現金化問題の解決案において、一部で盛り上がる『日本側も態度が変わったので、基金案でも合意できる』論・・外交部『そういう感じを受けた』

秋夕(チュソク、旧暦の8月15日)連休ということもあって、新しいニュースは少ない方です。今日もまた現金化関連ですが、いつもとはちょっと違う側面をお伝えできれば、と思います。数日前から、いわゆる現金化問題において、『同じ基金案だが、今回は日本と合意できる』という主張が盛り上がっているので、今日はそちらのほうをエントリーしてみます。

これまでいくつかのエントリーで書いてきましたが、結局、尹錫悦(ユンソンニョル)政権が用意する解決案は『政府は含めない、民間の基金による解決案』、いわゆる基金案になる可能性が大きくなっています。呼び方は『財団案』とする場合もありますが、似たようなものでしょう。一部のメディアは『それ、前からあったのでは』という、多少は呆れた論調の記事を出しています。例えば中央日報の場合、『巡り巡って、結局基金案』という題の記事を載せたりもしました。内容は官民協議会4次会議の内容を伝えるだけのものでしたが、結局これかよ、なニュアンスが垣間見えたりします。

 

そかし、そんな中、一部のメディアは、『今回の基金案は大丈夫だ』という主張を載せるようになりました。記事の一部として1~2行だけ短く述べる場合もあしますが、記事の結論として『今回は大丈夫だ』とする記事もあります。今回のソース記事、ニューシースニュース1などがそうです。その論拠は、「日本側では、すでに『早く解決しなければ国益にならない』という声が大きくなっている」というものです。詳しくどこから出てきた情報なのかは分かりませんが、この部分だけは多くの記事に共通しています。日本側の一部のマスコミ記事、及び関連発言にて、早く解決したほうがいいとする内容もあるにはありますが、それらがソースなのでしょうか。ちなみに韓国外交部も、「そんな感じを受けている」と話しています。

 

最高裁が現金化施行についての判断を保留(保留判断ではなく、判断そのものを保留)したときにも、まったく同じことがありました。『9月4日までは任期なので、8月中には結論を出す』という、どこから出てきたのか分からない話が各メディアに載りました。「任期が終われば担当判事が変わるだけで、それに合わせて結論を出す慣例はない」、「最高裁は、内部合意もできていないという」など、『8月中』説に対する反論もありましたが、まるで定説のようになりました。結果、8月中には何もなく、担当判事は「政治領域の件を裁判所に持ち込まないでほしい」という話を残し、退任しました。その流れと、似ている気もします。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。

 

<<・・現金化問題対する解決法の模索に乗り出した政府が、韓日両国企業を財源とした特定基金を通じてバ◯ショウする方案を検討中だ(※以下、◯は『イ』です)。原告側の意見をほとんど聞いたと判断し、政府も案の導出にスピードを出すものと見られる・・・・問題は、日本側が呼応するかどうかだ。尹錫悦政権が発足して以来、関係改善のために日本当局に重ねて「誠意ある呼応」を要請しているが、日本側は「日本側の一貫した立場に応じて対応する」と明らかにしている。政府案を先に提示すれば、検討に入るという意味だと思われる。

外交情報筋たちの間では、両国間で合意できる可能性を肯定的に見ている。日本側は、協議の初期段階では、現金化回避のための方案に焦点を当ててきたが、今は、「何とかして早く解決しなければならない」という立場であるため、意見を交換する余地がさらに開かれたからだ。イムスソク外交部スポークスマンは、「今まで私たちが受けた感じでは、日本側もこの件については真剣に検討しているという状況だ」と伝えた。原告側は日本側の誠意ある呼応のために政府が積極的に出るよう促し、その主体や方式については「民間レベルでどんな水準が望ましいか話すのは生産的ではない」とし、シャザ◯を引き出すことは政府の役割であることを強調した(ニューシース)・・>>

 

まず、この論拠が何なのかが謎ですが、それ以外にも、2か所、ちょっと書き加えたい部分があります。まず、『日本側の一貫した立場』というのは、すでに締結した国家間合意や条約の遵守の意味であり、案を出せば検討するという意味ではありません(もちろん検討もするでしょうけど、OKするかどうかの基準はあくまで国家間の約束事としての側面です)。もう一つ、引用部分の最後に『原告側が~』としていますが、4次会議にも原告側は参加していません。彼らが出したのは『シャザ◯』で、『民間でやるものではないので、政府に任せる』としたのは、官民協議会の見解です。ニューシースの記事は、まるで原告側も本案に意見をともにしたように書いていますが、それは違います。それでは、次の記事、続けて引用してみます。

 

<<・・政府は最近まで韓日当局間の国長級または高位級の各級チャンネルを通じて議論してきた。同時に、日本の「呼応」を促している。 日本の呼応は、事実上、シャザ◯を意味するというのが、外交情報筋たちの見解だ。従来は「解決策を提示せよ」という立場だけを見せた日本が、最近は「早急な解決」の意を表して、今までとは違う姿を見せているが、シャザ◯かどうなるかについては言い切れない状況だと伝えられた。外交情報筋は、「日本側が全面的に呼応することを望むのは、現実的に難しいと見ている」とし「しかし、解法導出の最後の段階まで、日本側との交渉は続くだろう」と話した(ニュース1)・・>>

はてさて、この謎の自信感はなんなのか。本当に基金案でなんとかなる雰囲気なら、なぜいままでブリーフィングなどで同様の話をせず、4次会議が終わって『もう基金案しか方法がない』と分かると、急に言うようになったのか。先も書きましたが、『8月中』と同じ流れにしかみえません。まさかとは思いますが、日本側は、『一貫した立場』。これだけは本当に貫いてほしいと願います。あと、最後にちょっとした告知ですが、プレジデントオンラインに、拙著『尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)』の一部編集版が掲載されました。ありがとうございます。

 

 

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