専門家、ユン政権の外交を「米国は隙をつき、中国は後頭部をせめ、日本はひややか」と表現

本題に入る前に、韓国銀行(中央銀行)が金利を0.25%引き上げた件、お伝えします。ちなみに、7月に0.5%上げたばかりです。問題ないと、米国との金利逆転(韓国のほうが金利が安い)はしばらくは大丈夫だとしつつも、金利引き上げは続いています。本ブログでもずっと取り上げてきた、家計負債関連、及びマンション価格が、どんな動きを見せるのか、気になるところです。この2つは、経済の支えでもありましたので。

韓国経済の記事ですが、投資家たちの間で「もっとも賢い投資」とされ、今年1月に46億ウォンで取り引きされたソウルの某マンションが、今月に40億ウォンで取り引きされた、とのことでして。5月に40億ウォンだったものは、36億ウォンに。いまさらですが、バイデン大統領やイエレン財務長官の訪韓の際、通貨、金利関連でもう少し具体的な話を引き出せなかったのが、結構大きかったとしか思えません。尹錫悦(ユンソンニョル)政権がどのような愛と根性の政策を出してくるのか、注目されます(極めてマニュアル的な表現ですが)。

 

で、ここからは本題ですが、また米国のインフレ抑止方関連です。なんか、産業通商資源部長官が、米国側とちゃんと話し合いもする前から、WTOがどうとか言っています。一応続報ですので、未読の方は過去エントリー(23日)を先にお読みください。各メディアが、尹政権のミスだと指摘しています。バイデン大統領との米韓首脳会談のときから、『なぜもっともらえないのか』とする声がありました。米国に対し十分な役割をしているので、「米国は我らの動きにもっと同調すべきだ」、とする内容でした。

中には、先の通貨・金利関連政策のことはもちろん、いくつかの懸案において、日本に圧力をかけるべきだとする、そんな意見もありました。今回のインフレ抑止法、特にHYUNDAIの電気自動車が補助金対象にならなかったことで、相応の動きがさらに強くなったわけです。聞いた所、日本の場合、米国やドイツに比べると数は少ないものの、2つの車種が補助金対象になった、とのことでして。そんなところがさらに『効いた』のかもしれません。

 

で、繰り返しになりますが、ちゃんと協議もせず、WTOがどうとかと長官自ら国会で公言してしまったわけですが。すべて、尹政権の外交の力が届かないでいるだけではないのか、さすがに国内メディアからもそんな指摘が出ています。ヘラルド経済の記事ですが、官僚出身とされるある安保専門家は、「総体的に」、尹政権外交には問題があると話しています。日本、米国、中国など、4強い外交が、何一つ思った通りにならないでいる、と。ちなみに、韓国では対・日米中露の外交を「4強外交」と言います。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・米国のインフレ抑止方(Inflation Reduction Act)に、韓国政府が前もって対応できず、負担とダメージはそっくりそのまま業界の分になったという批判が起きている。政府が、電気自動車・半導体など関連業界と懇談会を開き、官民合同で米国の政府・議会との協議を推進し、欧州連合(EU)との共同対応を模索すると述べたものの、「後の太鼓(※後になって大げさに対応する)」と指摘されている。特に国内企業が米国に大規模投資を約束したにもかかわらず、現代・起亜の電気自動車が補助金対象にならなかったことをめぐって、政府の外交の問題だとする声も大きい。

25日、韓米間の情報に詳しいある外交通商専門家は、「大統領室が、経済安保秘書官まで新設したにもかかわらず、外交・通商情報力にまんまと穴が開いていたわけだ」と評した。去る16日、ジョー・バイデン米国大統領が署名したインフレ抑止法は、気候変動対応と医療保障の拡充、大企業の増税などを骨子とした・・・・韓国企業の車種は、全て受益対象にならなかった。問題は、尹大統領が就任後、『歴代大統領の中で最短期間で韓米首脳会談を開催した』などを外交成果として掲げてきたのに、こんな措置が行われたことだ。外交情報筋たちの間では、「尹政権は、為す術もなくやられた」という話まで出ている。

 

尹大統領は、就任100日間、韓米グローバル戦略同盟(※米韓同盟アップグレードなど、最近このような呼び方が増えました)による「経済安全保障」を強調してきただけに、政府が「事前に全面的に対応しなければならなかったし、予想できなかったら、それはさらに大きな問題だ」という指摘だ。政府は、インフレ抑止法が韓米自由貿易協定(FTA)やWTO的に問題があるとする立場だが、しかし、政府の対応は、時すでに遅し、と言われている。電気自動車補助金支援対象に含まれている欧州連合(EU)など他の国々があるだけに、韓国にだけ例外を適用するのは難しい。特にインフレ抑止法の場合、バイデン大統領の政治的勝利という評価が出てくるほど、あとになって変えられそうにない、というのだ。

大統領室の核心関係者は22日、韓米間で緊密な協議を通じて議論していくという、マニュアルな返事と共に、「(※大統領室ではなく)外交部が先に説明するだろう」と話した。米国務省は「立法事項」という立場だ・・・・米国商務省は来月8~9日、ロサンゼルスでインド太平洋経済フレームワーク(IPEF)初の長官級対面会議を開催する。9月初めには、米国主導の半導体サプライチェーン協議体である「チップ4」(米国韓国日本台湾)予備会議にも、韓国が参加し、中国関連でどうするのかなど、経済安全保障分野が、総体的にテストを受けることになる。元官僚出身の安保専門家は、「米国に隙をつかれ、中国には後頭部をせめられ、日本にはつめたくされる現状について、4強外交そのものが総体的に問題だと言われている」と懸念を示した(ヘラルド経済)・・>>

 

隙もなにも、ただ尹政権の外交が、『相手国が望んでいるものは何か』について考えていないだけ、ではないでしょうか。で、最後に告知ですが・・尹錫悦政権の、日本、米国、中国、そして北朝鮮に対する外交面についての内容も盛り込んだ、拙著『尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)』が、9月2日、発売となります。残念ながらお盆休み(印刷所が休みますし)などもあって、安倍元総理の件は間に合いませんでしたが、文政権任期最後の1年と、尹政権の外交政策を並べることで、『政権交代』というのも、ただ『仮面』が変わっただけだということを、いつもどおり、率直に書きました。書きたいことが書けて、幸せです。本当にありがとうございます。

 

 

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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。