尹政権、「日韓国防会議体において何か障害物があるなら、それについて再検討(再調査?)したい」・・レーダー照射問題の再調査を示唆か、それともただの協力アピールか

尹錫悦(ユンソンニョル)政権が、例のレーダー照射問題などで4年間も中断状態の、日韓ハイレベル(局長級以上)国防協議体を復元すると言い出しました。聯合ニュースとの記事によりますと、いつものこと、「日本側が応じればすぐでにもできる」としており、「日本が応じないでいるのが問題だ」のニュアンスです。しかし、「復元において何かの障害物があるなら、その障害物について再検討(再調査?)する」と話しているところが、ちょっと気になります。

言うまでもなく、これはレーダー照射問題のことでしょう。さて、尹政権がそのための再検討、いわば再調査にとりかかるという意味なのか、それとも、米国向けに日韓安保協力をアピールしただけなのかは、まだ分かりません。また、記事によると、日本からこれといった反応は無い、とのことです。私見はちょっと後にして、まず、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・政府が、日本と哨戒機事件以後4年近く中断されている高位級国防政策会議体の復元に乗り出す。国防部関係者は25日、連合ニュースとの通話で、「2018年末以降、事実上中断されている局長級政策実務会議を復元しようとしている」と明らかにした。彼は「正常化のための、何かの障害物があるなら、そのようなことも再検討し、協議を本格的に推進する」と話した。これは、尹錫悦政権発足後の韓日外交関係改善努力とともに、国防および軍会議体正常化努力が本格的に始動したことに意味がある。

先に国防部は今月22日、尹錫悦大統領に国防部と軍が日本と高位級交流と定例会議体運営を再開すると報告した。国防部関係者は「正常化時期は日本側の呼応にかかっている」と説明した。現在、日本側は韓国と国防高位級会議体の稼働に明確な態度変化を見せないでいると、伝えられた。国防部は、中断された高位級政策会議体を復元しようと、昨年、日本側と一回だけオンライン会議を行ったが、それから進展がなかった。2018年12月に発生した「日本海上自衛隊哨戒機葛藤」と両国関係全般の理由により、現在は課長クラスで交流している・・>>

 

多分、「ただの協力アピール」と見たほうがいいでしょう。票が10枚あるなら、こちらに9票は入れたいところです。でも残りの1票は、ちょっと別の見方に入れてみたいと思います。最近の尹政権は、どうしても前任の文在寅(ムンジェイン)大統領を、北朝鮮関連で追い込もうとする動きを見せています。西海で北朝鮮軍に銃撃された公務員のこと、北朝鮮に送還された脱北民のこと、などなどで。保守支持層において、もっとも歓迎されるのが、「北+文」路線ですから。

レーダー照射問題も、実は北朝鮮と関連した『裏』があるのではないか、そう言われて久しい案件。これを再調査して、文前大統領への捜査と結びつける・・そんな手もあります。まだ尹氏が大統領に就任する前に訪日した政策協議代表団が岸防衛相に会ったときにも、岸防衛相はこのレーダー照射を「まだ何も解決されていない」と強調しました。また、中央日報によると、6月の「シャングリラ会合」で開かれた日米韓防衛相会議でも、雰囲気は気まずいものでした。なにせ、目も合わせなかった、とのことでして(元ソースは読売新聞)。

 

<<・・韓日両国(※防衛相の)の公式会談はなかったとし、「関係改善の視界がはっきり晴れているわけではない」と診断した。岸信夫防衛相は、韓日国防長官会談が開かれない理由について、「意思疎通の重要性は認識しているが、具体的な会談に関しては適時に判断する」と11日、記者らに語った。読売新聞は、岸防衛相がメディアに公開された3国会談の初めに、ロイド・オースティン米国国防長官が話しかけると笑顔を見せたが、イ・ジョンソプ国防部長官とは目を合わせようともしなかったと、会談場の雰囲気を伝えた。

韓日国防当局間の代表的な葛藤事案としては、海軍駆逐艦と海上自衛隊哨戒機の間に行われた、いわゆる「レーダー照射・威嚇飛行」論議が挙げられる。これは、2018年12月20日、広開土大王艦が漂流中の北朝鮮漁船の捜索作業を行ったときに、近くを飛んだ海上自衛隊P1哨戒機が、広開土大王艦から火器管制レーダーの照射、すなわち狙って照らすことをされたと日本政府が主張しながら、触発された葛藤だ。

これに対して国防部は遭難船舶を探すためにレーダーを稼動していたし、日本哨戒機が早く低空で接近すると、これを識別するために映像撮影用光学カメラをオンにしただけで、海軍が哨戒機を危険に追い込むような行為はしなかったと反論した。このように、事件の実体をめぐって対立が続いた。これと関連し、防衛省(※日本)の幹部は「両国部隊間の信頼関係に関連した重大な問題だ。なかったことにはできない」と話すなど、依然として根に持っていると、朝日新聞は伝えた・・>>

 

こんな状況で、米国は「日韓安保協力」を強調しています。6月、最近出番の多い朴振(パクジン)外交部長官が訪米、ブリンケン長官と会談した後、急に「日本とのジ-ソミアを正常化します」と言い出して、直後から外交部や国防部が火消しに走ったりしました。あのときも、多分、何か『言われた』のでしょう。尹政権としては、レーダー照射の件と、「文+北」の件を、なんとか結びつけることができるなら、そう悪い手ではない、そう思っている可能性があります。これが、10票の中の1票分の、私見です。

どうであれ、日本としては、先に動く必要はないでしょう。あくまで『結果』を見て、本当にレーダー照射の件について再調査および真相究明を成し遂げたなら、相応の評価をすればそれでいいだけです。この件もまた、請求権協定に関する懸案と同じく、韓国側が『プラスα』を得るような事案ではありません。あくまで『復元』であり、先に乱した方に、復元する責任があるのは、あたりまえです。その当たり前の仕事に、プラスアルファの得を与える必要はありません。

 

 

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