中国官営メディア、韓国に助言(?)・・「どうしても米国主導のグループに入るなら、そのグループ内部で『バランスを取り、是正する』役割をするといい」

さて、今日、朴振(パクジン)韓国外交部長官と、王毅中国外交部長が会談を行います。韓国メディアの報道では、「チップ4加入について説明し、3NO継承を公式に断り、いわゆる『限韓令』の解除を要求し、中国との半導体サプライチェーン強化について提案する」となっていますが・・さて、どうでしょうか。いつもの「そんなこと言ってない」はあるのかも含め、気になるところです。ブログ更新的にも、

昨日はVOAなど米国側が「ムンと変わらん」など懸念を示しているとお伝えしましたが、今日は中国、グローバルタイムズの社説(韓国ではヘラルド経済などが伝えています)を紹介します。グローバルタイムズは、環球時報の英文版のことです。今回の記事で個人的に注目したいのは、「どうしても米国主導のグループに入らないとならないなら、そのグループ内で韓国がバランスを取り、是正する役割を果たせばいい」という部分です。

 

「加入してはならない」ではなく、「加入して、内部から揺さぶれ」という話です。米国主導のグループというのは、最近いろいろありますが、タイミングからしてチップ4のことでしょう。韓国側はチップ4加入を説明し(説明するというか、許可を得るとしたほうが合っている気もしますが)、中国と『も』半導体関連の協力を強化する案を提示するとしています。中国はこれを利用し、韓国がチップ4に加入し、そのグループの趣旨を曖昧なものする、いわば弱体化させることを狙っているのでしょう。これが中国側の確定した主張なのかは分かりませんが、官営メディアが何の根拠もなくこんな主張を載せたはずはありません。

ソース記事によると、グローバルタイムズの記事が主張しているのは、大まかに3つです。まず、ユン大統領がペロシと会わなかったことについて、よくやった、そういうところが日本とは違うと褒める部分です。昨日、米国側の人も「日本と違う」と話しましたが、意味は正反対です。そもそも社説の題が、「韓国は、独立・自主的な外交を堅持してこそ、自然と尊重されるだろう」だったりします。社説は、ペロシ氏に尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が会わなかったことで、このように書いています。「中国社会は、韓国の、独立し、自主的な外交と、中国に対する合理性、特に日本と劇的に対照される合理性を見せたものとしている」、「その結果、韓国は中国社会から認定され、尊重された」、「これは、ある程度、パクジン外交部長官の中国訪問に監視、建設的で肯定的な雰囲気を造成した」。

 

個人的に、これ、ユンペロスルー関連の決定版となる一行だと思っています。実は、韓国政府がパク長官の訪中を、日付まで公式に発表したのは、ペロシ氏が日本に出発した直後(今月5日)のことです。そして、今回、中国官営メディアが、「この件は、外相会談の雰囲気造成にある程度は役に立った」としました。なぜユン大統領がペロシ氏と会わなかったのか、これ以上の分かりやすい『論拠』があるのでしょうか。

次は、THAAD関連です。詳しくは3NOといってもいいでしょうけど、いまのところ、THAAD以外の3NO(日米韓安保協力は『同盟』にはならない、米国のミサイル防衛システムに加入しない)については、いまのところほとんど話題になっていませんが、中国としては話を『範囲』を、THAADよりは3NOとして展開するはずです。『前政権の約束だ』としながら。この部分でも社説は妙に『尊重』を強調しています。「私たちは、韓国が中国の戦略的利益に対する正当な尊重(※THAAD関連の中国側の主張)を、『中国に従うこと』と解釈しないことを望む。むしろ、米国の圧力でTHAADを配置することこそ、『米国の利益に従うこと』だと見なければならない」、「中国は、韓国が友人とどう付き合うかについて話したことはないが、友人(米国)から剣を受けとるものではない」、などです。

 

「友人から剣を受け取る」って、友の頼みだから何でも受け入れるものではない、という慣用表現か何かでしょうか。これといってヒットしませんが。最後に、3つ目の部分ですが、この部分は<<~>>で引用部分してみます。 <<・・これと共に社説は、韓国のチップ4(米国主導の半導体サプライチェーン協議体)加入問題について、「韓国がやむを得ず米国が組んだ小グループに合流するしかないならば、韓国がバランスを取って是正する役割をすることを、国際社会は期待している」とし、「これは、韓国の独特の価値を体現することでもあろう」と付け加えた(ヘラルド経済)・・>>

 

スパイファミリー(何のファミリーだ)宣言キタ・・といったところでしょうか。某アニメとは正反対で、独特のセンスも、かわいい女の子も、面白い展開も、良く出来たアクションシーンも無さそうですが。さて、こんな相手に、パク長官は何を言うのでしょうか。率直に言って、中国に、韓国がチップ4に加入することを許可する・しない権限などありません。すでにこの件でここまで騒ぎになっている時点で、すでに尹政権の外交(尹政権だけの問題でもありませんが)は、中国の外交に完全に流されています。

なぜなら、韓国は数十年前から、地政学的には「米国側(日米側)」だったからです。いわば、日米韓という『チェーン(鎖)』の一部でした。それが、ここまで揺れています。これだけでも、中国としては笑いが止まらないでしょう。チェーンを切るには、チェーンの『環』全てを弱める必要はありません。一つの環だけ弱めておく、それで十分です。いざというとき、その環が切れると、チェーンはそこで二つになりますから。チェーンの強度は、もっとも弱い環の強度で決まる。「もっとも弱い環の法則」とも言います。先の「内部からバランス取れ是正しろ」というのは、「弱い環になれ」のことではないでしょうか。自分は強いと思っている、凄い役割を任されるべきだと思っている、弱い環のことです

 

 

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