いわゆる現金化を施行するか、何かの理由で延期するか、19日に決まるだろうという記事が増えてきました。例の官民協議会でも、同じ指摘があった、とのことです。三菱重工関連で、商標権などの現金化はまだ審理中です(事実関係や法律的な側面を調べている)。裁判所が、この審理を続けるのか、それとももうこれ以上の審理は必要ないと判断するのか、それが審理を始めてから4ヶ月になる、今月19日だというのです。
「審理中の最高裁判所民事三部は、事件受付4ヶ月になる今月19日の前まで、これ以上本件を調べなくてもいいかどうかを判断する『心理不続行』の可否を決定しなければならない。最高裁が、三菱側が出した上告を心理不続行として棄却すると、三菱の韓国内資産を現金化する手続きが始まる(ニューシースの記事より)」、と。すなわち19日までには何かの判断を出す、とのことです。このことは、官民協議会でも同じ話が出ていますが、協議会は「現金化の時点に合わせて慌てることはない」と、余裕のあるスタンスを示しています。
まず、原告側は、官民協議会にも参加していないし、今回こそ現金化をやるべきだと主張しています。ちなみに、原告側は3回目の会議から公式に参加しなくなりました。しかし、前に本ブログでも取り上げたことがありますが、韓国外交部は最高裁に『日本と外向的に努力している』という意見書を提出しました。また、日本側の対応が『効いた』のか、韓国外交部長官などが『現金化の前に解決案を用意する』と話すようになりました。つい1~2ヶ月前まで、このような発言はありえないものでした。それまでは、三権分立だから~という理由で、一切この問題に介入できない、というスタンスでした。
こういう動きを察した(?)のか、毎日経済など一部のメディアは「最高裁は、審理を続けて時間を与えるべきだ」という記事をビシッと載せています。また、官民協議会も『債務・債権関係の消滅についてどういう法理があるのか議論した』などと話しています(これから引用するソウル経済の記事より)。可能性の話とはいえ、こういうことも議論していたとは、少し意外です。しかし、全体的に見ると、期待できそうにありません。
なにせ、殆どのメディアは、「19日らしいっす」と当事者意識ゼロの記事を出すだけですし、また、先のニューシースの記事もそうですが、『解決できるチャンスはあったのに、日本が応じなかった』と主張するメディアも少なくありません。さらに、官民協議会も、この期に及んで『日本はどんなシャ◯イをするのか』『そのシ◯ザイのレベルや主体はどうなのか』について議論している、とのことでして・・多分、これを前提にしているのでしょう。なによりも、どの記事を読んでみても、「国際条約」としての側面を論ずる記事は、一つもありません。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・現金化問題の議論のための民官協議会3次会議が、9日、原告側が不参加したまま、開かれた。早ければ19日頃、日本企業資産に対する現金化の判決が下されると見られるが、参加者たちは明確な解決策を見つけることができなかった。政府は「現金化時限に合わせて慌てるわけにはいかない」としながらも、「判断の時点が近づいている」という立場だ。外交部はこの日午後、外交部庁舎でジョヒョンドン外交部第一次官の主宰で官民協議会を開催したと明らかにした。外交部によると、今回の3次会議で、参加者は先月4日と14日、それぞれ開かれた1・2次会議で議論した内容をもとに、解決案を協議した。
この日の会議について外交部当局者は記者たちと会って、「会議は大きく二つの流れで行われた」とし、「韓国が望むシャ◯イ、および、そのシ◯ザイの方式・水位・主体などに対する参加者の意見を聴取」、そして、「三菱重工業の特許権・商標権現金化命令が今月19日頃に下がる可能性」と関連して、解決法を議論したと説明した。特にこの当局者は後者と関連して「参加された多くの方が・・・・情緒的側面だけでなく、判決履行側面でも問題があってはならないと話した」とし、民事訴訟の債権債務を消滅させるための法理について議論したと伝えた。
続いて「債権者側で解決できる方案と債務者側から接近できる方案を議論した」とし「基本的には債権者の同意を受けて問題を解決していく過程が模範的だが、すべての人の同意を受けられなかった場合、法的に何ができるのか、意見を聞いた」と話した。この当局者は、「19日の現金化以前に、政府が解決策を出すというのか」という質問には、「緊迫性があるのは事実だが、現金化命令は政府側で決定できる事案ではない」とし「裁判所の棄却(※審理を続けず、現金化を行う)可能性を念頭に置いて急いで案を作ることはできない」と反論した(ソウル経済)・・>>
また、2018年、文在寅政権で、当時イ・ナギョン国務総理を中心に、韓国政府が支給する案を検討したことがある、という記事がありました。しかし、その金額があまりにも大きくて、できなかった、と。この部分だけ、引用してみます。 <<・・文前大統領は原則論(※政府にできることは何もない、など)に言及するだけだったが、韓国政府内部的には、2018年10月の最高裁判所の判決以後、イ・ナギョン国務総理を中心に対策班が設けられ、後続対策を準備した。この過程で、大規模な支給する金額が問題になった。
支援財団に登録された被◯者支援団体だけで34個に達し、被◯者として認定された者は約21万8000人余りだ。日本製鉄関連で最高裁判所の確定判決を基準に支給されるお金を1人1億ウォンだとすると、支給規模は約22兆ウォンに達する。国家が支給する他の案件との公平性問題も負担になった。当時最高裁判所判決1億ウォンは、法定で利子20%が加算され、すでに2018年10月時点で2億600万ウォンになっていた。これは2008年(※ノ・ムヒョン政権のときには、韓国政府が補償すると判断し、政府が補償金を支給しました)に支給された慰労金は2000万ウォンだった。光州民主化運動の場合は補償金が約4500万ウォンで、独立有功者に対する補償などと比べても、公平性が指摘される可能性がある(ニューシース)・・>>。 記事は、「問題を解決する機会はあったが、日本側がこれを蹴り飛ばした」としています。
さて、個人的には、また何かの理由で審理続行(延期)になるのでは、と思っています。というか、すでにそう決まっているのでは。繰り返しになりますが、『国際法』という側面で論じるようにならない限り、使える解決案はできないでしょう。そもそも、グランドバーゲンとかで『首脳会談で、各懸案を一括妥結』とするユンソンニョル大統領の考えが、あますぎました。任期が終わるまで延期を繰り返すのではないか・・そんな気もしますが。どうであれ、日本側がやることは決まっています。今まで通り、『一貫した日本の立場に基づいて』いればいいだけです。要は、『一貫』。揺るがないこと。これが大事です。
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