れを盛り上げていた韓国メディア。しかし、いざ選挙は終わると、改憲関連で、両国関係におもわしくない影響を及ぼすだろうという記事が急に増えました。この傾向は、参議院選挙の2~3日前から特に強くなりました。本ブログでも10日に取り上げたことがありますが、もしかすると、各メディアなりの『退路』を確保しておいたのかもしれません。
この改憲関連記事は、主に(全ての記事がそうだという意味ではありませんが)、『弔問外交』についての反対意見となっています。改憲すると言っている相手側に、弔問外交で関係改善をしかける必要があるのか、というのです。それらの記事の中で、個人的に注目したのが、週刊韓国(韓国日報の週刊紙)の記事です。なぜなら、日本の改憲を日本だけでなく「日米」としながら、明らかに中国・北朝鮮と同じ主張をしているからです。
記事は、改憲の核心を「自衛隊の存在と集団自衛権を憲法で規定すること」、「今でも事実上世界5位規模の戦力を保有しているのに、それが法的に認められれば、防衛にとどまらず海外派兵に対する根拠を設けることになる」としながら、いつもの日本観を述べています。そう、本ブログでも何度も紹介しましたが、『日本は大陸進出を夢見ていて、そのための橋頭堡を作ろうとしている』、『だから、例え有事の際でも、自衛隊は朝鮮半島に入ってはならない』とする、韓国政府の既存スタンスのことです。そして、それは日本だけでなく、米国の意志でもある、と。ここからは<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国と中国、東南アジアの国々は、経験上、日本の集団自衛権が特に気になる。予防を理由にして隣接国家の紛争にも介入できるようになるからだ。北による韓国の有事の際に、日本が朝鮮半島に派兵できる根拠となる。韓国政府はもちろん、米国政府の意志とは異なり、日本が独自に派兵を決定できるという意味だ。この部分で、日本が再び時代に逆行する歩みを見せるのではないかという懸念は、消えないでいる。
日本は持続して軍事費支出を増やしてきた。日本は最近5年以内に防衛費(国防予算)を国内総生産(GDP)の2%に増やす「経済財政運営及び改革基本方針」を確定した。現在、日本防衛費のGDP比重は1%だ。米国は、自国軍を派兵した国家にGDP2%水準の国防費支出を要求してきた。日本が米国の立場を反映したものと見なければならない。GDPの1%支出だけでも世界5位の力を確保していたのに、これを倍増すれば、その力は大幅に跳ね上がるだろう。米国の支援の中、無人戦闘装備、宇宙、電磁波、サイバー能力が強化されると予想される。
日本の改憲について最も注目すべき点は、米国の変化だ。米国がついに態度を変えているという点は、米国の朝野、そしてメディアからも捉えられる。米ワシントンポスト(WP)は、日本総選挙直後の社説を通じて、日本自衛隊が憲法上根拠を持たなければならないとし、米国と同盟民主国家がこれを支持すべきだと主張した。米国のリベラル系メディアが、日本総選挙が終わった直後にこのような主張をしたのは、米国も自国の利益のために日本の改憲を支持しているものだと考えられる。
WPは日本の改憲を民主主義の守護のためだと評価した。ジョー・バイデン米大統領が強調する民主主義同盟強化のために日本の役割が必要だという立場を表現したものと見られる。中国の急浮上を牽制するための阻止線として日本の役割を強化しなければならないという米国の立場が明らかになったわけだ。米国政府の立場がこのようなものなら、日本の改憲に対する北東アジアはもちろん、アジア国家の立場も、困ってしまう。ロシアによるウクライナ事態と習近平が主導する中国の変化を見守った米国にとって、「忠臣」日本の支援が必須だ。だから、米国の外交的圧力が行われることを予想するのは、難しくない。 バラク・オバマ政権が韓日関係改善のために日韓合意を誘導したのと同じ状況が、再現されるという意味だ・・>>
いや、こまっちゃう~とか言われましても。いまさら「米国が態度を変えて、日本の防衛力強化を支持するようになった」って、もう周回遅れでしょう、これは。「日本が大陸進出のために~」という主張ほどではないにせよ、いつの時代の話でしょうか。中国がいつも使う「アジアを代表する」ような書き方(韓国の場合、同じ表現でも中国だけはかならず国名を書きますが)、北がいつも使う、「米国の命令(忠臣という言葉、など)によるものだ」という主張、そして、韓国と中国の安保を一つのものとして考えること(大陸進出のために~)。これら全ては、中国、詳しくは中朝の主張とほぼ同じものです。だから、結論は「日本がどうとか」になりますが、中身は「日米がどうとか」になります。
最後に、記事は、安倍元総理が亡くなったことで改憲が早くなったとしながら、「安倍元総理を銃撃した人は、こんなことを予想できただろうか」としながら、明らかに嘆く文章を書いています。「未来志向」を言う相手のことで、どうすればこんな書き方ができるのか。少なくともその未来とやらがどんなものなのか、伝わってくる気もします。それはそうでしょう。日本はおろか、同盟国である米国の観点からもはずれ、中朝の観点から未来を見ているわけですから。 いつもより少し早いですが、今日はこれで更新終了となります。明日の午前、11時頃にまた更新いたします。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・準新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版です。 ・韓国に蔓延する対日観、『卑日』について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対する『卑』が必要なのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。