尹錫悦政権の「前政権」捜査、文在寅大統領までは届かない? もしそうなら、またもや政権に大ダメージ

ブログ本題から離れることになりますが、韓国内で大きなニュースになっているし、一度は取り上げたほうがいいと思って、エントリーします。新しい政権の『正統性』確率手段とも言える、前政権への捜査(これ自体がすでに不思議ですが)。成功すれば右側からの圧倒的な支持が期待できますが、もしうまくいかなかったら、結果は逆です。そう、いずれ、こんな流れになるだろうとは、大勢の方々が予想されていたでしょうけど・・尹錫悦(ユンソンニョル)政権が、前政権、文在寅(ムンジェイン)政権に対し、またもや同じ方向性を取っています。もっともメインになっているのは、北朝鮮関連です。

文政権の頃、帰順した北朝鮮の漁民を、送り返したことがあります。これは国内だけでなく、自由民主主義陣営で大きな問題として指摘されました。帰順とは、北の人が『自分の意志で』『民主主義で暮らすため』に来たことを意味します。漂流などで来た(流れ着いた)人には、この言葉は使いません。当時、どうみても帰順だとする主張が強かったものの、文政権は、帰順ではなく、「北側で問題を起こして南側に来ただけだ」とし、彼らを北に送り返しました。

 

この件で、検察は、大統領関連の資料を保管する「大統領記録館」を家宅捜索しました。この大統領記録館という場所は、なかなか許可が得られない場所です。マネートゥデイなど複数のメディアは、記録館にまで手が届いたということは、「文在寅大統領まで範囲に入ったという意味だ」、「もっと『上』の人たちをロックオンしたとみていいだろう」としました。以下、<<~>>が引用部分となります。 <<・・大統領記録物は閲覧と外部搬出が制限される。令状許容範囲で、資料を選別し、記録館に必要な資料を要請して提出してもらう形式で行われる。 前例では、大統領記館の捜索は、短くは一週間、長くは90日かかった。検察は2019年11月、脱北した漁民2人を、政府が北に送り返したかを調べている・・

・・ 政府合同調査の結果、漁民たちは同僚船員16人を○ろし、海軍に拿捕されたことが明らかになった。 検察は、政府(※文政権)が、普通は15日はかかる合同調査を3~4日で終え、北朝鮮に送り返した背景を調べている・・・・当時、この決定をしたコントロールタワーは、大統領府の国家安保室だった。そうであるだけに、検察は関連会議録や省庁の報告内容など、関連資料が大統領記録物として指定され、記録館に移管された可能性を想定し、資料確保に乗り出したわけだ(マネートゥデイ)・・>>

 

当時、調査の過程で、『帰順したと思われる』とする報告をわざと削したという話があります。ただ、確認はまだできていないようですが。実はこれが最大のポイントで、本当かどうかはともかく、本人が帰順の意志を示したなら、調査が3日間で済んだはずはありません。そういうものも、もし関連報告書が記録館に残っているなら、確かに大きな発見になるでしょう。「文政権で、大統領府が意図的に資料を削除したのではないかという疑惑も出ている。この場合、検察が国家安保室繋がりで、大統領府の高位関係者を調査する可能性がある」、と。実際、大統領府ではありませんが、当時の統一部関係者たちがすでに召喚されています。

この流れそのものが間違っていると言うつもりはありません。覚えている方もおられましょうけど、本ブログも当時、文政権が漁民たちを送り返したとき、「これどう見ても不自然だ」と、関連したエントリーを書いたりしました。しかし、ユン政権としては、これ・・ちょっとした冒険です。それに、もし成果が出せなかった場合、文政権は、本件においてある種の免罪符を得ることになります。ユン大統領本人の支持率が低いこともそうですが、文在寅大統領は退任するときまで『不思議なほど』支持率が高く、いまのユン大統領よりも高い支持率でした。任期末に40%の支持率だったとする調査結果もあり、これは歴代大統領からして破格の数値となります。個人的に、なんでここまで高かったのかよく分かりません。

 

それに、まだまだ国会では野党「共に民主党」のほうが議席を取っているし、政党支持率ではすでに野党のほうが与党を上回っています。こんなとき、明らかに前政権の大統領を相手にここまでしたというのは、かなりの冒険としか言いようがありません。やるべきことをやるまでだ!(きりっ)としながらやっているなら別にいいですし、応援すらしたくなります。でも、そもそも本件の目的は、北の漁民や民主主義のためというより、前政権を調べることそれ自体(本件は名分にすぎない)ではないのか・・そんな気がしてなりません。

そんな状況の中、これはまだ一部のメディアが報じているだけですが・・どうやら、『上』からの指示があったという情況が、まだ掴めすにいるようです。ファイナンシャルニュースなど一部のメディアが、『文大統領までは届くのは難しいだろう』としながら、報じています。これ、もしこのまま『なにもなかったよ』で終わったら、ユン政権には『また(ここ重要)』大打撃となります。すでに政権交代し、資料が逃げることもなかっただろうに、下手に動いて、案件そのものを台無しにしてしまう可能性すらあります。

 

<<・・検察は2019年11月、文在寅(ムン・ジェイン)政権の大統領府内の対北ライン・国家情報院などで、脱北漁民2人の合同調査を法的根拠なしに早期終了させ、帰順意思があったにもかかわらず北に送り返した疑惑を調べている。この日、検察はソ・ホ当時統一部次官を相手に、合同調査が不十分だった経緯、脱北漁民たちが送り返された経緯などを集中追及したことが分かった。ジョンウィヨン元大統領府国家安保室長と、ソ・フン前国家情報院長などの召喚も視野に入った状況だ。ソ元院長は中央合同情報調査を短期間で終了した後、合同報告書に「帰順」という表現を削除した疑いを受けている。キム元長官は、当時国会外交統一委員会に出席し、「帰順意思の真正性がないと把握される」と回答、物議をかもした・・

・・ただし、文在寅大統領までは、力が及ばないという観測が提起されている。文大統領がこの件を指示したという情況を確保するのが、事実上、難しいからだ。次長検事出身の弁護士は、「現在進行中の『上』への捜査は、実務者らの業務資料などが把握され、うまくいっているが、大統領となると次元が違う」とし、「大統領が最終決済をしたとしても、実務陣レベルで行われた件を直接指示したとする内容の文書が見つかったり、職務上保管すべき相応の文書を破棄したという情況がないため、難しいだろう」と指摘した(ファイナンシャルニュース)・・>>

 

率直に言って、ユン政権が高く評価されたのは、「バイデン大統領が韓国に『先に』来た」ときだけだった・・そんな気がします。気のせいならいいですが。対日、対米、対中、そして対北(こんなときに『大胆な構想』などを出したのも妙な話です)、国内の経済問題など、様々なことで『得点』がままならなかったユン政権。今回の件で保守層の支持を得て、与党内の分裂においても有利な立場をゲットできるのか。まぁそういったところです。知りませんけど。

 

 

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