韓国メディア「数年ぶりの外交部長官の訪日、最高のオモテナシを受けると思ったのに」

朴振(パクジン)外交部長官の訪日が、これといった成果なく終わったことで、各メディアが戸惑っています。同じ趣旨を前にも書きましたが、無理して「なんとか良い方向に」もっていこうとする記事が多く、批判する趣旨の記事も、「日本メディアがそう報じている」としているだけです。

そんな中、ある意味では「韓国側は現状をどう思っているのか」が分かりやすく書いてある記事があったので、紹介します。地上波放送MBCなど、またもや「岸田総理は保守を気にしないといけないから」との報道が増えておりまして。数年ぶりに訪日した韓国の外交部長官だから、極尽な(原文まま)オモテナシを受けて当然なのに、そうではなかった。これは安倍元総理が亡くなったことで、岸田総理がちゃんと動けないからだ、というのです。

 

問題の本質がまったく把握できていないのはもちろん、言っていることが、選挙前に『参議院選挙が近いから』としていたときと、何も変わっていません。選挙が終わったから、またそれらしい理由を取り付けて、主張はそのまま維持したい、そう思っているだけではないでしょうか。特に、岸田総理がパク長官の弔問に関して話した(ほかについてはこれといって話さなかった)ことで、MBCは記事の題を「弔問客にされてしまったパク長官」となっています。弔問客として訪日した側面も確かにあったはずなのに、それをこう表現するとは、本当に呆れたものです。以下、<<~>>で引用してみます。今回の外相会談・総理表敬訪問に関していろいろ「記者として見たもの」が書いてあるので、いつもよりちょっとだけ引用長めです。

 

<<・・4年7ヶ月ぶりに隣国韓国の外交部長官が、やっと足を運びました。当然、極尽なおもてなしを受けるだろうと思いました。しかし、現実は妙な展開の連続でした。どの国だろうと、両国間の外交長官(※外相)が会談をすれば、冒頭発言として、本会談に入る前、メディア報道のために歓談を交わすのが慣例です。どうしても話す内容が無かったら、せめて天気の話でもします。しかし今回の外相会談には、この冒頭発言がありませんでした。

また、両国外交長官会談が終われば、互いに協議した内容をまとめて共同記者会見を行います。お互いのフレーズを調整し、両国の言語で誤解がないように慎重に準備します。ところが今回のパク・林会談では、この「共同記者会見」もありませんでした。岸田首相との出会いでは、さらに荒涼としました。パクジン長官と岸田首相が会う場面は、一切撮影ができないというのです。記者の首相官邸の出入りも防ぎ、遠くから撮ることもできませんでした。

 

パクジン長官と20分ほど面談した岸田首相は、主に話を『聞く』ほうで、「1965年の韓日修交以降に構築された友好関係を基に、すべての懸案を解決する必要がある」と話しただけだそうです。面談が終わった後、岸田首相は略式記者会見をしました。固い表情で現れた岸田首相は18秒の短いコメントをして、質問も受けずに席を立ちました。

「パクジン長官から、尹大統領の、安倍元首相への弔意を表すメッセージが伝えられ、私は、感謝の意を伝えてほしいと言いました。そんな会話でした」。時間を見てみると18秒です。ある日本の記者が「首脳会談の話が出たのか」​​と質問しましたが、首相はそのまま背を向けて行ってしまいました。両国間の核心懸案などについては何の言及もしませんでした。結局、岸田首相によって、パクジン長官はいつのまにか弔問客に転落してしまいました・・>>

 

記事は、この反応を安倍元総理が亡くなったからだとしています。引用部分にはありませんが、「~も理由の一つです」とかそんなものではなく、「なぜでしょうか?それは、~のせいです」と、完全に言いきっています。もうちょっと引用を続けてみます。

<<・・安倍の死後、求心点を失うと思われていた強硬派も、このような雰囲気に乗ってむしろ強く結集しています。彼らは生前に安倍元首相がした主張と政策をまるで「遺訓」のように伝播しています。岸田首相と林外務相がパクジン長官をおろそかにしたのは、保守派たちを気にしないわけにはいかないからです。もし大いに韓国と妥協する姿を見せたら、反発にぶつかるしかありません。日本の保守強硬派たちの怒りが岸田首相に向かったら、首相の席から引きずり下ろされるかもしれません・・>>

 

いや、たしかに「対応の強弱」については異論がありますし、あって当然だと思いますが、もっと根本的な理由は、『国家間の約束』でしょう。ちゃんとした解決策を持ってきたなら、そもそも岸田総理が『聞くだけ』だったはずもないでしょうし。政策協議団のときもそうでしたが、それでも何かあるのではないかと思って会ってみたら、やはり何もなかった。だから、肝心なことには何も応じなかった(就任式に参席せず、首脳会談もしなかった)のでしょう。いつものこととはいえ、あきれるばかりです。

 

 

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