米国務省の元幹部、ユン政権のスタンスについて「ウクライナ事態のとき(前政権)と、何も変わっていない。凄い役割を望みながらも、安全な道ばかり求める。そこが日本と違う」

ユンペロスルーの件(これでも大まかに意味が通じますね)について、保守側のメディアも積極的に記事を出しています。最初は『できるかぎり肯定的に』の路線もあったものの、最近はなかなか、強めの書き方となりました。朝鮮日報も、一昨日あたりから、米国側の声を紹介する記事を連続で出しています。その中で、個人的に特に気になったのは、日本でも一部の著書が発売されているマーク・フィッツパトリック氏の指摘です。氏は、現在国際戦略研究所(IISS)アメリカ支部のエクゼクティブ・ディレクターで、米国務省の核問題関連副次官補でした。

氏は、今回の韓国政府の対応を、ウクライナ事態の直後にあった、国際社会による対ロシア制裁のときと同じだとしています。あのときも、韓国が動きを見せるまで、数日はかかった、と。「あまり言いたくはないけど」としながらも、氏は「韓国は国際社会でもっと凄い役割を熱望しながらも、中国の方だけ見て、安全な道ばかりを求めている」とし、「そこが日本と違う。日本は、世界において自分の役割をちゃんと認識している」と話しました。「ウクライナ事態のとき(文在寅政権)と、やり方が変わっていない」との趣旨も。以下、朝鮮日報(朝鮮BIZ)から、マーク・フィッツパトリック氏と、ミッチェル・リース元(国務省政策企画部長)の各発言を中心に引用します。<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が、訪韓したナンシー・ペロシ米下院議長と会わなかったことと関連し、7日、米国の声(VOA)放送インタビューで、ミッチェル・リース元国務省政策企画部長は「韓国の指導者に会えなかったのは非常に懸念されることだ。それは(韓国政府の)間違いだったと思われる」、「(韓国側が)中国をなだめるつもりだったなら、それは成功できないだろう。米国をブ◯ョク(※◯はジです)したことだと思う」、「韓国は、共同の価値を守護しないというメッセージを世界に発信してしまった。その価値は、同盟と、西側を規定するものであるにもかかわらず、だ」、「それは、私たちが中国・ロシアなどとどのような点で違うのか、21世紀をどのように作っていこうとしているのか、それについてどう思っているのかを見せる、非常に重要なものである」とした。

 

リース元部長は「韓国がどちら側に立っているのか、曖昧さが無いことを望む」とし「韓国は米国と共に立っている。私たちが共有した価値を支持しながら」、 「中国と異見があるなら、水面下で議論するのがいいだろう。韓国のためにも、外交をする上でも、それがいい方法だ」と述べた・・「(※議長の訪韓の際、韓国側関係者は誰もいなかったが、日本では外務省副大臣が迎えたこと、などで)なぜ韓国と日本とで、ペロシ議長に対する応対が違ったのか」という質問には、「中国に対する尊重が、間違った形で表出されたものだと思っている」と述べた・・

・・マーク・フィッツパトリック元国務部非拡散担当副次官補は、リース元部長の発言に強く肯定するといしながら、「リース本部長のすべての意見に同意する。 あれはブ◯ョクだったユン大統領がフェローシ議長に会わないという韓国の決定は)侮辱的だった」、「韓国の決定が、中国をなだめる試みだったとしても、それはうまくいかないだろう」、「残念ながら、中国に、『韓国を圧迫してもいいんだな』という認識だけ与えたことになる。圧迫し、従わせることができるという、本当に残念な認識のことだ」、と話した。

 

彼は、「韓国が、再び中国と米国の間でバランスを取ろうとしている、と思うのか」という質問には、「何とかバランスを取らなければならないという、長らく続いた、韓国外交政策のコダワリだ」、「あまり言いたくはないけど、韓国は、自ら熱望しているほど、国際的な役割を担う水準にまだ到達していない。中国の考えを気にし、何度も振り返って、安全に行こうとするだけだ」、「一方、日本は、世界の中での役割を認知している」と答えた。

彼は「私たちはあらゆる段階で民主主義を支持する」、「ウクライナ危機の中で、日本は、ロシアを即刻制裁した国の一つだった。韓国は、(対ロシア制裁を)数日間、待った。いつも副次的な役割に留まっているのだ」、「いつまでこのような状態が続くかも分からないが、少し残念だ」と話した。文在寅政権のことに言及し、尹政権でも変わっていないという認識を表したわけだ(朝鮮BIZ)・・>>

 

ユンペロスルー、なかなか長引いています。一昨日あたりからは、むしろ保守側のメディアがもっと騒いでいるような、そんな気もします。さて、朴振外交部長官が、今日、中国へ出発しました(※時間までは分かりませんが、多分、もう出国したでしょう)。『チップ4加入について』説明すると同時に、本ブログでも紹介しましたが、『中国とも半導体関連で協力を強化する案を協議する』と、にわかには信じられない内容が報じられています。チャンネルAなどでこの件が初めて報じられたとき、結構驚きましたが・・もはや隠す気もなく、堂々と協力強化方案を探ると話した、と記事が出ています。まさに、『もっと凄い役割(地位?)を熱望しながらも、やることがズレている』、その通りの反応ではないでしょうか。

中国側は今回、3NOの公式継承を要求するでしょう。チップ4加入を「特別に許可してあげるから、3NOを公式継承しろ」などと言う可能性もあります。また中国側と発表する内容が食い違い、「そんなこと言ってない」合戦になるのか、気になるところです。『曖昧さ』はまだ成立するかもしれませんが、『戦略的曖昧さ』という言葉は、もはや成立しなくなっています(戦略といえるほどの得が無い)。率直に言って『日米から何も得られなかった』尹政権の外交が、支持率急降下の中、対中外交で、何ができるのか、どこまでできるのか、見守りたいと思います(またもやマニュアル的な終わり方ですみません)。それでは、今日はこれで失礼します。

 

 

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