現金化解決のための『官民協議会』、今日4回目の会議・・外交部長官が直接会ったものの、原告側は不参加のまま

朴振(パクジン)外交部長官など、韓国側が『解決のための努力』の代表格として話している官民協議会。今日、4回目の会議が開かれます。しかし、『案を導き出すのは難しいだろう』とされています。最初から「各方面の話を聞いてまとめる」を強調してできたのがこの協議会です。朴槿恵(パククンへ)大統領の頃、日韓合意のときに国内から指摘されていたことを気にしての措置だったのでしょう。

しかし、原告側は今回も不参加です。確か、1回目は参加、2回目は参加(一部不参加)、3回目からは公式に不参加でした。この前、パクジン外交部長官が彼らと会って、解決を約束しましたが、効果はありませんでした。なにせ、3回目から公式不参加になったもっとも大きな理由は、外交部が最高裁に出した意見書です。外交的に頑張っているという内容で、事実上、保留を促すためのものだった、と言われています。原告側は意見書の撤回を主張していますが、外交部側は(直接的には言ってないものの)そこまではできない、としています。

 

そもそも、彼らが参加したところで、ちゃんとした案が出せるのか、それが政府の公式案になれるのか、そんな側面にも疑問が提起されていました。「外交部が主宰しているのに、民間に頼り過ぎではないのか」、「法的に権限もない協議会が出した結論を、政府の誰が責任を持って公式案にするのか」など、国内でもパッとしない見解が出ています。例えば韓国日報の場合、先の『そこまで任せていいのか』な趣旨とともに、参加者が一貫しないこと(とりあえず各方面だけを強調していて、相応の責任ある立場の人が呼ばれたわけでもない?)などを指摘し、以下のように書いています。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・議論する合意案の骨格を外交部があらかじめ用意して提示しなければならないのに、外交部は「特定の時限と解法を現在具体的に想定していない」と言う。外交部は特に、「会議に出席した12人は固定されたメンバーではない」とし「今後議論の展開により、より多くの人々の参加も検討している」と話した。会議を開くごとに、構成員が入れ替わるかもしれない、という話だ。このようなやり方で、各方面からの共感をきちんと形成できるのだろうか。

政府が最終案を設けても、協議会の構成員が変わっていると、施行する過程でまた問題提起が生じることもありえるからだ・・・・匿名を要請したある専門家は、「日本政府と交渉しなければならない外交部が、人を集めて話や聞こうという『ゆるい』協議体を通じて、ハッキリと決定を下して、その決定を実行できるのだろうか」とし、「きちんとした機構が、権威ある決定を下す仕組みでなければ、彼らが出した結果に対して、誰も責任を取ろうとはしないだろう」と指摘した(韓国日報、2022年7月6日)・・>>

 

このように、最初から『各方面から』だけを強調していた官民協議会。しかし、世論的にはもっとも重要とされる人たちが不参加し、外交部長官が直接会って話したけど、4回目も不参加となった。これが現状です。さすがに、国内メディア、例えばニューシースなども、『案を導き出すのは難しいのでは』と報じています。 <<・・ジョヒョンドン外交部1次官は5日午後、外交部庁舎で官民協議会4次会議を主宰する。先月9日に3次会議が開かれてから1ヶ月ぶり、1次会議(7月4日)から2カ月となる。今回も原告側は不参加と思われる。これにより、政府案の導出は容易ではない見通しだ・・

・・事件の主審だったキム・ジェヒョン大法官(※最高裁判事)が退任し、政府は外交的解法を設ける時間を稼ぐことができた。パクジン外交部長官は「未来志向的な関係に出なければならない」とし、現金化を防ぎ、両側が納得する「合理的解決」を強調している。しかし、原告側は動かず、世論も政府が提示している代位弁済案などに好意的ではなく、温度差が感じられるところだ・・・・政府は日本を説得するために外交力を集中している。パク長官は去る3日、韓日未来対話フォーラムでオンラインメッセージを通じて「疎通を強化し、相互信頼を回復することで、懸案の早急な解決策を用意する」と再び日本側の誠意ある呼応を促した。ただし、林芳正外相は、「日本の一貫した立場に基づいて疎通をとる」とし、「一貫した立場」を強調した(ニューシース)・・>>

 

引用最後の部分、他にも同じ記事が結構目立つので、もう少し詳しく紹介します。「いつもの風景」ですが、それでもそのたびに話題になるから、不思議なものです。ここからは、中央日報です。 <<・・「疎通を強化し、相互信頼を回復することで懸案の早急な解決策を設ける」(パクジン外交部長官)、「日本の一貫した立場に基づいて緊密に意思疎通していく」(林芳正日本外務相)。3日、東アジア研究院(EAI)と日本「ゲンロンNPO」が主催した韓日未来対話フォーラムで、両国外交長官はオンライン祝賀メッセージを通じて、このような立場を明らかにした。表向きには、両方ともに懸案の解決と関係改善のためのコミュニケーション強化に意見を集めたように見えたが、微妙な温度差が感知された。パク長官は「素早く」などの表現を使ってスピード感のある協議を強調したが、林外相は疎通の重要性を強調しながらも、『一貫した立場』に重きをおいた。

ジンチャンス世宗研究所日本研究センター長は、「ユン・ソンニョル政権が関係改善意志を強調し、現金化解決法を設ける実質的な動きに乗り出したのとは異なり、日本側は、まだ目立つ立場の変化がないのは事実だ」とし「ただ、日本内部では『韓国の積極的な努力に合わせて呼応する時がきた。今でなければならない』という認識が大きくなっているだけに、ユン政権が用意する解決策の具体的な内容と方向性によって、議論が進展する余地は十分にある」と話した(中央日報)・・>>

 

ジン所長もそうですが、最近、こんな話をよく聞きます。でも、一部のマスコミと、相手国を訪問した国会議員団(の一部)が、訪問に相応の成果があったとしながら話した内容が情報ソースだったりします。ブログを書いているだけではありますが、個人的な感覚として、何か重要と思われる(スタンスの変化などを暗示する)発言などは無かったはずですが。この件もまた、「現状が『ノーマル』になるのではないか(現状がこのまま定着して、普通の関係になる)」という指摘が前からありました。大手とはいえないものの、一部のメディアから。最高裁の現金化判断の『長期化』と、同じ流れにも見えます。

 

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