今朝、またもやウォンの為替レートが急な動きを見せました。理由は、いろいろあるでしょうけど、貿易赤字、特に4ヶ月連続対中貿易赤字が大きな理由だと言われています。文在寅(ムンジェイン)政権だけでなく、尹錫悦(ユンソンヨル)政権でも対中スタンスが変わらなかったこともあち、最近、中韓関係エントリーが増えました。今日は、中韓なだけに中間財関連です(HAHAHA)。
外交とは、国の内部の姿を映し出すものでしょうか。韓国外交の特徴は、ある事案において、「どうすれば守れるのか、どうすれば状況の一部として参加できるのか」ではなく、どうすれば例外にしてもらえるかを最優先で考えます。米中対立においても、ずっとこのスタンスでした。いわゆる『戦略的曖昧さ』というものも、同じ発想ではないでしょうか。ユン政権になってからも、『どうすれば米中の間で、例外のポジションにいられるか』だけを考えています。しかし、本当の意味で『国益になる』ものは、そういうものではありません。外交とは国益を考えるものであり、それと『特別扱い』は別の概念です。
経済安保という言葉とともに、経済と安保が融合している今日この頃。ユン政権はまだまだ経済と安保をそれぞれ別のものとして考えており、メディアも世論も同じです。「米中対立と中韓関係は別のものだ、詳しくは、『別のものとして存在できる』」。いまのユン政権の対中外交は、それを基本にしているように見えます。しかし、韓中関係においての『経済』そのものが、すでに新しい米中関係の中で、新しいステージに入ろうとしています。日米は、『仲間』を信頼する(信頼したい)形で動き、『自陣』の中でのサプライチェーンを強化しています。しかし中国は、『自分』の中での解決を望んでいます。それが、『韓国が中間財を中国に輸出し、中国が完成品を作る』という今までのシステムに、大きな変化をもたらしています。
韓国の対中貿易は、4ヶ月連続の赤字がほぼ確実になりました。いまは国際情勢が不安定すぎで、原因を一つだけにしぼるのは難しいでしょう。しかし、一部の専門家たちは、他でもない中国の経済政策、いわゆる『双循環(デュアル・サーキュレーション)』により、中国が中間財を自力で作るようになったことが、大きな理由だと指摘しています。この双循環政策は、米国のサプライチェーン戦略に対し、中国が宣言した政策です。そう、いくら例外を認めてもらおうとしても、いくらメディアが「それでも戦略的曖昧さを維持できる」と主張していても、現実という流れは、すでに例外を認めようとしていないわけです。以下、プレシアン(為替レート関連の知らせ)と、マネートゥデイ(対中貿易と双循環関連)を、それぞれ引用してみます。特にマネートゥデイの記事は、題で『チャイナブームは終わりか』としていますが、短い文章ながらも、経済がどれだけ中国というブームに乗っていたか、どれだけ影響を受けやすいのか、よく表していると言えるでしょう。各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※今朝、関税庁が発表したデータによると)今月1~20日の貿易収支は102億1700万ドルの赤字と集計された。これは昨年同じ期間の35億7900万ドルの赤字と比べ、ほぼ3倍急増した結果だ。核心輸出品目である半導体輸出額が前年同期比7.5%減少するなど、実績不振が目立った・・・・残りの期間にもこのような基調が続いて貿易赤字が確定すれば、2007年12月~2008年4月以降初めて5ヶ月連続貿易赤字となる。
このような変化の核心原因としては、対中貿易収支が赤字になったことが挙げられる。関税庁の資料を見ると、今月1~20日の対中貿易収支は6億6700万ドルの赤字だった。このままだと、韓中修交が締結されてた1992年8月以降、史上初めて4ヶ月連続赤字となる。貿易での成果が国内経済成績の核心指標となる特性を反映するように、この日ソウル外国為替市場でウォン価値は大きく動いた。ウォン/ドル為替レートは取引開始とともに前取引日より9.6ウォン急騰(※ウォン安)したドル当たり1335.5ウォンを記録した。続いて午前9時30分現在1338.0ウォンになっている(プレシアン)・・>>
<<・・対中国貿易収支が修交後30年ぶりに4カ月連続で赤字を記録することが、有力視される。一部では輸出において「チャイナブーム(好況)」が過ぎたのではないかという懸念も出ている・・・・最近の対中国貿易赤字は、中国が中間財を自国産に置き換えたことによる結果だ。専門家たちは、中間財中心の対中輸出構造を消費財・最終財中心に転換しなければならないと助言する・・(※中国産の資材などの価格が上がったのも一因ではある、との話のあとに)・・しかし最も大きな問題は、「双循環」に代表される、中国政府の内需強化政策が、輸入に頼っていた中間財を自国産製品に置き換えた効果だ。
半導体など先端産業育成のために国産化を推進するのも、対中輸出に影響を与えている。ジョンインギョ・インハ大学国際通商学科教授は、「私たちが中国に中間財を送って、(※中国がそれで最終製品を作り)米国に輸出する仕組みが、作動しなくなった」と指摘する。貿易協会が18日発表した「最近の対中国貿易収支赤字の診断」という題の報告書によると、中国の半導体製造用装備国産化率は昨年末21%から今年上半期32%に上昇した。これにより、上半期の対中半導体製造用装備の輸出は前年同期比51.9%減少した。中国は、装備を自国産製品に置き換えているのだ。このような傾向は過去30年間維持されていた「韓国が中間財を中国に輸出して、中国が完成品を世界に販売する」という両国間貿易構造が機能しなくなる可能性を示唆しているのだ(マネートゥデイ)・・>>
記事の最後の部分、どっかで聞いた話だな・・と思ったら、文政権の頃から耳にタコヤキが出来るほど聞いた、『国産化成功』によく似ています。ただ、記事の数値だけを見ると、文政権が主張していた成功とは違い、中国が本当に成功しているようにも見えます。別に合わせて書いているわけではありませんが、昨日の夕方に書いた内容が『内から』なら、本エントリーは『外から』になるのではないか・・そんな気もします。気のせいなら、別にいいですが。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして新刊・準新刊のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年6月1日発売)からですが、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>です。アマゾンページに書いてある、「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」本書の全てを表していると言えるでしょう。そんな本です。 ・準新刊<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >は、日本滞在4年目に感じた「日常」と、ラムザイヤー教授論文騒ぎにまつわる、日韓の対応の差などをまとめました。2021年発売版に、相応の追記を致した新書版です。 ・韓国に蔓延する対日観について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。なぜ今、日本に対してこんな対日観が必要になったのか。それを自分なりに考察、率直に書きました。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。旧「インフォメーション」もこちらに統合してあります・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。