米国『インフレ抑止法』電気車補助金、韓国国会で議論が激化・・『私たちも米国電気車への補助金中止を』など

インフレ抑止法関連、韓国メーカーの電気車が補助金対象にならなかった件、続報です。日本では大して注目されないでいますが、韓国ではまだまだ大きな話題になっています。関連主張は、見方にもよりますが、中国のスポークスマンのようにも見えます。マスコミは連日この件を大きく取り上げており、『経済安保』を掲げてた米韓同盟からすると、これはある意味「リトマス試験紙」のような案件ではないのか、という意見まで出ています。国会(外交統一委員会)では、この件を『サ◯ツ』とする主張が多く(※◯はベです)、ユン政権も米国産電気車は補助金対象にしないのが妥当だ、という主張も出てきました。

この件、本ブログも何度か取り上げましたが、事案そのものよりも、『これを事前に知らなかったのか』が驚きでした。国内では、ユンソンニョル政権は、もう完全に米国側に舵をきったということになっていますし、政権側もそういうふうに言っています。しかし、表向きにはそう言ってるけど、実際に米国側と意思疎通できる何かの方法、いわゆる「チャンネル」などは、まだまだ機能していなかったわけです。協議が始まる前から、長官が国会で「WTOまで持っていく」と公言した事実が、その論拠になれるでしょう。以下、SBSMBNから、関連記事を引用してみます。ちなみに、この件に懸念を示し、改善を求める決議案が、満場一致で採択されました。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・国会では、米国のインフレ抑止法で韓国産電気自動車が補助金支援対象にならなかったことをめぐって、政府の取り組みに対する批判が相次ぎました。与党・野党は、国会レベルで米国の措置に懸念を示し、改善策の策定を促す決議案を全会一致で採択しました。国会外交統一委員会では、外交部次官が出席した中で、米国でインフレ抑止法が通過するまで、政府は事実上なにもしなかったのではないか、という指摘が相次ぎました。 【ジョンジンソク/国民の力 議員:「一体、このようなことが起こるまで、これまで何をしていたのでしょうか。米国議会のこのような動きを、いままでまったく知らなかったということですか?」】 / 【イドフン/外交部2次官:「もっとも最後の段階になって、交渉を非公開にして、その後に・・(※こうなりました)」】・・

・・同盟国を相手にありえないことだとし、米国に対する批判も相次ぎ、私たちも米国産車に補助金を与えないようにしよう、という主張も出てきました。実効性に疑問が起きているWTOやFTA関連の手続きではなく、実質的な対策を策定するように、との話もありました。【イサンミン/共に民主党 議員「WTOといっても数年かかるし、FTAにおいても前例がないしやってみたこともないのに、実効性はありますか?」】・・・・政府は、説得や法的な対応など、あらゆる方策を講じると答えました(SBS)・・>>

 

他にも、国会(外交統一委員会)と産業通商資源部は、全会一致で米議会と政府に深刻な懸念を表明する一方、『サ◯ツのない税制支援を促す内容の決議案(原文ママ)』を採択した、とのことです。そして、一部のメディアは、この件を「経済安保」において、米韓の間に何か問題が発生しているのではないか、という側面を指摘しています。ユン政権の誕生、バイデン大統領の訪韓・首脳会談などで、米韓は経済安全を保障する同盟としての存在を明らかにしたはずだ(そもそもこの認識からして不自然ですが)、なんで今になってこんなことになったのか、というのです。ここからはMBNです。

 

<<・・今回通過した法案(※インフレ抑止法)を見ると、私たち政府としては『突然、議会を通過した』と言ってるけど、すでに昨年から予告されていたし、内容を見ると、米国民主党が緻密に準備してきたことがわかります。今になって、私たちに不利だと分かって、交渉を始めたわけですから、見通しはそんなに明るくはありません。昨日ワシントンに到着したアンソンイル産業部通商秩序戦略室長は、「法が突然発表された側面があり、私たちだけが知らなかったのではなく、他の国もよく知らなかった内容で、むしろ私たちが一番素早く対応している」と話したが、責任を取らないための発言にしか見えませんでしたので、交渉姿勢そのものを立て直す必要がありそうです・・

・・私たちの戦略は具体的ではありませんが、昨日、ジョテヨン駐米韓国大使がワシントン特派員にこう話しました。国益を確保するため、米国側と堂々と協議を進めるというものです。大規模な投資をしておいて、米国に後頭部をやられたという世論まで出てきた状況で、「国益」の他には、米国の顔色など気にしないという意志だと解釈されます。最終目標は法案を修正することで、そのために民主党とバイデン政権の核心関係者に会って「密かに協議する」と強調したりもしました。

 

日本やEUなどとも共同戦略を繰り広げられるかどうか、検討対象です。韓米FTAやWTO関連も併せて検討中です。すべてをやってみなければならず、アメリカに投資しておいて損をするわけにはいきません。ただし、この法案で半導体など他の分野では韓国側が恩恵を受けることもできるという一部の報道について、駐米大使館関係者は「明らかな誤報だ」と線を引きました。

ユン政権は特に経済安全保障を核心公約として強調してきました。ユン大統領は「安保が経済で、経済が安保」と明らかにし、ジョテヨン駐米大使も「経済安全保障」を最も気にする部分だと述べました。来る9月と予想される韓米首脳会談でも、電気自動車問題は核心議題になることが分かりました。結局、電気自動車交渉がユン政権の経済安全保障の試験台(テストの場)になる見込みです(MBN)・・>>

 

どこをどう読んでみても、先の結論しか出てきません。『いままで何も話し合わなかったのか』、と。一部のメディは『米国側に、2025年までの施行保留を提案した』とも報じていますが・・そもそも、このようなユン政権の「いまさら」の努力(?)にもっとも喜んでいるのは、中国でしょう。米国側はどんな返事をするのでしょうか。ちなみに9月の首脳会談というのは、国連総会のことです。国連総会での首脳会談は時間が短くなるので、既存の案件について簡略に意見交換する場のはずです。文政権のときは、それすらもありませんでしたが。

 

 

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