昨日(二つ前のエントリー)もお伝えしましたが、最近、尹錫悦(ユンソンニョル)政権では中国を意識した発言が相次いでいますが、逆に、中国は「3NO(3不)」の維持を強く要求しています。まるで、尹政権の出方を予想し、構えていたかのような、そんな雰囲気です。そこで、2017年、初めて3NOが発表されたとき、中国外交部(外務省)はどんな話をしていたのか、それが韓国外交部の発表とはどう違っていたのか、当時の記事をいろいろ読んでみました。
特に、朝鮮日報(2017年11月2日)の記事に書いてある中国外交部のブリーフィング内容が、分かりやすかったです。当時の中国の反応は、官営メディアも外交部もほとんど変わらず、「韓国側が積極的だった」、「中国は、そんな隣国に対して善意を施した」などで、特に注目したいのは、「じゃ、これから(中国側は)どんな措置をするのか」という質問に対し、中国外交部が「韓国政府がちゃんと履行できたら、措置はそれからになる」趣旨を話した点です。いつ、どんな形で『履行できた』と認めるのか、そんな内容はありません。以下、<<~>>で引用してみます。ちなみに、本文には「約束」「合意」となっていますが、これは原文ママです。
<<・・THAADに関連した韓中間の合意に対し、中国側は1日、満足できるという反応を見せた。韓国側で「中国の望み通りに3不だけ約束してしまった」とされていることとは、違う反応だ。中国人民日報は1日の社説で・・・・「最近(韓国側から)一連の積極的な兆候が見られた」とし、「文在寅は韓国大統領に当選した後、中国に友好・積極的態度で中国の利益関係を重視し、サード問題を適切に処理しようとする積極的な願いを表現した」とした。両国の交渉過程について「韓国は米国のミサイル防衛(MD)体系に加入しないという現立場を変えず、韓米日安全保障協力は軍事同盟に発展しないだろうし、韓国政府はサード追加配置を考慮しないと、再度表明した」とし「中国の憂慮に積極的に応えた」とした。
それとともに、中国が交渉に応じた理由として、「隣人に善意を施す(中国の)周辺外交方針」を挙げた。韓国から中国に先に近づいてきたので関連要求を受け入れただけに、習近平中国主席の外交理念である「親近・誠意・好恵・包容」に基づいて、包容(※抱きとめてやる)してやったということだ。引き続き人民日報は、韓国が「自分で言い出した関連立場を実践し、引き続き関連問題を適切に処理しようとする努力を着実にしなければならない」とした・・(※他のメディアの反応も大差ない、という内容)・・
・・韓国が安保関連の約束をしたため、中国が合意に応じてやったという式の態度は、中国外交部のブリーフィングでも明らかになる。中国外交部の説明が、実際の合意文と一致する側面もあるのだ。先月31日に公開された合意文には、「中国側は韓国側が表明した立場に留意し、韓国側が関連問題を適切に処理することを希望した」というフレーズがある。ここで中国が「留意」するとした韓国の「立場」が何であるかは、明示的に書かれておらず、韓国がどんな「関連問題」を、どのように処理するというのか、曖昧だ。韓国政府関係者はこれに対して「サードが中国を狙ったものではないという、私たちの説明に、中国が留意したというもの」と説明を出した。
しかし、中国語で「注意到」に翻訳された「留意」が、何に向けたのかについて、中国外交部の説明は異なる。合意発表当日、ファチュナン中国外交部スポークスマンは、「韓国は、米国MDシステムに加入せず、韓米日安保協力を3国軍事同盟に発展させず、サードを追加配置せず、現在韓国に配置されたサードで中国の戦略的安保利益を毀損しない」と公開的に表明したことに留意し、関連問題を適切に処理することを希望する」と述べた。3NOの約束に加え、すでに在韓米軍に配置されたサードが、前方検知モードではなく、中国の利益を毀損しないと立証する責任まで私たち側に押し付けたものであり、これに対して「留意する」としたのだ(朝鮮日報)・・>>
他にも朝鮮日報が指摘している内容によると、中国側が留意すると言ったのは、『ちゃんと履行するのか』まで含めての意味です。合意文には「すべての分野の交流協力を正常な発展軌道に早速回復させる」という事項があり、文在寅政権はこれを取り上げて「THAAD問題はすべて封印され、中国側の(THAAD問題において韓国側に行っていた)関連措置は全面解除された」と主張しました。しかし、中国外交部はブリーフィングで、この条項に関連して「以後、どのような措置がなされるのか」という質問を受け、「韓国側が関連立場を実際に履行して、両側が各領域において交流・協力を推進する上で良好な条件を作ることができるよう、希望している」と答えました。すなわち、ちゃんと履行して、中国側が解除できるような条件ができれば、そのときに考えてみる、という意味です。
ちょっと文章を変えてみると、中国側は「手を差し伸べてやった」としているわけです。どっかで聞いたような気もしますが。当時の中国側の専門家の中には、「(韓国側が)THAAD関連技術を中国側に渡し、中国側がTHAADレーダーの探知レベルを下げるようにする可能性もある」と意見を出す人もいた、とのことです(在韓米軍基地内にあるからさすがにそれはないのでは?)。このような雰囲気だったなら・・というか、『そういうことになっている』なら、尹政権が『誤解しないように』としたところで、何か進展があるのでしょうか。
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