韓国外相、現金化と関連しホワイトリスト復帰を『要求(?)』・・日本側は『それぞれ別の事案』とし、応じず

今月4日、カンボジアで開かれたASEAN関連外相会議で、日韓外相会談がありました。大した成果はなく、韓国側では『3回も外相会談があったのに、進展がない』と、一部の韓国メディアは戸惑う反応を見せたりもしました。若干ではありますが、今まで韓国側の『会えばなんとかなる』とする期待が、現実的ではないと気づいたのでしょうか。

で、そのカンボジアでの日韓外相会談で、韓国の朴振(パクジン)外交部長官(外相)が、日本の林芳正外相にホワイトリスト国家復帰を要請したものの、日本側は応じなかったというニュースがありました。元ソースは産経新聞で、今朝時点で韓国では聯合ニュース、KBS、朝鮮日報(BIZ)、文化日報、ヘラルド経済など、大手からネットメディアまでほぼ全てのメディアが報じています。韓国側は、いわゆる現金化問題において『努力しています』などを理由に復帰を言い出しましたが、日本側は『それとこれとは別の案件です』とした、とのことです。

 

個人的にこの件、「あるある(の可能性が高い)」と思っています。外交部が急に最高裁に『意見書』とやらを出したのが、7月の26日でした。ひょっとすると、その意見書は、8月4日の外相会談でアピールするために急に決めたものかもしれません。そして、カンボジアでパクジン外交部長官が具体的にどんなことを話したかまでは分かりませんが、8月19日に最高裁がどんな動きをするのか、パク長官はすでに知っていたのではないでしょうか。これでなんとかなるだろう、と思って外相会談でアピールしたものの、うまくいかなかった、と。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・日本政府が、輸出管理優遇対象の「ホワイトリスト」(国家名簿)に復帰させてほしいという韓国政府の要求に応じなかったという報道が出た。21日、産経新聞は複数の日本政府関係者を引用し、「4日、カンボジアで開かれた韓日外交長官会談で、パクジン韓国外交部長官がホワイトリスト復帰とともに、日本が半導体材料3品目の輸出管理を厳しくしたことに対する解除を要求した」と報じた。

産経は「林芳正日本外務相は、『現金化問題とは別だ』としながら応じず、『現金化に至れば深刻な状況になるので避けなければならない』だけ繰り返し言った」と伝えた。日本は韓国最高裁判所判決に対する事実上の対抗措置として、2019年7月半導体・ディスプレイ核心素材であるフッ化水素など3品目の韓国輸出を厳しくし、8月には韓国をホワイトリストから外した(文化日報)・・>>

 

記事は、またいつもの『手を差し伸べたではないか』な論調です。尹錫悦(ユンソンヨル)大統領が就任100日記念記者会見(17日)で「日本が憂慮する主権問題の衝突無しの方案を講じている」と話したことを取り上げ、(直接的に書いているわけではありませんが)「なのに、なんで応えないのか」な趣旨を展開しています。これもまた前に書いたことがありますが、そこまで強調したいなら8月15日の光復節演説でやればよかったのに、なんでわざわざ17日にやったのか、それに、講じているといっても、その時点ではすでに原告側は『官民協議会』に参加しないと公式に宣言していました(実際、3回目会議から完全に不参加)。

また、最近の韓国メディアの記事には何かの教科書引用のように出てきますが、またもや朝日新聞の「輸出管理緩和のための動きは、ユン政権が韓国内で韓日懸案の調整を裏付ける肯定的なメッセージになりえる」、「日本政府は輸出管理強化措置の解除を始めたらどうだろうか」とした社説を紹介しています。本当に多くのメディアに載りますね、これ。また、今回も、日本で言えばNHKのような放送局であるKBSなどほぼ全てのメディアが『字一つ』違わない記事を載せています。いくらニュース通信会社(新聞を出さず、ニュースを提供する会社)最大手の聯合ニュースが報じたとは言え、これでいいのか、疑問です。少しは自社なりの文章を入れてもいいはずですが。

 

韓国内では、『韓国は日米韓共助のためにすでに多くのことをやっている、だから、日本にはホワイトリスト復帰を、米国にも同意を要求すべきだ』とする声が上がっています。相応の内容の記事を、本ブログでも9日に紹介しています。会談が4日だったので直接的な関連性があるのかどうかは分かりませんが、ソブジャン(素材・部品・装備)で国産化を成し遂げているといいつつ、何かあればホワイトリスト復帰主張が出てきます。いわゆるチップ4加入も例外ではなく、「米国のためにチップ4に加入することになり、中国との関係も負担が増えた。だから、その対価として、日本にはホワイトリスト国家復帰を要求し、米国も韓国に同意すべきだ」、との内容でした。

最後に、これもまたいつものこと、と言ってしまえばそれだけですが・・産経新聞は『要請した』『求めた』などとなっていますが、KBSをはじめ、韓国メディアは一斉に『要求』としています。なにかの心理の現れ、でしょうか。要求と要請は、場合によっては似たような意味で使うこともできましょうけど、そのニュアンスには明らかに差があります。日本でもそうですが、韓国の国語辞典などでも、『必要に応じて請すること』となっていますが、要求の場合は、『自分がもらうはずのもの』に対して使う、となっています。(標準国語大辞典からの引用だと、『要請』は『必要に応じてあるものや行動を請する』、『要求』は『もらうはずのものを、必要に応じて請する』)。

 

最近、こういう側面からは、あの『応当』がオーバーラップします。外相会談で、中国の王毅部長が『応当(当然、~すべき)』としながら提示した、5つの項目のことです。すべてが『応当』で始まるもので、12日の過去エントリーでも紹介しましたが、それは、まるでしつけをするようなニュアンスである、とのことでして。少なくとも、外交で使う用語ではない、と。それに比べると要求はまだマシかもしれませんが、中身は同じでしょう。当然そうなるべきだ、私たちがもらうべきものを、もらえていないのだ、と。

 

 

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