韓国の対中貿易、32年ぶりに3ヶ月連続赤字・・韓国経済紙「中国の技術向上が原因」

最近のエントリーで何度も取り上げましたが、尹錫悦(ユンソンニョル)政権、中国関連で妙な発言を続けています。特に、31日に紹介したばかりですが、「中国にサプライチェーン強化を提案」というチャンネルAの報道は、さすがに驚きでした。関連した続報が無いのかと記事を検索してみたら、まだこれといった情報はありませんでしたが、、、

韓国の経済紙『ソウル経済』が対中貿易関連で記事を載せていたので、そのほうをチョイスしてみました。日本の場合は、例えば所得収支などが他国よりずっと高く、前から「貿易収支が赤字でも経常収支は黒字になる」と言われていますが、韓国の場合はそうではありません。経済規模に比べて金融部門が弱く、いままで蓄積してきた資産もそう無いからです。

 

そんな韓国の貿易収支を支えてきたのが、対中貿易です。韓国の貿易において、約20~25%(時期により異なりますが)が対中貿易だと言われています。中国の対韓貿易は、5~6%。そんな中、韓国の対中貿易収支が、30年ぶりに3ヶ月連続の赤字を記録しました。ソース記事に書いてある内容ではありませんが、尹政権が急に中国関連の(妙な)発言を増やした理由の一つだとも言われています。

いわゆる国際情勢による通貨安、エネルギー価格の問題など、多くの要因が起きている今日このごろです。しかし、ソウル経済は、そういうのももちろん理由ではあるが、実は『中国の技術向上』が根本的な原因である、と指摘しています。「中国の経済成長のおかげで先進国の入り口まで来たが、その過程で中国との貿易に依存しすぎてしまったため、その中国の経済成長鈍化、及び技術向上(記事原文では中国側の表現を借りて『崛起』としています)により、入り口から滑り落ちる恐れが高くなりつつある」というのが記事のメインテーマです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・先月、貿易収支が46億6900万ドルの赤字を記録し、8ヶ月連続の貿易赤字行進を続けた。 8ヶ月連続貿易収支の赤字記録は、2008年のグローバル金融危機以来14年ぶりだ。韓国貿易の支柱の役割を果たしていた対中国貿易収支もまた、30年ぶりに3カ月連続赤字を記録した。グローバル景気鈍化の懸念拡散や石油などエネルギー源価格の急騰で、今年の年間基準貿易収支は、赤字を記録すると確実視される。過去30年間、中国という「巨人」の背中に乗り、先進国の入り口に達した韓国経済が、中国の技術向上(原文では『崛起』)により先進国入り口から滑り落ちる懸念が高まっている。

14年ぶりの4ヶ月連続貿易収支赤字、上半期基準の歴代最大貿易赤字、30年ぶりの3ヶ月連続対中貿易赤字。政府が1日に発表した「7月の輸出入動向」は、「歴代級」という言葉が似合うほど悪い指標が多い。このような傾向が続くと、2008年以降14年ぶりに、年間基準貿易も赤字を記録するという見通しも出ている。この中で、専門家たちが最も懸念するものは「対中国貿易赤字」だ。

 

貿易赤字の最大の原因であるエネルギー源価格急騰は、グローバル需給不安が解決すればある程度は解決できるかもしれない。しかし、対中国貿易赤字は、10年以上持続した中国の技術向上政策の結果であるからだ。政府は、今月中に業種別特化支援案をはじめ、規制改善・現場のアロー解消などを総網羅した総合輸出対策を出すという方針だが、対中貿易赤字の拡大についての懸念は、むしろ大きくなりつつある・・

・・専門家たちは、「脫中国」が現実的に容易ではないだけに、より細かい対策が必要だと口をそろえる。カンインス、スクミョン女子大学経済学科教授は、「経済側面で中国と相互協業する部分が多いだけに、お互いのニーズに応じた協力の必要性を強調し、リスクを減らしていかなければならない」とし「米国や欧州連合(EU)などに輸出多様化政策も並行しなければならない」と明らかにした。イシウク韓国開発院(KDI)国際政策大学院教授は、「対中国交易問題は、ずっと話が出てきたが、政府としてもこれといった解法が出せるわけではない」とし「中国の輸出が上手くいってこそ、韓国も輸出が増えるという韓・中の経済構造が密接に繋がっている点を認め、関連対策を樹立しなければならない」と明らかにした(ソウル経済)・・>>

 

記事で指摘している『中国の技術向上』による事例を見てみると、一時は半導体以上の主力と言われていたディスプレイ関連が、前年同期比でマイナス34%。石油化学関連がマイナス14%。先月に限って言えば、半導体はプラス10%ですが、これは思ったほどの増加幅とはいえず、むしろ半導体関連で、韓国が中国から輸入した金額が25%も増えた、とのことでして。これは、記事でも「協業」と言ってますが、さらにシステム的な問題です。

サムスン電子など韓国企業の殆どがは、中国の工場でウェハ加工まで作って、それから韓国に輸入してウェハ切断、包装などを行うシステムになっています。週刊韓国(韓国日報の週刊紙)の記事によると、2020年基準で韓国の半導体輸入額は570億3000万ドル。中国からの輸入額が177億9139万ドルで31.2%です。ちなみに台湾からが20.4%、日本からが13.6%。半導体輸出額も、額954億6000万ドルのうち、中国が412億ドルで43.2%。香港が18.3%なので、合わせると6割を超えています。

 

 

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