『現金化』担当判事、退任式・・『任期内に決定』せず、決定保留状態の長期化がほぼ確定か

韓国最高裁の、いわゆる『現金化』案件の担当判事が、今日、退任式を行いました。つい先月末まで『任期内に決定』とする記事があったので、なんというか、色んな意味でびっくりしました(笑)。任期は4日までだそうですが、考えてみたら、今日(2日)は金曜です。『担当判事の任期内に相応の判断を出す』としていた無数の報道はいったい何だったのでしょうか。『年末まで様子見してから決める』『3月まで様子見~』『4月まで~』として、結局は11月まで何もなく自動延長になると、『自動延長に意味無し』と公言していた、あのGSOMIAの件を見ているようです。

もう同じ話を何度も何度もお伝えしましたが・・先月19日は、いわゆる『現金化』の判断時限でした。最高裁が該当案件の審理を続行するなら、現金化開始は保留されます。また、不続行と判断すると、現金化はその時点でスタートとなります。該当案件について審理(調べる)ことがもう無い、といういみですから。その期限が19日でした。でも、19日には何もなく、結果的には保留(審理続行)となったものの、最高裁は『保留と判断したのではなく、判断を保留した』という、よく分からないスタンスを取りました。

 

そこで、韓国メディアは、『担当判事の任期が9月4日までだから、8月中には決定を出す』といっせいに報道しました。JTBCなどは、最高裁が相応の決定文発表を準備しているという、何かの大きなイベント性(?)発表があるのではないか、そんなニュースを流したりもしました。本ブログでも2~3回紹介しましたが、むしろ一部のメディア(失礼ながら大手とは言えないところ)が、『最高裁に、判事が変わるからって結論を出す慣例はなく、普通に担当判事が変わるだけ』、『任期内に決定するという話、ここまで多くのメディアに載っているのに、どこから出てきた情報なのか分からない』などと反論し、現状のまま、すなわち判断そのものをしないまま、長期化するのではないか、そんな記事を載せたりしました。

それでも、多くのメディア、しかも主流というか大手のメディアは、『それでも任期内に判断を出す』という記事を載せ続けていました。読者の皆様も、似たような趣旨のニュースをご覧になったことがあるかもしれません。確か、8月19日以降にも、日本語版記事を同時に出すメディアも含め、同じ趣旨の報道は結構ありました。例えばニューシースの場合、8月31日の記事で、『それでも、それでもっ・・(本当にこう書いてあるわけではありませんが)』な記事を載せていました。早ければ今週中(今日まで)にも結論を出す、というのです。せっかくだから、ちょっと<<~>>で引用しています。

 

<<・・現金化判決による資産売却の可否に対する最高裁の最終判断が、差し迫ったものと見られる(※8月31日の記事です)。早ければ今週中にでも結論が下されるだろうという観測が出ている。こうした中、現在、関連解法を模索中の外交部など関係当局は、最高裁判所の判断に拘らず、今後の状況に対応していく方針であることが知られ、動きが注目されている。

当初、外交情報筋と法曹界では、現金化に関する最高裁の審理不続行判断の期限だった19日、その結論が下されるだろうという観測が提起されていたが、いったん裁判部は期限を過ぎた状況だ。外交部が解決法模索のために官民協議会や日本と協議を行ってきた事実を勘案したものと見られる。しかし現在、この事件を担当している主審キムジェヒョン大法官が9月4日退任を控えており、「最高裁がこれ以上判断を延ばすこともできなくなった」というのが法曹界の一般的な評価だ。特に法曹界では、最高裁判所がすでに2018年に本件を認めただけに、現金化を決定する可能性が大きいという観測も出ている(ニューシース)・・>>

 

ですが、その判事、今日退任式を行いました。もしこの件を『新任』の判事が担当するようになると、現在、その新任判事の任命に野党側が同意していないこともあって、さらに時間がかかるだろう、という話も出ています。また、文化日報によると、キム判事は退任式で、『国会(立法)や政治で解決すべき案件を、裁判所まで持ってくることが増えてきた』と話すなど、迂回的に不満を示した、とのことです。最初から裁判所に持ってくるな、とでも言いたかったのでしょうか。同紙は、『いつまでもこのままにはできないだろう』としながらも、任期内に判断を出さなかったこと自体が、そうすぐには結論が出ないという意味ではないのか、そう見ています。ここからは文化日報から引用してみます。

 

<<・・最高裁判所が、現金化するかどうかの決定を保留した。この件の主審だったキムジェヒョン最高裁判事が2日、退任式を行ったためだ。判決が遅れ、本件を外交的に解決する時間を稼いだという観測が出ているが、原告側の反発は大きくなっている。文化日報の取材を総合すれば、キム最高裁判事はこの日の退任式まで、現金化の件について、判断を下さなかった。4日に公式退任となるので、キム・ミョンス大法院長(最高裁判所長)が事務を分け与えることになる。ある判事は、「もし新任最高裁判事が主審を引き受け、該当事件担当となれば、今月中に判決が出るのは難しいだろう」と話した。また、共に民主党が新任最高裁判事候補者の任命に同意しておらず、国会の手続きも順調ではない。裁判所の内外では、司法が外交関係を懸念し、判断を延ばしたと見ている(文化日報)・・>>

 

一応、2週間近く続いてきた『任期内に』か『長期化』かの議論は、もうこれ以上は必要なさそうです。19日から、各メディアが競争的に(?)出していたあの『今月中に』は何だったのかも気になりますが。というか、この状態だと、もう裁判所が政府(外交部)より先に動くことはないと見てもいいじゃないでしょうか。

 

 

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