野党代表としての再起が確実視される李在明(イジェミョン)議員、現金化を支持する姿勢を鮮明に・・「未来志向のための前提」とも

一つ前のエントリーで「大統領の光復節演説、思ったよりマイルド」と書いたばかりですが・・なんか、保守メディア以外の反応は思わしくありません。日本関連もそうですが、『北朝鮮への大胆な提案』に関する部分も同じです。左側からは「北朝鮮が応じるとでも思っているのか」と、右側からは「なんで北朝鮮にそんな提案をしたのか」と言われています。まずは日本関連で、野党である「共に民主党」の李在明(イジェミョン)議員の主張などを紹介し、それから、前のエントリーで触れなかったので、北朝鮮関連の内容も少し綴りたいと思います。

さて、あの李在明氏が帰ってきました。誰だっけ、と思われるかもしれませんが、この前の大統領選挙で尹錫悦(ユンソンニョル)氏と超接戦を繰り広げた、あの李在明(イジェミョン)氏のことです。自営業者の数を制限する法律を作るとか、土地を持っている人たちから税金を徴収しまくって土地を持っていない人たちのために使うとか、とにかく国家による介入・国有・バラマキ大好きの政治家です。日本関連での強硬な発言が多かったことで有名です。彼に対する評価は右か左かで克明に分かれますが、今の韓国において超大物の政治家であることに変わりはありません。

 

尹政権が始まるとすぐタイーホホイホイされるのではないのかと言われていましたが、なんと国会議員に当選、党内からも反対の声はあったものの党代表選挙に出馬、いまのところ破竹の勢いで1位をキープしています。大きな異変でもないかぎり、もうすぐ巨大野党「共に民主党」の代表になるでしょう。その李在明氏ですが、SBSなど複数のメディアの報道によると、今朝、『バイ◯ョウ(※◯は『シ』です)』を強調する主張を展開しました。『合当(※あって当然の)なバイ◯ョウこそが、日韓関係の未来志向の前提である』というのです。19日までとされる、最高裁の現金化判断を意識しての発言でしょう。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・共に民主党の有力党権走者(※政党代表候補)であるイ・ジェミョン議員は、第77周年光復節を迎え、「合当な責任と法的バイ◯ョウを前提に、未来志向的な韓日関係を確立するべきだ」と強調しました。イ議員は今日(15日)午前SNSに文を載せて「国際環境が思わしくない。二分法的思考、二者択一を越える国益中心の実用外交で、危機を機会に変えなければならない」としながら、そう述べました。イ議員は南北関係と関連して「北朝鮮は韓国政府の『大胆な計画』に呼応せず、強力な措置を予告している」とし、「既存の南北間の合意を尊重し、周辺国の支持を引き出す大韓民国主導の韓半島平和体制 構築の道に進むべきだ」と話しました(SBS)・・>>

 

ここでいう二分法とは、『米国か、中国か』の意味です。中国側に傾くと何も言わないのに、なぜか米国支持を明らかにすると『二分法はやめるべきだ』と言う人が増えます。というか、社会の全ての分野が『二分』されている中、こんな主張をするのも妙な話ですが・・イ議員はまた、「以前の政府の外交成果を無しにしようとしてはならない」とも主張したそうですが、これは3不など対中、及び対北政策のことでしょう。ここでいう『合当』もまた、中国側が韓国に主張した「5つの条項」の『応当』と似たような意味になります。それが当然だ、そうなって当然だ、正しいのだ、という意味です。

韓国では英雄とされる独立有功者及び遺族の会である「光復会」のジャンホグォン会長(前の会長は数々の不正で辞任しました)は、「外交には妥協も必要だろうけど、韓国が譲歩するのを我慢するにも限界がある」との趣旨を話し、イ◯ンフとされるイ・ヨンスもまた、「なんで大統領は言うべきことを言わないのか」と、今朝の演説に対して大きな不満を表出しました。これらは、韓国では大統領とて意識せざるをえない影響力を持っている人たちです。「大統領の支持率がやっと下げ止まった」、「調査機関によっては再び30%台に入るなど、上昇したというデータもある(※『不支持』は変わらず)」などのニュースが流れていますが、今回の演説がさらなる支持率低下に繋がる可能性もあります。

 

で、最後に北朝鮮ですが、今朝の演説で、尹大統領は北朝鮮に対して「核開発を中断し、実質的に非核化するなら」という前提で、次のような提案をしました。「食糧供給プログラム」、「発電・送電関連のインフラ支援」、「国際貿易のため北朝鮮の港湾と空港を近代化するプロジェクト」、「農業生産性向上のための技術支援」、「病院・医療インフラ近代化支援」、「国際投資及び金融支援プログラムを実施」。尹大統領はこれを、「非核化の段階に合わせて行う」としながら、「北朝鮮の経済と民生を画期的に改善できる、大胆な構想」だと(自分で)話しました。ですが、この点、ハンギョレ新聞 や 聯合ニュースなども指摘していますが、実はこれ、李明博(イミョンバク)政権のとき、まったく同じ話がありました。 北朝鮮の非核化を前提に、北朝鮮の1人GDPを3千ドルレベルまで引き上げてやる、という内容です。「非核開放3000」と言います。バッテリーか何かの商品名か・・

 

ハンギョレ新聞は「何の成果も無く終了した李明博政権の非核開放3000とそっくり」としており、聯合ニュースも「実質的な非核化というのがどんなものなのか分からない」、「北朝鮮が要求しているのは経済というより安全保障(※金正恩体制の保障)」であると指摘しながら、「安全保障に関しての内容が無く、強硬になった北朝鮮が呼応する可能性は希薄である」、「当初、今回の『大胆な構想』には安保(体制保障)に関する内容も入れる予定だったと聞く。米国側との話し合いがうまくいかなかった可能性もある」としています。

いままで、対北政策だけは強く出るとしていた尹政権ですが・・一部、保守支持層からも、「なんでそんなことを言うのか」と、不評のようです。しかし、日本に対して尹大統領がよく使う「グランドバーゲン」という単語も、実は李明博大統領が北朝鮮に対して使った言葉ですし、側近の中にも李明博政権関係者が結構登用されている、と聞きます。政権交代という側面で『日本側からも期待が大きい』と言われていたのも、李明博氏に似ています。ちなみに、今回の光復節特別赦免に李明博氏は含まれていませんでした。

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版です。 ・国に蔓延する対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今の韓国に、日本に対してこんな対日観が必要になったのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。