韓国ユン政権、ついに北朝鮮関連でも米国と対立か・・米国「韓国大統領の北朝鮮支援発言は、全的に仮説にすぎない」 / 韓国「事前に米国、日本、中国と協議済み」

一つ前のエントリーで紹介した、韓国大統領の「北朝鮮支援」発言、そしてそれと関連した大統領室の『先・制裁解除、後・非核化』発言。韓国内では結構大きな話題になっています。本エントリーは主に大統領が演説で直接話したこと、すなわち北朝鮮への破格的な支援に関する内容になります。ただ、関連記事の引用などの前にちょっと書いておきたいですが、もっと問題なのは、大統領室の『先に解除してもいい』発言でしょう。

かなり前から、日米などは「少なくとも非核化が確認できるまでは、対北朝鮮関連制裁の緩和・解除は無い」としてきました。しかし、文在寅(ムンジェイン)政権では、非核化が確認できる前の段階、例えば北朝鮮が『分かった、話し合いに応じる』とした時点で、制裁の一部でも解除、または免除(韓国側が北朝鮮に行う各種支援を、国連制裁の例外として認める)を要求してきました。しかし、これといった成果は、何一つありませんでした。

 

有名なのが、鉄道連結ですね。一時は『南北鉄道を連結すると、一気に日本を超える経済大国になる』などと大騒ぎになっていたあの南北鉄道連結。文政権は、この鉄道連結を「制裁の免除(例外)」にするため、ずいぶんと努力(?)しました。そして、北朝鮮側が演説か何かで少しでもゆるい表現を使うと、「和解のジェスチャーだ。もう制裁を解除するときだ」などと主張しました。結果、しかし、『調査』までは認められたものの、実際の工事はできませんでした。

鉄道連結のためには北朝鮮側の鉄道インフラはもちろん、関連した電力インフラまで全部変えないとならない(韓国側が支援しないとならない)し、そもそも鉄道を連結したところでそこまで変わるのか?など、いろいろ疑問でしたが・・いまでも大勢の人たちが、この話の実現を夢見ています。一時、ロシア側から電力を供給してもらう案(『東北アジアグリッド』案というもので、事実上、北朝鮮を経由することになります)が話題になったり、文大統領が北朝鮮側に原発関連情報を流したのではないかという話もありましたが、それらもすべて『電力インフラ』関連でした。どうせ、なにもかも成果なしでおわりましたが。

 

で、ここから本題ですが・・そんなことがあるたびに、文政権は『米国とは大まかに協議した(または合意できた)』『米国側も十分な理解を示してくれた』などと主張しました。すると、それからの展開はほぼワンパターンで、米国側が『そんなこと言ってない』と話し、文政権はまた『そんなことない。協議済みだ』と主張しました。このパターンがもっとも凄かったのが、終戦宣言関連ではないでしょうか。文在寅大統領が「とりあえず終戦宣言しましょうよ」と主張し、日米はスルー、北朝鮮すらも『何の意味があるのか』とし、いつのまにか全然話題にならなくなった、あの終戦宣言のことです。

当時も、米国側はこれといって応じず、単に『終戦宣言が必要だとする主張には同意するが、いまはそんなときではない』というスタンスを示してきたにもかかわらず、韓国政府は「違う違う、米国とも協議しており、かなり話が進んでいる」などと主張し、なんと、終戦宣言の草案は米韓の協議のもと、もう出来ているという話まで出てきました。しかし、それから何の進展もありませんでした。

 

それと似たようなことが、今、尹錫悦(ユンソンニョル)政権でも起きています。北朝鮮が非核化関連の協議に応じるなら、大きな支援を行うという、いわゆる『大胆な構想』。これに対し、米国国務省のネッドプライス氏は、こう話しました。マネートゥデイからの引用となります。<<・・ネッドプライス米国国務省広報担当者は15日(現地時間)、『大胆な構想』と関連し、「真剣で持続的な対北外交の道を開く韓国の目標を、強く支持する」と明らかにした。しかし、対北制裁に関する部分の『免除説』関連での質問に対しては、「残念ながら、その質問は、現時点で完全に仮説だ」とし「そもそも、北朝鮮はいままで外交や対話に関心があるといういかなる兆候も示したことがない」とした・・>>

 

外交でよく出てくる表現です。『趣旨は同意するが、そのやり方は困る』という意味です。しかし、この件で、韓国外交部はまたまた『すでに協議した。日本、中国とも協議した』と主張しました。ネッド・プライス氏が言ったのは『北朝鮮が話し合いに応じる』が仮説だとしているだけは、『大胆な構想』に問題提起したわけではない、というのです。ちなみに、米国だけでなく、日本、中国とも事前に話し合った、とのことです。一つ前のエントリーでも同じ趣旨を引用しましたが、一部の韓国メディアは尹大統領の大胆な構想に対し、『事前に米国と調整できなかったと思われる』と指摘しています。それを意識してのこと、でしょうか。同紙から、続けて引用してみます。

 

<<・・政府が、尹錫悦大統領が光復節演説で提案した「大胆な構想」は、米国と大まかな方向で協議を終えた事案であると、16日、明らかにした。実務協議など対北対話の提案については、南北関係、朝鮮半島状況を勘案して検討するという。チェヨンサム外交部スポークスマンは、この日の定例ブリーフィングで、米国国務省側が大胆な構想による対北朝鮮制裁部分の免除説について、「完全に仮説だ」と反応したことに関する質問を受け、「米国とは『大胆な構想』の目標、原則、そして大まかな方向性について協議を終えた」と答えた・・

・・(※先のネッド・プライス氏の発言などを紹介した後に)これと関連して、チェ広報担当者は、「北朝鮮がどのように出てくるかの予想が仮説だとするもので、韓米が共助しなければならないというのは仮説ではない」と述べた。チェ・スポークスマンは対北朝鮮制裁の部分的な免除に関連し、米国側と疎通し、「具体的な方案に関しても、韓米両国が非核化という共通の目標の下で、今後の過程、手続きなどに緊密に疎通して共助していくという方針」と言った。続いて「韓国政府は大胆な構想を成案するすべての過程で、米国と緊密に調整し、中国、日本など主要国とも事前疎通を行ってきた」とした(マネートゥデイ)・・>>

 

繰り返しになりますが、本文が「免除」になっていることからも分かる通り、これは大統領が直接言及した『支援』に関するもので、あとで大統領室が話した『非核化確認前の制裁解除』についての内容ではありません。それまで含めて考えると、米国側が応じるはずがないでしょう。本当に事前に調整したのでしょうか。とても、そうは思えません。終戦宣言騒ぎの続編としか思えません。ひょっとして、日本『解決法』、米国『チップ4』、中国『サード』、韓国『よし、制裁免除について話し合った』、日米中『え?』・・といったところでしょうか。いや、まさか。

 

 

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