ユン政権が通貨スワップを必要とする、『内部』の側面・・韓国メディアが報じる、不動産及び金融関連の記事

為替レートがまた妙な動きをしているし、金利引き上げの話も聞こえてくるし、久しぶりに、韓国内の経済関連エントリーを書いてみます。一つは、『家の価格が下がっている』ことが、意外なデータから現れています。もう一つは、3か所以上の金融機関からお金を借りた「多重債務者」が増え、さすがにこのままではいけない、と。これらは、通貨スワップ(金利引き上げしたくてもできない)を望むスタンスとも繋がっている内容だったりします。

まず不動産価格のことですが、ジョンセ(伝貰)というものをご存知でしょうか。韓国にしか存在しないという独特の制度で、大家から、家を丸ごと借りることです。伝貰保証金として、その家の購入価格の3割~5割程度を預けると、大家はその金を運用して、利子を得ます。家を借りた人、韓国では「貰入者」と言いますが、あとで保証金は全額返してもらうことになるので(例外はありますが)、この制度は、数十年前から韓国の住宅事情を支えてきました。

 

ただ、これは大家が相応の利益を得ることが前提です。預金として預けると年5%以上の利子がもらえる、そんな時代には、ただ家を貸して、保証金を銀行に預けるだけでよかったと言えるでしょう。また、家の所有権が消えるわけでもないので、その家を担保にして銀行からお金を借りて、貰入者からもらった(預かった)保証金を足せば、また別の家が買える、そんな時代もありました。しかし、どちらも、最近はできなくなりました。

そこで、いくつかの現象が見えてきました。例えば、月々決まった代金を受ける(月貰ウォルセと言います)制度に変更する大家が増えました(これは別に問題とはいえません)。問題なのは、貰入者からもらった(預かった)金を使ってしまい、『保証金を返してやることができない』大家が増えました。この場合は、家を売っても、大家本人が銀行から借りたお金の回収などが優先されるため、貰入者はお金を返してもらうことができなくなる、いわゆる『空き缶伝貰』現象に見舞われます。

 

ですが、家の価格の3~5割とされていた保証金が、いつのまにか家の価格の8~9割まで上がってしまいました。「9割って、じゃその金で別のところに家を買えばいいのでは」とも思いましたが、実はこれ、保証金が上がったのではなく、その家の価格が下がったせいでこうなった、とのことです。「アジア経済」は、『不動産バブル崩壊時期を思わせる、不安なサイン』という題の記事で、この件を報じています。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・住宅価格が下落し、いわゆる空き缶伝貰に対する懸念が出ている。韓国都市研究所が最近公開したデータによると、今年1月から5月10日までに取引された全国の伝貰価率(※その家の価格と、伝貰保証金の比率)は、平均90.9%だ。ジョンセ価率が80%以上のケースが、全体取引の37%に迫った。伝貰価率は、伝貰保証金学を売買価格で割ったものだ。不動産業界では、伝貰価率が80%以上であれば、契約が満了しても保証金が返してもらえない「空き缶」のリスクが大きいとみなす(アジア経済)・・>>

 

次は、多重債務者が446万人に及ぶ、というニュースです。債務があるからって無条件で問題があるというわけではありませんが、これらの記事で扱っているのは、韓国で言う『貯蓄銀行』など第2金融件(借りやすいけど、利子も高い)、しかも3か所以上の金融機関からお金を借りた人たちのことです。イーデイリーは、『このままだと金融危機が来る』としながら、「家計負債の全体規模は(※利上げなどで)若干減ったものの、3カ所以上の金融機関からお金を借りた多重債務者の割合は増えている、と指摘しています。また、この446万人の中には、青年層もかなり含まれている、と。

<<・・このような状況を放置した場合、今後金融市場を揺るがす雷管になる可能性があるという懸念の声が出ている。特に2金融圏の貯蓄銀行、30代以下、中・低所得層の多重債務の割合が大きくなる傾向だ。15日、韓国銀行が国会政務委員会所属のユンジャンヒョン国民の力議員に提出した資料によると、今年第1四半期末基準の家計貸出者のうち22.4%が多重債務者だった・・・・445万6000人余りとなる。同期間、貸出残高基準にして多重債務の割合を計算してみると、全体金額の31.9%と集計された(イーデイリー)・・>>

 

ちなみに、30歳以下の青年層に、多重債務者がまた急激に増えている、とのことです。これは、いわゆるヨンクルなど、無理をして不動産投資をした人たちが、思わしくない結果になったからではないでしょうか。ソース記事には書いてありませんが(この部分だけ、マネートゥデイより)、韓国金融研究院が発表したデータ(2021年4月末基準)によりますと、30歳以下+多重債務の金額は158兆1000億ウォンで、2017年末と比べて32.9%も急増した、となっています。

 

 

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