一部の韓国メディアで広がる、『日本と協力するしかない』主張・・「中国から脱するためには、友好国である日本と協力するしかない」「国産化もできなかったし」など

昨日も、インフレ抑止法関連で「日本と協力して米国を動かそう」という話を紹介しましたが・・なんか、こう、困ったときの日本頼みというか、日本と協力するしかないという話が増えてきました。つい1ヶ月前、中国との外相会談の話が出た頃、複数のメディアが『もう尹錫悦(ユンソンニョル)政権の外交は日本から中国へ』などと記事を出していましたが、あれはなんだったのでしょうか。本エントリーで紹介する記事もまた、インフレ抑止法(電気車補助金)関連だけでなく、半導体などで『脱中国するにはどうすればいいのか。やはり日本との協力しかない』を論ずる、専門家たちの見解をまとめた記事です。

複数の専門家の意見で共通するのは、『今の国際情勢で、米国側(記事の内容的に日米側)に立たないのはナンセンスだ』という前提です。今のユン政権・・というか、各メディアの記事を読んでみると、ハッキリ書かれているわけではないにせよ、『じゃ、中国側に行けばいいじゃないか』という論調が垣間見えます。そんなものにくらべると、まだ現実的な見方だとは言えるでしょう。しかし、これを認めた時点で、現在のユン政権の外交がズレていることもまた、認めざるを得なくなるのも事実です。明らかに低い姿勢ですから。少なくともいまのところは。

 

そして、日米側に立って、米国はもちろん、日本と協力するしかない、日本と手を組まないと半導体が作れない構造だし、日本は友邦(友好国)だから、などなど、そんな主張が書かれています。さぁ、どうでしょうか。チップ4加入する前に中国の理解を得ないといけないという主張が公になっているユン政権で、いまの日米と何ができるのか、疑問です。半導体分野だと、日本の協力パートナーは台湾ですし。以下、ソウル経済の記事から<<~>>で引用してみます。一つ面白いのは、日本との協力を強調しながら、「国産化するとか言ってるけど、これといって出来たこともないじゃないか」と言い切る専門家もいたことです。これについては、後で少し追記できればと思います。

<<・・(※結局、米国側に立つしかないという内容のあとに)中国が強く反発するとしても、半導体生産構造を見ると、チップ4加入は必須だという指摘が出ている。昨年基準の半導体装備輸入依存度は米国(25.7%)、日本(25.0%)、オランダ(25.0%)の順で、米国や日本の装備がなければ半導体が作れない構造だ。素材輸入依存もやはり日本(35.2%)、米国(9.5%)の比重が高い・・・・専門家たちは、秩序ある脱中国戦略の推進のためには、日本との関係改善も重要だと話す。我々が加入を進めている包括的・先進的環太平洋経済同伴者協定(CPTPP)は、現在、日本が主導している・・

 

・・CPTPPは今年2月に発表された域内包括的経済連携協定(RCEP)に比べて参加国数は少ないが、市場開放率は10%ポイントほど高く、貿易依存度の高い我が国としては加入しなければならない必須協定に分類される。北米で組み立てられた電気自動車だけに補助給を支給する米国の「インフレ抑止法」に関しても、日本が共同対応しなければならないという声が高い。ジョンインギョ インハ大学国債通商学科教授は、「政府は素材・部品・装備の国産化を叫んだが、確実に取り替えができたと言える品目はあまりなく、これさえも、日本から直輸入していた品目を他の国を経て輸入する形にしただけのものがほとんど」とし「結果的に、ただ非効率なだけの対応であり、友好国同士は外交関係をよく維持しなければならないことを知るべきだ」と指摘した(ソウル経済)・・>>

 

しかし、こうして友好国との協力を強調しているこの記事ですが、なぜか『中国は、韓国がチップ4に加入する場合、それを利用できると思っているので、それをチャンスに出来る』という趣旨の話も載せています。追加でこの部分だけ、もうちょっと引用してみます。 <<・・政府は、チップ4参加国の中で、私たちだけの状況をうまく活用すれば、米中の間で、国内半導体業界のダメージを最小化できると見ている。政府のある高位関係者は、「米国・日本・台湾とは異なり、私たちは中国に大規模工場を運営している。そのため、先端装備の制限のような米国側の措置に、強く反応するしかない」とし「このため、中国は、韓国がチップ4に加入すると、中国内の半導体需給部門において、ある程度は肯定的な役割を果たすことができると見ているようだ」と話した。中国がチップ4において、自分たちの立場を反映する役割として、韓国を活用する余地があるという意味だ・・>>

 

この内容に対してこれといった指摘もなく、友好国と手を組むとか書いてあるのが、なんというか、不思議な感じがします。友好というのが「得をする」という意味ならともかく、友好とはそういう意味ではありません。 最後に、引用部分の「他の国を経て輸入しただけだ」の部分ですが、2月5日の朝鮮日報に、その一例が載っています。文在寅(ムンジェイン)政権は、日本から直輸入していたフォトレジストを、日本企業のベルギーの工場で作られたフォトレジストを輸入することにして、『ベルギーからの輸入を増やし、日本からの輸入を減らすことに成功した』と発表したりしました。

 

<<・・「フォトレジスト」の場合、日本からの輸入依存度は、2018年の93.2%から、去年には79.5%に減少した。ベルギーからのフォトレジスト輸入額を、10倍以上も大きく増やしたからだ。政府(※当時の文政権)は、「依存度を減らした成果である」と発表したが、日経新聞は本件のことで、「ベルギーから輸入した分のフォトレジストは、日本JSRのベルギー工場で製造したもの」と報道した。製造国が変わっただけで、結局は日本メーカーの製品だった、というわけだ(朝鮮日報)・・>>

起承転結がすべて壮大なオチになっていて、最後にこれといって書くことも思いつきません。ただ、他人から何かを『もらう』ではなく、自分で何かを『示す』ことが必要ではなかろうか。マニュアル的ではありますが、そう思わざるをえない、ユン政権の今日この頃です。で、最後にまた同じ告知ですが、プレジデントオンラインに、拙著『尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)』の一部編集版が掲載されました。ありがとうございます。

 

 

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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。