あるメディアが分析した、日韓関係・・「一貫せず、まるで上司のような態度で関係改善を言ったところで、相手国が応じるだろうか」

今日紹介するのは、本題は外交関連の記事ですが、社会に関する内部からの指摘でもあります。久しぶりの内容でもあるので、エントリーしてみました。『実(シル)がない』、すなわち何も実らない、中身が無いという慣用表現があります。韓国語ではシロッタ(実が無い)とします。かなり広く使われる表現ではありますが、主に、「人が一貫せず、すぐ変わってしまう」ことを意味します。そんなものでは何も『積もる』ものがなく、人と人との関係において、何も『実る』ことができないからです。毎日経済というメディアの記事ですが、引用の前に記事の内容をまとめてみたいと思います。

例えば、職場の上司が、大した問題でもないのに急に怒り出して、さんざん大声を出し続けたあと、すぐに『もういいや、もう忘れてやる。私はね、そんなに長引くタイプじゃないんだよね』と言います。ソース記事の記者は、(問題の本質は、急に態度が変わる『実がない』の部分なのに)上司だからという理由もあってか、その『長引くタイプじゃない』とする姿勢は、あまりにも堂々としている、と言います。経験談なのかどうかは分かりませんが、私はそんな人たちを、そんなシチュエーションを、何度も見てきました。

 

記事は、このような現象が外交でも現れているとしています。記事の分析によると、特に日本との関係において、日韓両国のアンケート、世論調査結果などを見ると、それがすぐわかります。好感度とかそんな項目が低いが高いかを論ずる前に、日本の場合は、各項目のデータが急に動くことはありません。長いスパンで見ると上昇傾向とか、下降傾向とか、そんなものは分かりますが、1年で大きく上がったり下がったりはしません。しかし、韓国の場合は、データの変動が急で、1~2年で10%も15%も動くのはあたりまえで、場合によっては20%以上変動したりします。

このようなことを、前には『直さないといけない』とする声もあったけど、最近はこれを問題視すること自体があまり受け入れられず、まるで先の職場の上司のように、『私はね、長引くタイプじゃないんだよね』として好感度が急に上がったり、また急に下がったり、そういう展開になります。そして、それは、経済発展の結果、まるで自分が上司のような存在になった、そんな心理も関わっているのではないか。記事にはそんな趣旨の表現もあります。『それがどうした』としか受け入れられなくなった、これが普通だと思うようになった、と。ここからは、<<~>>で引用してみたいと思います。

 

<<・・『突然』と言ってもいいほどの『実が無い』現象、感情の起伏は、政治の領域でもよく見られる。「政権を変えなければならない。そのためには木の棒にでも票を入れてやる」と熱く語っていた人たちが、新しい政権が発足してから一ヶ月ぐらいで「昔の言葉って本当によくあたるよね。ああ、そう。旧官が名官(※前の官吏のほうが優秀だった)と言うではないか」という。本当に実がない。『木の棒』未満だった前任大統領が、数日後には「素晴らしい大統領」になる劇的な展開が、私たちの社会では可能なのだ。可能というか、いつもそうだ。政権によってタイミングが違うだけだ。いずれはこんな展開になってしまう・・

・・実が無い現象の問題は、スタート時点から進めないということだ。毎日、大した理由もなく急に相手を唖然とさせておいて、毎日、「長引かないんだよねぇ」と仲直りを求める、そのような関係では、状況の本質的な改善はあり得ないのだ。信頼が蓄積されないからだ。再び、日韓関係の話に戻るとしよう。日本と仲良くすると、私たちの活動空間が広がる」と、かなり意思を込めて話しても、何かの記念日になったり、政権の支持率が下がったりすると、「本気のシャザ◯は?」「◯アンフは?」(※◯はイです)」としながら、一歩も前に出ず、同じ言葉だけを繰り返す。万事そこで休す。何ひとつ積もらない・・

 

・・一度でも世界の舞台で活躍したプレイヤーたち、例えばイギリス、アメリカ、日本、ドイツのような国は、急に自分の性格を明らかにすることはなく、その分、『長引く』共通点がある。親しくなるには時間がかかるが、みんな、彼らと親しくなりたがっている。私は、『実が無い』人からは、品位や魅力を感じない(毎日経済)・・>>

もちろん、このようなアプローチが問題になっているのは明らかです。また、迂回的な表現ではあるものの、このような内容の記事を書くには、相応の勇気も必要だったはずです。しかし、もっと問題になっているのは、『怒ったこと』を無かったことにしようとするスタンスではありません。法律的な効力を持つ『約束(条約、合意)』を、なかったことにしようとするスタンスです。

 

喩えを私なりに書くなら、『あの契約だけどさ、私に不利だから無かったことにしたよ。私たちの仲だから、いいよね?これぐらいでは私たちの仲は揺れないよね?』ぐらいになるでしょう。前にも書いたことがありますが、(出来る兆しなど見えませんが)いまユン政権もマスコミも、関係改善を熱く語っていますが、日本側の主張『国家間の約束』に関する部分に関しては、まったく公論化されていません。まずはこの側面に触れないと、何も「始まらない(記事の表現を借りますと、『スタート時点のまま』)」わけですが・・ソース記事だけでなく、この部分に関する記事は、見つけることができません。

 

 

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